レギュラーモデルとしては初採用されるふたつの新素材
MRG-B5000はオリジンとしては異例とも言える凝った製法を外装に取り入れているが、採用される素材もまた、これまでのオリジンとは異なる。ミドルケースや裏蓋、プッシュボタンなどには基本的に6%のアルミニウムと4%のバナジウムを配合するチタン合金「64チタン」を使用した上で、トップベゼルには「コバリオン」が用いられた。同素材は純チタンの約4倍に相当する硬度を持ち、かつプラチナと同等の輝きを持つとされるコバルトクロム合金の一種だ。また、ブレスレットは純チタンと比べて約3倍もの硬度を持つチタン合金「DAT55G」製である。
「MRG-B5000はフラッグシップですから、それにふさわしい素材としてコバリオンを使用しました。またDAT55Gに関しては高硬度もそうですが、加工性も重視しての採用です」(石坂氏)
純チタンより3倍も硬い素材なのに、加工性に優れているとはどういうことなのか?
「DAT55Gは成型・研磨後に特殊な処理を施すことで硬化します。処理前はむしろ64チタンよりも軟らかいんですよ。ブレスレットはコマをつなぐピン用の細かい穴を開ける必要があるのですが、実は64チタンでは硬すぎて開けられないんです。そこで処理前は軟らかいという特性に着目して、DAT55Gをブレスレットに採用しました」(石坂氏)
また、これらはいずれも優れた特性を持っているだけでなく、コバリオンは岩手県のエイワが製造を、DAT55Gは愛知県の大同特殊鋼が開発した素材という点で、日本の先端技術と匠の技を融合というMR-Gのコンセプトとも合致する。まさに、MRG-B5000にふさわしい素材だ。
オリジンのフラッグシップ化に垣間見える開発者の矜恃
歴代MR-Gと比較しても手の込んだ外装が与えられたMRG-B5000。多くのユーザーにとって、慣れ親しんだオリジンが40万円を超える価格で販売されることは大きな驚きかもしれない。しかしその過剰とも言える外装の仕上げは、同価格帯のミドルレンジウォッチでは頭ひとつ抜けている。正直、ここまでコストを掛けてしまうと、この価格でも利益はわずかなはずだ。それでもカシオはオリジンのフラッグシップ製作を突き詰め、究極のG-SHOCKを作り上げたのである。
それはオリジンというブランドのアイコンが最高峰たるMR-Gを名乗るのであれば、決してそこに妥協があってはいけないという強い決意にほかならない。上質な磨きには開発陣の強い矜恃が込められているのだ。
【ブランド公式サイトでMRG-B5000を見る】
https://gshock.casio.com/jp/products/mr-g/mrg-b5000/
https://www.webchronos.net/news/76306//
https://www.webchronos.net/features/69402/
https://www.webchronos.net/features/67592/