文字盤のプリントも一味違う
文字盤の上に施すプリントは、他社もロレックスも基本的には同じ製法だ。ロゴなどを彫り込んだ金属板の上にインクを載せ、それをゼラチンもしくはシリコンのパッドに転写し、それを文字盤に押し付けてプリントを施す。水色の半球状の部品がそのパッド。素材は不明だが、おそらくはゼラチンではなくシリコンだろう。一般的には、ゼラチンの方がインクをよりすくいやすいと言われているが、耐久性は低い。大量生産を旨とするロレックスが、シリコンを使うのは当然だろう。
しかし、その色は、今までに見たことのないものだ。ひょっとしてロレックスは、パッドに使うシリコンに、特別なものを使っているのかもしれない。また、パッドを固定する土台は幾重にも木を重ねた丈夫なものを使っている。抑える軸もかなり太く、インクを転写する時のブレは少ないだろう。
謎に満ちた金の溶解プロセス
スイスの時計メーカーとしては珍しく、ロレックスは金の溶解を自社で行っている。18Kエバーローズゴールドといった素材を開発できる理由だ。やはり秘密の小部屋では、そのプロセスのごく一部が、写真で公開されていた。金のインゴットとその他の素材を、るつぼに入れて溶解するのは他社に同じ。しかし、写真を見ると、るつぼには穴が空いており、溶解された金合金が、下の冷却液に向けて雨のように降っている。
粒状にした金合金を水中で急速冷却するのは、おそらくはスラグ(カス)を固めて、取り除きやすくするためだろう。スラグの除去は他社でもやっているが、合金にした状態で、さらに粒状にし、スラグを取りやすくしている例は、少なくとも時計メーカーでは他にないのではないか。金から不純物が取り除かれると、当然ながら外装はよりきれいに仕上がる。
改めて、ロレックス恐るべし!!
今回ロレックスは、なんの紹介もなしに、その驚くべき時計作りの一端をさらっと紹介してみせた。写真と、いくつかの部品だけを掲示したのは、時計関係者ならばこのすごさは見れば分かるはず、というアピールに違いないし、それは、時計作りを少ししか分からない筆者でさえも、十分唸らされるものだった。うーむ、ロレックス恐るべし。
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