どうせ売り切れるが、「タンク シノワーズ」も紹介したい
手巻き(Cal.430 MC)。18石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約38時間。18KYGもしくは18KPG、Pt(縦39.49mm×横29.2mm、厚さ6.09mm)。30m防水。Pt:世界限定150本。予価385万4400円(税込み)。18KYG:世界限定150本。予価341万8800円(税込み)。18KPG:世界限定150本。予価341万8800円(税込み)。
今や、発売即完売の「カルティエ プリヴェ」。詳細は本日発売の『クロノス日本版』をご覧いただくとして、改めて実機を見た印象を伝えたい。ケースを内製して以降、カルティエの外装はいきなり良くなった。「サントス ドゥ カルティエ」「パシャ ドゥ カルティエ」がその代表例だ。限定版のカルティエ プリヴェはさらに外装の出来が良く、昔ながらのカルティエの良さに、今の外装をうまく接ぎ木している。2022年のカルティエ プリヴェは「タンク シノワーズ」だ。これは18KYGもしくは18KPGとPtのケースに、レクタンギュラーに改めたケースを持つもの。普通の文字盤とスケルトンの2種類がある。
このモデルは、ケースを取り巻くように2本の「帯」が取り付けられている。往年のシノワーズは帯が後付だったが、見た限りで言うと本作では一体成型されている。一体成型して、どうやってケースをきちんと磨けたのかが不思議だ。ともあれ、ケースの完成度は非常に高く、眼の肥えた愛好家たちも満足するに違いない。今のカルティエ プリヴェが売れるのは納得だ。
普通のモデルは、文字盤がメッキの上にラップ研磨のラッカー仕上げ。一方のスケルトンは、ムーブメントの上に、なんとラッカーを施している。色は青×赤(Ptモデル)もしくは黒×赤(18KYGモデル)。またスケルトンモデルは、写真が示すように、帯の部分にもラッカーを塗布している。一部のメティエダールに採用した手法を、今年のカルティエは、一般のラインにも転用するようになった。おそらく、ラッカーの質に問題がないと判断したのだろう。
ムーブメントはベーシックなモデルが手巻きのCal.430 MC、スケルトンがCal.9627 MCを搭載する。
これはかなりいいんじゃない?「サントス デュモン」の手巻き版
手巻き(Cal.430 MC)。18石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約38時間。SS、18KPGもしくはPt(縦43.5mm×横31.4mm、厚さ7.3mm)。30m防水。Pt、18KPGはそれぞれ世界限定150本、250本。SSはレギュラーモデル。写真のモデルは18KPG。PT:世界限定150本。予価252万7200円(税込み)。18KPG:世界限定150本。予価168万9600円(税込み)。SS:予価72万500円(税込み)。
「サントス ドゥ カルティエ」のいわばドレス版が「サントス デュモン」である。2022年の新作は、Cal.430 MCを載せた手巻きモデルである。素材はSS、18KPG、そしてPt。面白いのはこれらすべてのケースに、ラッカーが埋め込まれている点だ。ケースを彫り込み、そこにラッカーを流し込んでいるだけだが、加工精度が高いのか、非常に緻密な仕上がりを見せる。もちろんラッカーの面に歪みもない。単にサントスを復刻するのではなく、ラッカー仕上げという新しいアプローチを盛り込んだのが、「色」を強調する22年のカルティエらしい。個人的な一押しは黒をあしらったSSモデルだ。価格はそのうち公開されるはずだが、聞いた限りでいうとかなり戦略的である。
マス ミステリユーズ
ムーブメントを見せない「ミステリー」機構は、カルティエのお家芸だ。新しく加わったのは、なんと、自動巻きのローター自体にムーブメントを収めた「マス ミステリユーズ」である。開発に要した時間は8年とのこと。詳細は今後『クロノス日本版』に書くとして、まさかこんな奇抜なアイデアが時計になるとは思ってもみなかった。巻き上げはリバーサーを使った両方向巻上げ。やや抵抗を感じるものの、針合わせの感触も悪くないし、針飛びもなかった。お金があるならば、この時計は正直欲しい。