意外にも取り回しは優秀だ
意外なのは、軽快な装着感である。外装にチタンを採用するシチズンのプロマスターは、どのモデルもかなり軽い。直径46.0mm、厚さ15.3mmという大きなケースを持つ本作も、やはり想像以上に取り回しが良かった。筆者が触ったのはモックアップだが、90系の重さを考えれば、ムーブメント入りでもかなり軽快と予想できる。もっとも、200mという「控えめ」な防水性能を考えれば、ケースはもう少し薄く、小さくできたのではないか。
無骨な裏蓋側。リュウズの位置が示すとおり、時計の重心はかなり低い。前面にデュラテクトを施してあるため、耐傷性も高いだろう。
もうひとつの美点は針と文字盤のクリアランスの狭さだ。そもそもシチズンの90系は、ETA2892A2を意識して生まれた自動巻きである。そのため文字盤と針の間隔は、Cal.ETA2892A2同様、かなり詰まっている。加えて、分厚い文字盤を採用した本作は、よりクリアランスが狭くなった。国産メーカーの常で、シチズン「も」文字盤と針の間を取りたがる。しかし、本作は近年のプロマスター同様、ウブロ「クラシック・フュージョン」並に針高を抑えた。ショックを受けても文字盤に当たりにくいよう、針に厚みを持たせたのかもしれず、事実、針はエコ・ドライブ搭載機に比べて明らかに厚い。しかし、針高を抑える一方で、ケースが厚いため、斜めから見た際の視認性には改善の余地がある。
ダイバーズウォッチのあり方に一石を投じる野心作
さて結論である。シチズンらしい凝った外装と、上手いツール感、そして高い耐磁性能を持つ本作は、保守化するダイバーズウォッチのあり方に、一石を投じるかもしれない。筆者は、本作の「攻めた」姿勢が好きだし、充実した内容を考えれば、13万円台からという価格も妥当だろう。このモデル、かなりいいぞ。
オマケとして。格好いい時計なら何でも好き、という人にはこういう選択肢もある。「プロマスター エコ・ドライブ ダイバー200m」は実に小気味よいスポーツウォッチだ。そのデザインは、往年の傑作、プロフェッショナルダイバーのデザインを模したもの。ケースに施されたブラスト仕上げに萌えまくりです。ケース厚は14.3mmもあるが、実際はもっと薄く感じる。光発電エコ・ドライブ(Cal.E168)。スーパーチタニウム(直径46.5mm、厚さ14.3mm)。200m防水。予価6万500円。7月発売予定。
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