おすすめのムーンフェイズ搭載モデル
ブレゲ、IWC、ゼニスはもちろんのこと、各社が誇るムーンフェイズ搭載モデルをチェックしてみよう。
ブレゲ「クラシック 7787」
自動巻き(Cal.591DRL)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。18KRGケース(直径39mm、厚さ10.2mm)。3気圧防水。528万円(税込み)。(問)ブレゲ ブティック銀座 Tel.03-6254-7211
ブレゲの「クラシック」は、ブランドを代表するコレクションだ。文字盤、針、ケースなど随所に、極限まで磨き上げられたシンプルな美しさを宿しており、その至高の表情は時計界の頂点に君臨する。ブレゲ針、ブレゲ数字、炉焼きのエナメル文字盤、ギョシェ彫りなど、時計の祖、ブレゲならではの意匠を余すところなく堪能できる垂涎のコレクションだ。中でも「クラシック 7787」は遊び心のある文字盤のデザインと、12時位置に配されたムーンフェイズの絶妙な配置が実に美しい。
深みのあるブラウンのストラップとローズゴールドのベゼルが調和する1本だ。シンプルでセンスの良い腕時計を探している人におすすめしたい。
IWC「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー」
自動巻き(Cal.52611)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約168時間。18KRGケース(直径44.2mm、厚さ14.9mm)。3気圧防水。650万1000円(税込み)。(問)IWC Tel.0120-05-1868
ポルトギーゼはIWCのクラシックラインだ。上品かつ端正なデザインが特徴的なコレクションである。
「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー」は、18Kレッドゴールド製ケースと、サントーニ社製ダークブラウンのアリゲーター・ストラップを備えたムーンフェイズ時計だ。サファイアクリスタル製風防は高度な技法によってアーチ型に加工され、そのエッジの美しさに思わず息をのむ。
永久ムーンフェイズと併せて搭載された永久カレンダーは、うるう年の調整も不要なカレンダー機能である。手に取って手首に載せた時に感じる、ずしりとしたメカニズムの存在感に超絶複雑時計の何たるかを堪能できる至福の1本である。
ゼニス「エリート ムーンフェイズ」
自動巻き(Cal.エリート692)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。18KRGケース(直径40.5mm、厚さ9.35mm)。5気圧防水。202万4000円(税込み)。(問)ゼニス ブティック銀座 Tel.03-3575-5861
薄型でエレガントなエリート搭載コレクション。6時位置に備えたムーンフェイズからは、精緻なメカニズムで駆動するゴールドの月や星々の描写が際立ち、9時位置にはスモールセコンドが配されている。
サンレイパターンを施した文字盤は、角度や光の加減によってさまざまな表情を見せてくれる。シースルーバックからはサテン仕上げの星型ローター分銅を鑑賞できる。
夜空の厳粛さを漂わせるムーンフェイズの色彩は非常にエレガント。夜のベールに際立つ月の神秘的な魅力を文字盤上で表現している。
オメガ「スピードマスター ムーンフェイズ」
自動巻き(Cal.9904)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径44.25mm、厚さ16.9mm)。10気圧防水。172万7000円(税込み)。(問)オメガ Tel.0570-000087
“ムーンウォッチ”の通称を持つオメガの「スピードマスター」も、ムーンフェイズがよく似合うコレクションだ。
本作は6時位置の、写実的な月をあしらったムーンフェイズが何よりの特徴である。3時位置には時分同軸積算計、9時位置にはスモールセコンドとポインターデイトを配した多機能モデルである。ブルーのセラミックス製ベゼルが爽やかな印象をも添えている。
ムーブメントは、コーアクシャル脱進機を備え、METAS認定のマスタークロノメーターを取得する。1万5000ガウスの超耐磁性能や優れた携帯精度を誇っており、実用性も抜群な1本である。
ブランパン「バチスカーフ コンプリートカレンダー ムーンフェイズ」
自動巻き(Cal.6654.P.4)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。セラミックケース(直径43.6mm、厚さ14.1mm)。300m防水。386万1000円(税込み)。(問)ブランパン ブティック銀座 Tel.03-6254-7233
ムーンフェイズディスクの意匠は、ブランドによってさまざまだ。“顔”付きを楽しみたいなら、ブランパンが良い選択肢になる。
ブランパンは1735年、スイスのヴィルレでジャン・ジャック・ブランパンが操業したブランドだ。1926年、世界に先駆けてレディース向け自動巻きムーブメントを搭載した「ロールス」をリリースしたり、1953年にはモダンダイバーズウォッチの祖となった「フィフティ ファゾムス」を生み出したりと、長い歴史の中で、時計市場での高いプレゼンスを示してきた。
今回取り上げるのは、「バチスカーフ コンプリートカレンダー ムーンフェイズ」である。ブランパンが1956年に生み出した、同名のデイリーユース向けダイバーズウォッチをルーツとする同コレクションは現在、さまざまなバリエーションが用意される。本作は2024年にリリースされた、セラミックス製モデル。バチスカーフ コンプリートカレンダー ムーンフェイズの特徴であるポインターデイト、小窓の曜日と月表示、そして6時位置にムーンフェイズを有しており、このムーンフェイズには星とともに顔が描かれた月が並ぶ。このアイコニックな顔立ちには、思わず目が引かれるのではないだろうか。
オリエントスター「M45 F7 メカニカル ムーンフェイズ」
自動巻き(Cal.F7M65)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径41mm、厚さ13.8mm)。5気圧防水。国内限定350本。22万円(税込み)。(問)オリエントお客様相談室 Tel.042-847-3380
オリエントスターは2023年、新たに“Mコレクションズ”の展開を発表した。おもに10万円以上のモデルを対象としたコレクションの再編で、3つの“M”に分類し、そのうち「M45」はおうし座の散開星団すばる(プレアデス)として知られるM45の名を冠している。オリエントスターが長年継承してきた伸びやかなラグやリーフ針を備えた、普遍的デザインを持ったコレクションであり、今回ムーンフェイズ搭載機として紹介したいのは、冬を間近に控えた、夜の田沢湖に映る月をイメージした数量限定モデルだ。田沢湖は、オリエントスターの製造拠点である秋田県に位置する、日本一深い湖だ。ホワイトシェルの文字盤にグラデーションを与え、ゆっくりと薄雲が流れる様子を表している。6時位置には、ポインターデイトとともに、銀色に輝くムーンフェイズが配されている。
ロンジン「フラッグシップ ヘリテージ」
自動巻き(Cal.L899)。21石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径38.5mm、厚さ12.4mm)。3気圧防水。47万8500円(税込み)。(問)ロンジン Tel.03-6254-7350
ロンジンが1957年に発表した「フラッグシップ」の復刻モデルが本作だ。3針モデルは長らくロングセラーとしてラインナップしてきたが、2023年にムーンフェイズ搭載モデルが追加された。ポインターデイトと同軸になっており、実用性にも優れている。
シルバーオパーリンカラーのドーム型文字盤に、ゴールドカラーの針とインデックスが温かみを感じさせる。ムーブメントは、シリコン製ヒゲゼンマイを搭載し、約72時間のパワーリザーブを備えている。
IWC「ポートフィノ」
自動巻き(Cal.35800)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径40mm、厚さ11.1mm)。3気圧防水。107万2500円(税込み)。(問)IWC Tel.0120-05-1868
IWCから、もうひとつムーンフェイズ搭載モデルを紹介しよう。奇をてらわないタイムレスなデザインが魅力の「ポートフィノ」コレクションである。
本作では、丸みを帯びたケースライン、長く伸びるリーフ型の時分針などのコレクションを象徴する意匠をそのままに、12時位置にムーンフェイズを搭載している。
ポリッシュ仕上げが基調となったケースはエレガントで、ムーンフェイズと相まって、特別な装いのアクセントとなってくれるだろう。
ムーンフェイズ機構の調整方法
ムーンフェイズの月相表示の誤差が大きくなってきた場合は、自分で調整を行う必要がある。2種類の調整方法を覚えておこう。
リュウズを回す
リュウズで調節するタイプのムーンフェイズは、基本的にリュウズを回して月相を調整できる。インターネットで検索すれば、月齢カレンダーでその日の月齢は簡単に確認できる。
リュウズで調節するタイプの基本的仕様は、まずムーンフェイズを新月の月齢0の状態にし、直近の月齢0の日から経過日数分のリュウズを回して進める。月齢15の満月を基準にする場合も、同様の手順で調整できる。
リュウズはムーンフェイズの調整だけでなく、日付や時刻の調整でも使用するため、実際に合わせる際は必ず取扱説明書で操作方法を確認しよう。
プッシュボタンを押す
プッシュボタンでムーンフェイズを調整できるモデルもある。ほとんどのモデルには、ケースサイドに小さなプッシュボタンが付いている。
プッシュボタンによる調整方法も、基本的な考え方はリュウズの調整と変わらない。月齢カレンダーでその日の月齢を確認し、ムーンフェイズを月齢0の状態にしたら、直近の新月または満月からの経過日数分をプッシュボタンで進めていけばよい。
プッシュボタンはクロノグラフの調整でも使用することがあるため、操作する際は十分に注意しよう。モデルによっては小さな調整用ボタンを“コレクター”と呼ぶ場合がある。
神秘的な魅力を放つメカニズム複雑機構を堪能しよう
文字盤上で月の満ち欠けを示すムーンフェイズは、装飾的な意味合いが強い複雑機構だ。現代では各ブランドが、個性に富んだムーンフェイズ搭載モデルを生み出している。
ムーンフェイズ時計を選ぶ際は、ブランドやコレクションの特徴も重視したい。ロマンあふれるムーンフェイズモデルを手に取り、腕元で小宇宙を感じてみよう。