SNSやバラエティ番組が煽った「ロレックスマラソン」の大罪

「儲かる」イメージに惹きつけられる人々

 日本ではこの2年あまり、テレビメディアが無責任に煽ったおかげで、ロレックスには「転売すると儲かる腕時計」というイメージができてしまった。その結果、転売目的で、また投機目的でロレックスを購入する「転売ヤー」に加えて、ロレックスについて「世界で最も有名で人気がある腕時計」ということしか知らない人々が、「お手軽な儲け話」としてロレックスに惹きつけられている。それが今の「ロレックスマラソン」を引き起こしたロレックスブームの正体だ。

 これはあくまで個人的な意見だと断って申し上げるが、そんな理由で買うのは、ロレックスの人々やその製品に失礼だ。ロレックスはあの内容であの価格で正規で販売される腕時計だから素晴らしいのだ。

「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2022」で、ロレックスの新作をチェックする時計業界関係者。筆者も毎年、この絶対的なNo.1ブランドの新作チェックから取材を開始する。

 転売や投機自体は個人の自由だ。しかし、新品を購入して中古ロレックス店に持ち込むと2〜3倍で買い取られ、それがさらに高いプレミアム価格で販売される。これは明らかに異常だ。

 ロレックスの価値を理解していて、定価でロレックスが欲しい人にとっても、また、真面目に時計を作って定価で販売しているロレックスにとっても、そして冒頭で紹介した時計店のスタッフにとっても、これはただただ迷惑な話である。


SNSやテレビメディアが引き起こした「心の病」

「ロレックスマラソン」という報道や、「ロレックス=儲かる腕時計」といって煽るバラエティ番組や、“時計投●家”などと自称する人々の「煽り」は、冒頭で紹介したような、正規販売する時計専門店のスタッフへのあり得ない加害をもたらした。実は事態はもっと深刻だ。

「ロレックスマラソンへの対応が一因になって『心の病気』になった人も出てしまい、経営者としても困っている。本当に欲しい方に何とかお売りしたいのに」。ある老舗時計専門店の経営トップはこう話してくれた。

 あなたがこの「下衆な儲け話」に惹きつけられてマラソンを続ける限り、この不幸な展開は続く。あなたが「転売ヤー」でないなら、突然お店を訪れるロレックスマラソンは即、やめてほしい。

「今の相場は異常だ。どこかで調整局面=相場の暴落が来る」

 これは時計業界のプロたちの一致した見解。そろそろ冷静になってほしい。


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