『クロノス日本版』編集長の広田雅将と副編集長の鈴木幸也、唯一の平部員細田雄人の3人が、話題のモデルのインプレッションを語り合う鼎談連載。第4回は、ボール ウォッチの中でようやく日本展開が開始された「ロードマスター マリン GMT」を好き勝手に論評する。
日本では新展開となる第3時間帯まで表示可能なGMTウォッチ。24時間針を調整するふたつのプッシュボタンには、ロックシステムが付随。トランスパレントバックでありながら、200m防水性能と5000Gs耐衝撃構造というタフさを備える。自動巻き(Cal.RR1203-C)、25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。Ti(直径40mm、厚さ14mm)。200m防水。世界限定1000本。29万円(税別)。
Photographs by Masanori Yoshie
阿形美子:文
Text by Yoshiko Agata
外装の仕上げが良くなったボール ウォッチ
細田「このモデルはこれまで日本での展開がなかったGMTで、今年(2020年)の7月にリリースされた新作ですけど、おふたりは着けてみてどうでした?」
広田「以前と比べると、ボール ウォッチはケースの出来が良くなったね。昔はラグの内側やブレスレットが腕に当たって痛くて、長時間着けると辛かった」
鈴木「うん、ケースのエッジが立ちすぎてたよね。怪我しそうなくらい(笑)。それを思い返すと、このモデルは値段とのバランスがよくできてるよ」
広田「外装がイマイチだった頃を知ってるから、ここまで良くなったのはうれしいね」
細田「メリハリの効いたブレスレットも良いですよね。左右のチタン製コマはサテン仕上げですけど、SS製の中ゴマはポリッシュ仕上げで、コントラストが効いてます」
鈴木「中ゴマがSSだから、軽すぎないんだね」
広田「うん。ヘッドの重さとのバランスが取れてる。ただ、弓カンと1コマ目の隙間は気になるかなぁ。弓カンが長いから、結果的にケースの全長が長くなっちゃう。全長が短ければなぁ……」
GMTモジュールは、さらなる改善に期待!
鈴木「搭載ムーブメントのベースは、セリタだよね?」
細田「はい。Cal.SW220-1をベースに、オリジナルモジュールを組み合わせてます。24時間針は10時位置と8時位置のプッシャーで調節する仕様で、1プッシュごとに10時位置が『1時間進む』、8時位置が『1時間戻る』です」
鈴木「24時間針を独立したプッシャーで調節できるのは便利ではあるけど、個人的にはリュウズで合わせたいかなぁ。とはいえ、モジュールで24時間針を追加してるから機構上しょうがないけど……」
細田「そうですねぇ。でも、24時間針を調整する際も秒針を止めずに済むのはメリットかなと。それから、このプッシャーはロック機構付きで、それぞれのプッシャーを少し回すことでロック/アンロックできるのも特徴ですよね」
広田「ただ、ロック/アンロックが分かりにくいのが、惜しい」
鈴木「うん。ロック中の表示があるわけじゃないから、うっかりロックしていないと簡単に押せちゃうからね。ロックの確認をした時に間違って押しちゃいそう(笑)。まぁ、すぐにもう一方のプッシャーを押せば良いんだけれど」
細田「パテック フィリップの「カラトラバ・パイロット・トラベルタイム」(ref.5524)も時針の単独調整をプッシャーで行いますけど、あれはロック機構が付いてるんでしたっけ?」
広田「ない。まぁ、24時間針ってそんなに頻繁に触る機構でもないけど……うーん、工夫は伝わるけど、あともう一歩! 惜しい! ってところかな」