独創的な機械機構で時刻をデジタル表示する「ツァイトヴェルク」に第2世代が誕生した。近年の技術成果も取り入れて改良に磨きをかけた、第1世代を超えたまさに逸品だ。
菅原茂:文 Text by Shigeru Sugawara
Edited by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2023年1月号掲載記事]
ツァイトヴェルク待望のアップデート!
1990年代にブランドを復興させたウォルター・ランゲの有名な言葉に「Never stand stillーー決して立ち止まらない」があり、製品開発の指針となってきた。2022年10月に発表された新世代「ツァイトヴェルク」もまさにその証明だ。随所をアップデートして進化を遂げ、見事に生まれ変わっているからである。
瞬時に切り替わる3枚の数字ディスクによって時刻を表示するという、メカニズムもデザインも極めてユニークな機械式デジタル時計のツァイトヴェルクが誕生したのは09年。新作はこのファーストモデルを継ぐ、第2世代である。
進化はまず、新しいムーブメントのキャリバーL043.6に表れている。数字ディスクの瞬転のための動力を蓄え、一気に放出する制御機構(ルモントワール)は第1世代に搭載されたキャリバーL043.1と同様だが、ツインバレルに改めてパワーリザーブを2倍の約72時間に延ばした。
操作性に関する顕著な改良点は、4時位置に新設されたボタンである。このボタンで分表示とは別に時表示だけを進めることが可能になった。しかも押し込んで指を離した際に機能するという、通常とは逆の仕組みを採用し、その滑らかな作動が心地よい。時表示の単独変更機能はまた、旅先で時差調整が必要な際にも役立つ。
ツインバレルと約72時間のパワーリザーブ、4時位置のボタン機能という構成は19年発表の「ツァイトヴェルク・デイト」のキャリバーL043.8と同様だ。そこでの技術がこの第2世代に生かされているのは間違いない。
ケース径は第1世代と同じ41.9mmを踏襲するが、厚さは12.2mmと0.4mmほど薄くなった。たとえ紙一重の差であっても装着感の違いは生まれる。歴代モデルでクリアランスを詰めてきた成果だろう。変化はダイアルにも見られ、スモールセコンドが微妙に大きくなり、また、パワーリザーブインジケーターには残量が12時間を切ったところからの目盛りが赤く彩られている。とはいえ唯一無二のデザインや強く印象に残るインパクトに少しも変わりはない。実に絶妙というほかないワザである。
新しいモデルは18KPG(右ページ)とPt(上)の2種類を展開。PGにはシルバー無垢のブラックダイアル、Ptにはシルバー無垢のロジウムダイアルを組み合わせ、まったく異なる表情を演出する。いずれも手巻き(Cal.L043.6)。61石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約72時間。ケース直径41.9mm、厚さ12.2mm。価格問い合わせ。
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