DATOGRAPH
ダブルスプリットの改良点を盛り込んで実用性を向上
2007〜08年頃から生産された“第3世代”。写真は2011年に販売された個体。作動レバー押さえバネが強化された反面、瞬間的に分積算計の表示を送るプレシジョン・ジャンピング・ミニッツ・カウンターからは、分積算車に噛み合う押さえバネが省略されている。いずれも、ダブルスプリットに準じた、実用性を高めるための改良である。L.951.1としては、この第3世代が最終型である。手巻き(Cal.L951.1)。40石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約36時間。Pt(直径39mm)。30m防水。個人蔵。
ダトグラフの最終型が、2007〜08年頃から生産された「第3世代」である。市販最初期型(第2世代)との違いは主にムーブメント。04年発表のダブルスプリットに準じた小改良が施されている。変更点はわずかだが、実用性を考えると、作動ツメ押さえバネが強化され、プレシジョン・ジャンピング・ミニッツ・カウンターが改善された第3世代はお勧めだ。
従来、それ以外の変更点はないと考えられてきたが、実は第2世代と第3世代では、わずかに仕上げや造形も異なっている。最も分かりやすい箇所はスモールセコンドだろう。全体的に印字の太かった第2世代に対して、第3世代のそれはわずかに細くなっている。また白い印字も、第3世代のほうがわずかに濃い。表面を荒らしたダイアルの仕上げも、第2世代と第3世代では異なっている。第2世代のマット仕上げ(おそらくスターン製)は、表面のざらつきがやや不均等であり、そのニュアンスはIWCの「パイロット・ウォッチ」に酷似している。対して第3世代以降のダイアルは主にヴォーシェ製である。表面のざらつきは細かく、しかも均一になった。また第3世代からは、文字盤外周のタキメーター表記が「METER」から「METERS」に改められている。わずかな違いだが、こういった点に注目すると、第2世代と第3世代は容易に見分けられるだろう。
もっとも、インダイアルの印字が細いのにMETER表記のダイアル(しかも第3世代のムーブメントを載せている)や、METERS表記なのに印字が太い個体(これは第2世代のムーブメントを載せていた)も希にある。特に18KRGケースのモデルには、これらが混在しているものが多い。プラチナほど数を作らなかったためだろうか。そのためここで挙げた基準は、あくまでも目安のひとつと考えていただきたい。