これまで多くの複雑機構を開発してきアーノルド&サンの中でも、特に高く評価されてきたのが精度と美的価値を兼ね備えたムーンフェイズ表示だ。2021年のウォッチズ&ワンダーズでは、腕時計に組み込まれた3Dムーンとしては最大級の大きさを誇る「ルナマグマ」で、球体ムーンフェイズ表示に関する技術の粋をさらに推し進めた。
手巻き(Cal.A&S1021)。35石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約90時間。18Kレッドゴールドケース(直径44mm、厚さ15.9mm)。30m防水。アリゲーターストラップ。世界限定28本。583万円(税込み)。
Text by Mark Bernardo
2021年6月22日掲載記事
ルナマグナの文字盤を飾る巨大な球体の月は、明るい半球が大理石、暗い半球がアベンチュリンガラスで出来ている。いずれも、アーノルド&サンが腕時計用の立体的な月を製作するにあたり初めて採用した素材だ。真夏の満天の星を描いたアベンチュリン製の文字盤の中に、直径12mmの大きな月が浮かんでいる趣である。この巨大な月球儀は、腕時計という小さなサイズの中で、ムーブメントを貫くように収められた。これにより、ケースの厚さは全体でわずか15.9mmという現実的なサイズに収められている。
巨大な球体ムーンフェイズに対し、12時側にはオフセンターして配置されたホワイトラッカーのサブダイアルがあり、その上にローマ数字のアワーマーカーにブルーの針で現在の時間と分が表示されている。直径44mm、18Kローズゴールド製のポリッシュ仕上げのラウンドケースには、スイスのラ・ショー・ド・フォンにあるアーノルド&サンのマニュファクチュールで開発、製造、組み立て、調整が行われた手巻きキャリバーA&S1021が搭載されている。
キャリバーA&S1021は、3Hzの振動数、約90時間のパワーリザーブ、精巧なオートオルロジュリー仕上げに加えて、ケースバック側の月齢を示す特別なインジケーターが特徴的だ。このムーンフェイズ機能は、29日12時間44分2.8秒という現実の月の周期を正確に再現するように設計されているため、122年間調整する必要がない。このムーブメントでは、ムーンフェイズの設定をリュウズから直接行うことができるため、調整が容易になっている。
ルナマグナに組み合わされているのは、手縫いのブルーアリゲーターストラップで、18Kローズゴールド製のクラシックなピンバックルで固定されている。ストラップはサファイアクリスタルの曲面を延長し、手首の自然な輪郭に沿うように深く湾曲したケースのラグを介して時計とつながっている。世界でわずか28本の限定生産で、価格は税込み583万円だ。
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