ロレックス/ オイスター パーペチュアル デイトジャスト

OYSTER PERPETUAL DATEJUST II [Ref.116300]
ケース径を拡大した最新バリエーション

オイスター パーペチュアル デイトジャストⅡ Ref.116300

オイスター パーペチュアル デイトジャストⅡ Ref.116300
2012年発表。09年に拡大されたケースの別バージョン。主にベゼルとラグを幅広くしたことで、直径を41mmとしている。時計は厚ぼったく見えるはずだが、ベゼルの造形が良いのか、意匠に違和感はない。Cal.3135にパラクロムヘアスプリングと新しい耐衝撃装置パラフレックスを採用した、Cal.3136を搭載する。自動巻き。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。SS。100m防水。68万円。

 長年、デイトジャストは直径36㎜というケースサイズを守り続けてきた。理由は定かでないが、直径28㎜の自動巻きムーブメントには、このサイズが適切だったのだろう。しかしロレックスは、2009年にケースサイズを拡大した「デイトジャストⅡ」を発表した。直径は41㎜となり、ケースの造形もマッシブになった。もっともロレックスのことだから、他社のように、闇雲にケース径を拡大したわけではない。ダイアルもわずかに大きくなり、併せてインデックスも太くなった。ロレックスがきちんとした裏付けを前提に、ケースサイズの拡大に取り組んだことは、強調しておく必要がありそうだ。1990年代後半、ロレックスはブレスレットの設計について、ある特許を取得している。中ゴマと外ゴマの分離が容易な「モジュラー・ユニット」(アメリカ特許6026637)である。これは整備性を考えた設計であったが、かつて緩めに固定されていたコマは、これ以降、頑強に固定されることが通例となった。これは時計師にとってはもちろん、ユーザーにとってはなお歓迎すべき変更であった。以降、直接的な関連はないにせよ、従来のピン固定を採用するデイトジャストⅡなどでも、長期間使用してもガタが出にくくなり、重いヘッド部分にも対応できるようになった。デイトジャストⅡを見ると、バックルもやはり強固である。これもヘッド部分の重量増を考慮したものだ。

 ただし、径が拡大されたケースやダイアルの意匠に対して、針はやや細く短い。デイトジャストと似たサイズの針を用いるからである。駆動トルクにマージンを取るロレックスは、いたずらに針を大きくしたくなかったのだろう。理屈は分かるが、もう少しの長さと幅が改善されたら、デイトジャストⅡはより改善された意匠を持ったに違いない。

(左上)サンレイ仕上げを施したダイアル。太くなったインデックスと併せて、視認性はかなり高い。(右上)現行のデイトジャストに同じく、ケースとフラッシュフィットの間隔は完璧に詰められた。他社には決して模倣できないディテールである。(中)ケースサイド。風防とベゼルの段差も、デイトジャストに比べてなお詰められた。理由はおそらく、装着感のさらなる改善だろう。(左下)ケースサイドとラグ。やや尖り気味のデイトジャストに対して、デイトジャストⅡのラグは、先端で急激に落ちるような形状となっている。拡大されたケース形状に対応して、腕なじみをより良くするための配慮。現行のロレックスらしく、ポリッシュ仕上げの精度は非常に高い。(右下)新しいバックル。コンシールドタイプではないが、基本的な構造は同じ。王冠を引くのではなく、バックルの先端部分を引き上げて開閉する。かなり重厚なバックルだが、爪がかりが良く開閉は容易だ。また左右の遊びのなさも特筆に値する。当然ながら、イージーリンクが搭載されており、ブレスレットの微調整も可能である。

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