CLASSIC FUSION
〝ビッグ・バン以降〟を象徴するスタイルの進化
クラシック・フュージョン チタニウム ブルー Ref.511.NX.7170.LR
2009年初出。薄いスポーツウォッチを指向した「ビッグ・バン クラシック」から一転し、ドレスウォッチ的な要素が強調された。自動巻き(Cal.HUB1112)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。Ti(直径45mm)。5気圧防水。82万円。
2009年初出。薄いスポーツウォッチを指向した「ビッグ・バン クラシック」から一転し、ドレスウォッチ的な要素が強調された。自動巻き(Cal.HUB1112)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。Ti(直径45mm)。5気圧防水。82万円。
少なくとも2007〜08年の時点で、ジャン-クロード・ビバーは「今後時計は薄くなる」と語っていたと、多くの関係者は語る。確認が取れた言葉ではないが、彼がブランパンの時代に、薄型時計の開発に熱中していたことを思えば、十分あり得ることだろう。
ビバーが、かなり昔から薄型時計にシンパシーを寄せていたと仮定しよう。しかし同時に彼は、薄型時計の限界をも理解していたように感じられる。
2008年に発表された「ビッグバン・クラシック」(現クラシック・フュージョン)は、言ってしまえば「ビッグ・バン」の立体感を薄いクラシックに接ぎ木する試みだった。ストラップを固定するラグは一段飛び出し、またインデックスも多面体に成形しなおされた。
彼はビッグ・バンで成功した3D的な要素を加えることで、クラシックに〝現代風〟な要素を加えようとしたのである。加えて、ストラップも、ビッグ・バンほどではないが、太く〝モダン〟に改められた。
ビッグ・バンの陰に隠れて、エントリーモデル的な扱いを受けてきたクラシック・フュージョン。もっともその作り込みは、ビッグ・バンにもひけをとらない。弓管とケースの噛み合わせは初代に及ばないものの、鍛造で成形されたケースは面の歪みが小さくなり、ラッカー仕上げの文字盤も、年々発色が鮮やかになっていった。
正直、2004年以降の数年間、ビバーはクラシックの扱いに困っていたように見受けられる(控えめに言っても優先順位は高くなかった)。わずか4年間で、名称が4回変わったことからもそれは想像できよう。しかし彼はやがて、このコレクションをウブロ第2の柱に仕立てることを考えた。エントリーから薄型へ。そういった変化を象徴するのが、次項で取り上げる「ウルトラ-シン」だ。
(左上)ビッグ・バンに共通する“耳”は2008年の「ビッグ・バン クラシック」以降ファイバーに変更された。ようやくパーテーションラインが消え、高級機らしい外観を持つに至った。なお、文字盤の嵩を上げて、針とのクリアランスを詰めるのがウブロの定石。そのため日付表示は、文字盤から少し奥まった位置にある。(右上)4面のダイヤモンドカットが施された、立体的なバーインデックス。同じく立体的なバーハンドと合わせて、高い視認性をもたらす。なおブルーの文字盤はペイントではなく、珍しいメッキ仕上げ。近年のウブロは、文字盤の繊細な下地を強調すべく、塗装に比べて膜の薄いメッキ仕上げを好むようになった。(中)ケースサイド。磨きにくいチタン素材にもかかわらず、ポリッシュの水準は驚くほど高い。(左下)ケースよりわずかにせり出した弓管。両者の噛み合わせは1980年のRef.1400ほど厳密ではないが、現在の高級機らしくよく詰まっている。(右下)搭載するのはセリタベースに改良を加えたCal.HUB1112。直径45mmのケースに合わせるべく、日付機構が拡大されている。ケースに比してムーブメントはかなり小さいが、リュウズのガタはよく抑えられている。ビッグ・バンにも言えることだが、好調なセールスに比例するかのように、プロダクトの細部は年々完成度を高めている。