目を引く鮮やかな色調が特徴のラッカー文字盤
アイスブルーの文字盤に採用されるもうひとつの手法がラッカー塗装によるものだ。文字盤の表面に塗料を複数回塗り重ねるラッカー塗装は厚みが出るため、サンレイやギヨシェとの併用は難しい。その代わり、塗料の色をそのまま文字盤の色として出せるため、特に鮮やかな色味のライトブルー文字盤との相性は良い。
また多くの場合、ラッカー仕上げの文字盤は平面である。近年の高級時計で増えているのはポリッシュラッカーで、ラッカー塗装を重ねた後、表面を研磨剤などで磨き上げるというもの。塗料の製造技術の進化により、耐久性も格段に向上している。
グランドセイコー
自動巻き(Cal.9S85)。37石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径40mm、厚さ12.9mm)。10気圧防水。銀座限定260本(グランドセイコーフラッグシップブティック 銀座など5店舗のみで販売)。77万円(税込み)。
グランドセイコーでは異例とも言うべき、鮮やかな“空色”文字盤を採用した、銀座エリアの取扱店舗限定モデル。「銀座の昼下がりの高揚感」を表現した文字盤には、銀座に張り巡らされた街路をモチーフにした「銀座グリッドパターン」が施されている。ラッカー仕上げの研ぎ出された文字盤表面からは手間暇を感じさせる。
クォーツ(Cal.9F85)。SSケース(直径40mm、厚さ10.7mm)。10気圧防水。世界限定2000本。44万円(税込み)。
日本の美意識を取り入れた文字盤表現に注力するグランドセイコーは、自然界から着想を得たバリエーション豊かな文字盤を複数展開する。本作は1967年初出の44GSの誕生55周年を祝う限定モデルで、信州で見られる壮大な雲海をモチーフとしている。立体的かつ繊細な文字盤表面のパターンは型押しによるもの。手作業で仕上げた金型を複数回押し当て、メッキと塗装、そして磨きをかけることで完成するのだ。
クォーツ(Cal.9F61)。SSケース(直径34mm、厚さ10.7mm)。3気圧防水。44万円(税込み)。
信州の山々に積もる雪に着想を得た“雪白ブルー”をダイアルカラーに採用する。和紙のような質感のダイアルは、グランドセイコーが得意とする型打ちによるもの。直径34mmのケースにノンデイトという、現行モデルでは少数派な仕様を持つ。
セイコー プロスペックス
自動巻き(6R35)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径40.5mm、厚さ13.2mm)。200m空気潜水用防水。14万8500円(税込み)。
(右)セイコー プロスペックス「1968 メカニカルダイバーズ 現代デザイン Save the Oceanモデル」SBDC167
自動巻き(6R35)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径42mm、厚さ12.5mm)。200m空気潜水用防水。14万8500円(税込み)。
1965年、68年、70年に誕生した歴史的なダイバーズウォッチを、現代的に解釈した3本のモデルが今年、セイコー プロスペックスに加わった。極地に広がる氷河に着想を得たデザインコンセプトはすべて共通だが、文字盤がライトブルーなのはそのうちの2本だ。切り立った氷河を表現した縦方向のランダムなパターンは、グランドセイコーの文字盤同様、型押しによって作られる。
ブライトリング
自動巻き(Cal.B23)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。SSケース(直径41mm、厚さ14.27mm)。3気圧防水。63万9100円(税込み)。
(中)ブライトリング「スーパークロノマット B01 44」
自動巻き(Cal.01)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径44mm、厚さ14.4mm)。20気圧防水。132万円(税込み)。
(右)ブライトリング「ナビタイマー B01 クロノグラフ 43」
自動巻き(Cal.01)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径43mm、厚さ13.6mm)。3気圧防水。107万2500円(税込み)。
ブライトリングは2022年上半期で3本のモデルにアイスブルー文字盤を採用した。「トップタイム トライアンフ」は蝶ネクタイをイメージした「ゾロダイアル」が特徴で、イギリスのバイクブランド、トライアンフの「サンダーバード6T」を彷彿とさせるカラーだ。縦方向にヘアラインを入れてコーティングし、クリアのラッカーを吹き、その上からインデックスなどを印字しているため、表面に多層感が生まれている。また「スーパークロノマット B01 44」と「ナビタイマー B01 クロノグラフ 43」は、コレクションのイメージを一変させるほどの明るいブルーを採用。放射状のサンレイ仕上げで、かなりの艶がある。
自動巻き(Cal.17)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SSケース(直径44mm、厚さ12.62mm)。300m防水。ラバーストラップ:58万3000円(税込み)。ステンレススティールブレスレット:60万5000円(税込み)。
(右)ブライトリング「スーパーオーシャン オートマチック 36」
自動巻き(Cal.17)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SSケース(直径36mm、厚さ12.21mm)。300m防水。ラバーストラップ:56万1000円(税込み)。ステンレススティールブレスレット:58万3000円(税込み)。
これまでのブライトリングでは見られなかった、鮮やかなターコイズブルーのダイアルが目を引くダイバーズウォッチ。かつて“スローモーション”と呼ばれた、初期のスーパーオーシャンに由来するデザインを採用し、センター同軸の60分積算計は、センターセコンドになった。バリエーションは多く、ケースサイズで46、44、42、36mmの4種類で、メンズの44mmとレディスの36mmにターコイズカラーを用意する。ラッカーらしい光沢のある仕上げだ。
ボールウォッチ
自動巻き(Cal.BALL RR1103-C)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SSケース(直径40mm、厚さ13.2mm)。100m防水。28万6000円(税込み)。
ボールウォッチ エンジニアコレクションの最新作。904L ステンレススティールを外装に使用し、8万A/mの磁気に耐える「アンチマグネティック機能」や、マイクロ・ガスライトで自発光する針とインデックス、C.O.S.C.認定クロノメーターで高い精度を保証するなど、実用において重宝する要素を盛り込んだ注目モデルだ。アイスブルーカラーのサンレイ文字盤が光沢感を生んでいる。
エドックス
クォーツ(Cal.EDOX102)。Tiケース(直径45mm)。1000m防水。23万1000円(税込み)。
パワーボートレースの迫力ある世界観を取り入れた、エドックスの基幹コレクションが「クロノオフショア1」だ。1000m防水を誇る直径45mmのマッシブなケースと、3.5mm厚のセラミックス製ベゼルが目を引く本作の文字盤はマリンブルー。ボートレースの舞台である陽の光を浴びてきらめく海をイメージしており、外周から中央にかけて明るくなるグラデーション加工が施されている。
スウォッチ
クォーツクロノグラフ。バイオセラミックケース(直径42mm、厚さ13.25mm)。30m防水。3万3550円(税込み)。
誰もが予想しなかったスウォッチとオメガとのコラボレーションと、スピードマスターモチーフの遊び心の効いたデザインで、世界的な話題となっている「ムーンスウォッチ」。太陽系の惑星がテーマで11種類をラインナップするが、ウラヌス(天王星)モデルはアイスブルー文字盤が採用されているためか特に人気だ。ストアを訪れて希望のモデルを買えない状況は、もうしばらく続くであろう。
モーリス・ラクロア
クォーツ。プラスティック×グラスファイバーケース(直径40mm)。100m防水。8万8000円(税込み)。
(右)モーリス・ラクロア「アイコン タイド」
クォーツ。プラスティック×グラスファイバーケース(直径40mm)。100m防水。10万2300円(税込み)。
モーリス・ラクロアの人気作、アイコンコレクションに加わったポップなカラーリングの「アイコン タイド」。海岸などで回収された海洋ゴミを再利用したリサイクルプラスティックと、グラスファイバーを組み合わせた複合素材を外装に採用するエコ仕様だ。文字盤は「ジュラ山脈ウェーブ」と称するパターンが施されており、ケースと同じ色にペイントされている。
ベル&ロス
自動巻き(BR-Cal.323)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径42mm、厚さ12.8mm)。100m防水。SSブレスレットモデル:92万4000円(税込み)、ラバーストラップモデル:85万8000円(税込み)。
2019年発表の「BR05」コレクションを進化させ、高機能化を果たした「BR-X5」にも、サンレイ仕上げのアイスブルーダイアルが加わった。BR05が持つ特徴的なディテールを継承しながら、外装・ムーブメント共に大きく刷新されている。ケースは多数のパーツでミドルケースを挟み込む「サンドイッチ構造」が採用されている。そのためケース側面には大きな空間が生まれ、耐久性を高めるとともに軽量化も実現した。
モリッツ・グロスマン
手巻き(cal.100.3)。26石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径41mm、厚さ11.85mm)。世界限定18本。693万円(税込み)。
クラシカルな時計が大半を占めるモリッツ・グロスマンから、鮮やかなターコイズブルーの時計が披露されるとは、大半の人は思いもしなかっただろう。ダイアル外周で日付表示する「デイト」の限定モデルで、緻密なギヨシェ彫りとの組み合わせが巧妙。カリ・ヴティライネンのダイアル工房、コンブレマイン社とのコラボレーションにより実現した。ギヨシェパターンは見る角度により表情を変え、鮮やかであっても上品で落ち着いた印象を与える。
グラスヒュッテ・オリジナル
自動巻き(Cal.37-02 / シリコン製ヒゲゼンマイ搭載)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径40mm、厚さ14.1mm)。100m防水。世界限定各100本。201万3000円(税込み)。
グラスヒュッテ・オリジナルの人気作「セブンティーズ・クロノグラフ・パノラマデイト」に加わった限定モデルは、目の覚めるような鮮やかな「ディスコブルー」を採用。ブランドを象徴するラージデイトの窓や、クロノグラフのインダイアルは凹んでおり、ラッカーによってダイアル全体がマットな質感に仕上がっている。
ジン
自動巻き(Cal.SW200-1)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SSケース(直径38.5mm、厚さ11.0mm)。20気圧防水。世界限定400本。27万5000円(税込み)。
今までのジンのイメージにはなかった鮮やかなカラーを採用し、このアクアマリンブルーの他にエメラルドグリーン、シトリンイエロー、カーネリアンレッドが用意されている。4色のバリエーションはいずれも宝石の色がインスピレーション源となっており、表面が粒立ったメタリック仕上げになっている。ロジウムコーティングを施したポリッシュ仕上げのアプライドインデックスが配され、塗布された蓄光塗料によって暗所でも高い視認性を誇る。
今後も注目のアイスブルー文字盤
続々と登場するアイスブルーの文字盤を採用する新作モデルの数々。本記事では2022年に発表されたモデルを紹介したが、その充実ぶりは勢いを増すばかりである。人気色であるが故に、ロレックスやグランドセイコーの一部モデルは非常に買いづらい状況だからこそ、他の選択肢に目を向けるには絶好のタイミングだろう。
https://www.webchronos.net/news/73594/
https://www.webchronos.net/news/80285/
https://www.webchronos.net/news/77089/