総評
2019年以来、久々に訪れたジュネーブは、すっかり元気を取り戻した様子。それを強く感じたのが、これまでとは違う時間の表現を目指した、いわば「もっと時計を楽しもう」という快作があちらこちらで発表されていたこと。ここではそんなモデルを挙げてみた。
「FFC」は指で時間を表すオートマタの超絶複雑機構が凄いわけだが、それを改良してレギュラー化してしまおうという、その熱意というか狂気というかに感動。これは優勝でしょう。
「トンダ PF ミニッツ ラトラパンテ」は「GMT ラトラパンテ」のデザインと機構をそのままに、「オデュッセウス・クロノグラフ」も「オデュッセウス」のデザインと機構をそのままに、という自身で決めたルールをクリアすることを楽しんでいるような、その開発姿勢が見ていて爽快で心躍る。
「カラトラバ 24時間表示 トラベルタイム」は真面目な作品だけれども、しかし24時間表示はやはり圧倒的にマイナーで、それを真剣に開発するのが同ブランドらしく、そこが楽しく大好きだ。
「オイスター パーペチュアル デイデイト 36」は見るからに楽しい。しかしカラフルなダイヤルはシャンルヴェで、そういう本気で作っているところが素晴らしいのだ。
また、オリスの「プロパイロット X カーミットエディション」も毎月最初にカーミット(あのカエル)の顔が日付窓に表示される楽しい作。“Make people smile”がテーマで、まさに「もっと時計を楽しもう」というのを象徴するモデルでもあった。
選者のプロフィール
福田豊
ライター、編集者。『LEON』『MADURO』などで男のライフスタイル全般について執筆する時計ライター/編集者。webマガジン『FORZA STYLE』にて時計連載や動画出演など多数。特にFORZA STYLEが運営するYoutubeチャンネル内の人気シリーズ「腕時計魂」では、“ロック福田”として人気を博す。そのインパクトあるキャラクターと、軽妙な語り口は、老若男女を問わず、多くの時計ファンを魅了している。
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