インデックスの工夫や太い針により視認性を高めた
鈴木これ、インデックスにはほぼ金属を使ってないですよね。針くらいかな。しかも、針もここまで太さがあると視認性が高いし、貧弱さがない。
広田最近の日本のクォーツ時計は太い針を載せる努力を見せていますね。プロトレックが良い例で。そのために、カシオは高トルク化もやってるけれど、それ以上に針を薄く軽くさせている印象があります。このモデルは、カシオがプラ成型の技術を向上させてきたひとつの帰結であるし、長年の悲願であった金属製の外装でこれだけのものを作れたのは凄い。この時計、すごく僕は好きです、本当に。
鈴木プラ成型のノウハウと金属の使い方のハイブリット系ですよね。カシオは他の時計メーカーとは成り立ちが違うから面白いです。
広田あとオシアナスは、見返しのリング部分にインデックスを付けて文字盤から浮かしています。接着するには分厚いインデックスを外枠で支えるのは、カシオが一貫して好んできた手法なんですよね。
元々はコストダウンの手法だったんですけれども、カシオはそれを逆手にとって、生産性を考えつつデザインの一体感を増すためにうまく取り込みました。現行のオシアナスは、良い意味でカシオのデザインコードの延長線上にあるっていう点で、僕はすごく好きですね。
鈴木ちゃんと時計として育ってます。
広田あと、カシオの意外な美点としては、文字盤と針のクリアランスを詰めてきた。
鈴木そうだね、ガバガバじゃない。
広田昔、カシオのデザイナーさんと話したことがあるんですけど、IWCのGSTが好きだと聞いて納得したんですよね。
鈴木あ〜なるほど。ぽいですね。
広田GSTは1990年代後半に発表されたモデルです。
鈴木あの頃結構、かっちょいいデザインがちょこちょこあったんですよね。
広田そのパッケージのように、針も太いし、クリアランスも詰まってるし、実はすごい出来です。こんなに良くなるとは思わなかった。
ケースの加工にはハカセも文句ナシ!
土井チタンケースの仕上げはどうですか?
広田このケースは日本製らしく良くできていますけど、個人的には見せどころをよく考えているなと思います。ベゼル外周とケース側面のいわゆるA面の部分をザラツ研磨してポリッシュにして、そのほかの筋目とのバランスを取ってる。
鈴木稜線もチタンとしては出ていますしね。
広田エッジをバリバリに効かせているわけではないけど、A面を大きく見せることによってクッキリと見せています。デザインのアプローチとしては、ロイヤル オークの50周年モデルに近いですね。バリバリにエッジを立てるとコストかかりすぎるから、その意味でも納得です。
鈴木装着感はチタン製だからやっぱり軽くて。ブレスは前回の「OCW-T200S-3AJF」よりもコマに遊びがありましたね。
広田このペタッとした着け心地は、ちょっと過剰な表現かもしれないけど、ちょっとね、ノーチラスの感じに似ている。
一同 わはは!
鈴木それは広田さんしか言えない!(笑)
広田剛直で左右の遊びのないブレスレットではなく、要は、遊びがあってクタッとして、腕に張り付く感じ。質感は全然違うけど、着け心地の系統としては近い。
鈴木いい意味でユルいってことね。例えとしては分かります。とはいえユル過ぎないから、着けていて全然不安感もないし、軽いし、見た目もちゃんと仕上げられてるね。
広田カシオは別に狙ったわけではないと思うけど、結果として、時計の大きさ、重さとかブレスレットとヘッドのバランスとか含めて、似ていると装着感が近付いてくるのかな。
鈴木近年のオシアナスは、外装のパッケージがすごくまとまってきてますよね。見た目も装着感も。