BIG BANG UNICO
ウニコ搭載を前提に進化を遂げた新基幹モデル
ベゼルを含む外装全体に、極めて硬いマジックゴールドを採用したモデル。ケースは2013年にリリースされた45mmサイズ。全体のデザインはフェラーリモデルを踏襲するが、プッシュボタンの形状など細部が異なる。自動巻き(Cal.HUB1242)。38石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。18Kマジックゴールド(直径45mm)。10気圧防水。世界限定250本。384万4800円。
2005年にフュージョン(融合)というキャッチフレーズを掲げて登場したビッグ・バン。これは異素材を組み合わせるだけでなく、やがては素材自体を化学的に融合させる試みへと進化した。好例がマジックゴールドだろう。「ビッグ・バン フェラーリ」で初めて採用されたこの独自素材は、18Kゴールドながら、1000Hvという極めつきの表面硬度を持つ。
ここで改めて製法を述べたい。炭化ホウ素の粉末をシリコン製の型に入れて、約2000気圧の圧力をかける。こうやって成形されたセラミックスを約2200℃で加熱すると、セラミックスは多孔質の素材に変化する。そこに約1100℃で加熱した純金を流し込み、約1400℃の温度で約200気圧をかけると、セラミックスと金が融合し、マジックゴールドに変化する。素材が硬いため、ベゼルのスライスは、ワイヤ放電加工機でなければ不可能。表面は5万ヘルツの速度で研磨される(「クロノス」ドイツ版より、ギスベルト・L・ブルーナー氏の記述を要約して抜粋)。
この素材の開発に携わったエンジニアによると、マジックゴールドの製法は、ゴールドだけではなく、カーボンなどの素材にも応用できるとのこと。2015年に発表されたチタンやゴールドをカーボンに融合させた新素材も、おそらくはマジックゴールドの製法を応用したものだろう。
わずか10年で、内実ともに大きく進化したビッグ・バン。その歩みを象徴するのが本作だ。初見の印象は明らかにビッグ・バンである。しかしケース形状や素材、そしてムーブメントは、05年の第1作とはまったく別物となった。ウブロにとってイノベーションほど重要なものはないと語ってきたビバー。しかし誕生からわずか10年で、ビッグ・バンがこのようなスタイリングに進化すると、関係者の誰が想像しただろうか。