ランバンの元デザイナー、アルベール・エルバスが愛用していたロレックス

ロレックス「オイスター パーペチュアル コスモグラフ デイトナ」

 下記の画像は2016年のパリ・ファッションウィーク17年春夏レディースコレクションで、フランスの最高位勲章であるレジオンドヌール勲章を受賞した際に撮影された1枚だ。つまり、15年に第一線を退いた後の写真である。

アルベール・エルバス

Photogprah by Bertrand Rindoff Petroff / Getty Images
レジオンドヌール勲章の受章日に着けていたのはロレックスのコスモグラフ デイトナだ。黒のスーツを着ることが圧倒的に多いエルバスは、フォーマルなシーンにあえてシャンパンゴールドのデイトナというハイレベルなコーディネートを披露している。ともすればギラギラしてしまいそうだが、彼のキャラクターがそうはさせなかったのだろう。

 この晴れ舞台で着用する時計にエルバスが選んだのが、ロレックスの「オイスター パーペチュアル コスモグラフ デイトナ」だ。ロレックスは自社専用の鋳造場を所有し、最高品質の18Kゴールド合金を鋳造する卓越した技術を誇る。アルベール・エルバスが選択したデイトナも18KYGケースとブレスレットで作られる。地金にまで及ぶ探求心はクリエイターとして彼自信も共感する部分があったのかもしれない。

ロレックス デイトナ

ロレックス「オイスター パーペチュアル コスモグラフ デイトナ」
自動巻き(Cal.4130)。44石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KYG(直径40mm)。100m防水。

 なお、この写真の5年後にあたる21年1月、彼はパリのオートクチュールコレクションウィークで新ブランド「AZ Factory」を立ち上げ、ファッション業界への華麗なカムバックを果たした。AZ Factoryが目指したコンセプトは、伝統的なクラフトマンシップに先進的なプログラムやテクノロジーを取り入れ、最高のスタイルとサヴォアフェールを生み出すことだ。

 これは、彼がファッション界を離れ、世界中を旅していた際にシリコンバレーを訪れたときに「伝統とテクノロジーは共存できるのではないか」と考えたことに由来している。「AZ factory」のファーストコレクションでは「My Body」と名付けられた伸縮性に優れたニットのドレスが核となった。XXSから4XLまでのサイズがそろえられ、どんな体型の人にもフィットし、自分でジッパーを上げ下げできるように長いチェーンがついているという、彼らしい心遣いがデザインに生かされている。

 2021年4月24日、新型コロナウイルスによりひとりの偉大なデザイナーを失ってしまったことが残念でならない。


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