CASABLANCA LUNA 5850
ムーンフェイズを備えたコレクターズピース
カサブランカ ルナ 5850
2016年初出。初期フランクの持っていた“好事家向けの要素”を打ち出した新作。針と文字盤のクリアランスが詰まり、ムーブメントの位置が下がった結果、パッケージングも改善された。自動巻き(ETA2892A2)。21石。2万8800振動/時。SS(縦45×横32mm)。3気圧防水。120万円。
2016年初出。初期フランクの持っていた“好事家向けの要素”を打ち出した新作。針と文字盤のクリアランスが詰まり、ムーブメントの位置が下がった結果、パッケージングも改善された。自動巻き(ETA2892A2)。21石。2万8800振動/時。SS(縦45×横32mm)。3気圧防水。120万円。
よりマッシヴになった第4世代のカサブランカ。現代風なデザインを好む人もいるだろうが、初期フランクの愛好家からすれば、いささか過剰だろう。おそらくフランク ミュラーもそれを分かっていたのか、2016年には往年のモデルを思わせる、「カサブランカ ルナ」が追加されている。分かりやすい変更点は、6時位置のムーンフェイズ。加えてインデックスも第3世代と同じ細身なものに改められた。しかしそれ以外の変更点は、実にマニアックだ。通常のカサブランカが採用する文字盤は、石灰石で作られた白い壁の色をイメージしたもの。対して本作は、さらに表面を荒らし、かつわずかにラメが入った処理を加えている。女性を意識したモディファイともいえるが、このモデルの場合、むしろ初期のカサブランカにおける試みを再現したものだろう。
ストラップはカサブランカお馴染みの生成りのカーフ。フランク ミュラーは生産者を明かさないが、おそらくはオリジナルと同じ、J.C.ペランだろう。製法も手縫いである。
面白いのは、ムーンフェイズの上に印字されたカサブランカのロゴだ。青を見かけることが多いが、関係者曰く赤も存在するとのこと。これは製造ミスではなく、意図的に混ぜているという。商品管理は難しくなるが、今なお愛好家を刺激する試みをやめないあたりが、いかにもフランク ミュラーではないか。
天才時計師の作り上げた〝普通の時計〟カサブランカ。ムーブメントは汎用品だし、価格も安くはない。しかしムーブメントを追いかける愛好家ならば、天才フランク・ミュラーがなぜこの時計に情熱を傾けたのかは、きっと理解できるはずだ。ムーブメントを知悉した人だからこそ作り得た〝究極のガワ時計〟。その存在感は、今なお他を圧するのだ。
(左上)インデックスの形状は第3世代の細身なものに改められた。また蓄光塗料の“載り”も、数年前のモデルに比べて改善されている。下地にラメを引いたような文字盤は、第3世代でも一部採用されたものだ。(右上)ムーンフェイズの搭載により、文字盤がわずかに嵩上げされた。その結果、針と文字盤のクリアランスはかなり詰まった。私見を述べると、これがカサブランカ史上ベストのバランスである。なおこのモデルのみ、秒針はクロノグラフ用の積算秒針が転用されている。(中)ケースサイド。大きな違いがリュウズの位置である。SSケースの5850ケースは、一貫してムーブメントの搭載位置が高かった。しかし本作では、ようやく低く抑えられ、それに伴いリュウズ位置も大きく下がった。ケースだけを見れば、このモデルは“第5世代”というべき仕上がりだ。(右下)フランク ミュラーらしいアレンジが、ロゴの色である。青を多く見かけるが、実際には赤も生産されている。関係者曰く「なぜイレギュラーな仕様が存在するのか不明」とのこと。文字盤の下地は、第3世代でも採用されたラメ風の仕上げ。(右下)第4世代と同じ裏ブタ。ただしリュウズを見ればわかる通り、ムーブメントの位置はかなり裏ブタ側に寄せられた。結果、時計の装着感も改善されている。
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