リピーターとソヌリの違いとは?/ぜんまい知恵袋〜時計の疑問に答えます〜

2021.08.15

Q:リピーターとソヌリって何が違うの?

スライダーを下げるなど任意で今の時間を知るものをリピーターと呼びます。一方のソヌリとは30分や1時間などの時間を自動的に知らせてくれるものです。

広田雅将

2021年8月15日掲載記事

 

A:任意の時間を知らせてくれるのがリピーター。定期的に時間を知らせてくれるのがソヌリ

機械式時計の最高峰と言われるのが、音を鳴らして時間を知らせるリピーターとソヌリです。しかし、このふたつは全く別物。リピーターとは、ボタンを押したり、スライダーを下げたりして、任意で今の時間を知るもの。一方のソヌリとは30分、そして1時間などの時間を自動的に知らせてくれるものです。なお、30分おきに鳴るものをプチソヌリ、毎正時および15分ごとに鳴るものをグランソヌリと言います。

一般的、リピーターは作動用のボタンを押す、もしくはスライダーを下げる力で専用のゼンマイをチャージし、そのほどける力でリピーター機構を動かして音を鳴らします。操作しなければ、音はなりません。

一方のソヌリは、ソヌリを駆動するためのゼンマイがほどける力で自動的に音を鳴らすため、予めゼンマイを巻いておく必要があります。音が鳴るモードにセットしておけば、ゼンマイがほどけきるまで、30分や1時間おきに、自動的に音を鳴らしてくれます。一般的に言うと、リピーターよりも自動的に音を鳴らすソヌリのほうが複雑で、したがって値段も高価です。

ツァイトヴェルク・ミニッツリピーター

A.ランゲ&ゾーネ「ツァイトヴェルク・ミニッツリピーター」
時刻表示用輪列の主ゼンマイからミニッツリピーターの動力も取る珍しいスタイルを採用するツァイトヴェルク・ミニッツリピーター。ミニッツリピーターの駆動には多くのエネルギーを消費するため、パワーリザーブインジケーターにはこれ以上残量を下回った場合リピーターを動かせなくなることを知らせる印が赤く付けられる。手巻き(Cal.L043.5)。93石。1万8800振動/時。パワーリザーブ約36時間。18KWG(直径44.2mm、厚さ14.1mm)。3気圧防水。世界限定30本。


今後増えるかもしれないソヌリ型のリピーター

しかし近年は、ソヌリのようにあらかじめその動力をチャージしておくリピーターも存在します。好例が、A.ランゲ&ゾーネの「ツァイトヴェルク・リピーター」。これはケースサイドのボタンを押すと、予めチャージされたゼンマイがほどけて、音で今の時間を知らせるもの。しかし、スペースがないため、リピーター用のゼンマイではなく、時計を動かすための主ゼンマイから動力を取って、リピーターを動かしています。機構としては複雑になりますが、スライダー方式と比べて防水性をもたせやすいというメリットがあります。今後、リピーターに防水性を持たせたい各社は、A.ランゲ&ゾーネ同様、ソヌリ型のリピーターの開発に取り組むでしょう。


唯一無二のデジタル式デシマルリピーターに待望の新作/A.ランゲ&ゾーネ「ツァイトヴェルク・ミニッツリピーター」

https://www.webchronos.net/features/47241/
ミニッツリピーターとは? その歴史と代表的モデル

https://www.webchronos.net/mechanism/22267/
パテック フィリップの新作「グランドソヌリ Ref.6301P」に迫る

https://www.webchronos.net/features/56652/