『クロノス日本版』の編集部員が話題モデルをインプレッションし、語り合う連載。今回は、編集長の広田雅将、副編集長の鈴木幸也、ほそやんこと細田雄人、そして新人の土井康希の4人で、ジン「103」を好き勝手に論評する。
阿形美子:文 Text by Yoshiko Agata
2022年10月18日公開記事
ブランド創業当初から50年以上続くシリーズの現行モデル。風防やベゼルの仕様変更、SUG製ケースの導入により、外装の質が向上するとともに、耐傷性も高まった。2018年からは、時計内部を乾燥した状態に保つArドライテクノロジーが標準装備となった。自動巻き(Cal.ETA7750)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。SS(直径41mm、厚さ17mm)。20気圧防水。48万4000円(税込み)。
ジンの定番モデル「103」の進化はいかに?
細田今回はみんな大好きジンです。いわずもがなハカセは103ラバーで、幸也さんも前職(ジンと関わりの深い出版社)時代からジンは紹介し続けてきて、僕もクロノス編集部に来て最初に買った時計はジンでした。そんなジンの中でも、やっぱり1番アイコニックなのが103ですよね。今、改めて、新しくなった103を着けてみようということで、「103.B.SA.AUTO」を選んでみました。
広田僕が使っていた、かつ、こよなく愛している103はプラ風防、ソリッドバックケースでした。まあ、今も103.B.AUTOとしてあるんですけど、プラ風防のモデルはケースの厚さは15.5mm、こっちは17mmですね。で、重さもプラ風防より14g重いです。
鈴木プラ風防の方が軽いけど、サファイアクリスタルの方が傷は付きにくい。バランスとしてはヘッドがちょっと重いけど、ブレスレットの調節次第で着用感は良くなるかな。
ブレスレットの質感は格段に向上!
土井ジンってコレクション全体的にブレスレットの質が良くなっていますが、103に関してはバランスが格段に良くなっていると思います。
広田そう。前のショボいブレスじゃなくなってる(笑)
細田それと、コマ調整がピン式じゃなくて、六角でできるようになりましたね。両側にネジ穴があって、一般の六角2本でグイッと回すだけで済むので、すごく簡単だと思いました。
土井一般的なネジ止めのタイプって、ほとんどがマイナスドライバーを使うんですけど、マイナスドライバーって、慣れていないとズレてブレスレットに傷を付けてしまったり、間違ったサイズ使ってネジを潰してしまったりしますから、これは良いと思います。
細田コマの両側にネジ穴があるから力もかかりやすいしね。まぁその分、コマが分厚くなっちゃうのが欠点。だから、高級機には採用しにくいでしょうけど、こういうタフな時計ならアリです。
鈴木103はヘッドも厚いから、着用感的にも視覚的にも厚いブレスレットでバランスが取れてるね。
細田それから、103の最大の変化は、ケースがドイツのケースメーカーのSUG製になったことでしょうか。ケースのダレた感じがなくなりましたね。SUGは2002年の洪水の時に大打撃を受けて、その際にシュミットさんが多くの株式を取得したそうです。
広田ほんと、良くなりました。
細田あのユルい感じの103ももちろん素敵ですけどね。これはちゃんと、21世紀の時計になってます。
鈴木全体的にがっちり・しっかりしました。ジン・テクノロジーのドライカプセルと希ガスも入っているから、ケース内も安定するし。
広田言うことない。プラ風防のモデルはベゼル全体がアルミ製だからすぐハゲるけど、サファイアクリスタル風防の方はステンレスの枠付きだから起きにくい。その点は良いな、と思っています。
細田それから、これは特殊結合のベゼルで、しっかりネジ止めされているんですよね。気圧が変わっても外れません。
広田質実剛健!