RADIOMIR 1940 3DAYS-47mm [PAM00790]
ルミノールへと発展してゆく過渡期の造形美
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2018年の新作。文字盤はフィレンツェのパネライブティックにかつて置かれていた、振り子時計をモチーフにしている。より高級な仕上げを持つモデルだ。手巻き(Cal.P.3000)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約3日間。SS(直径47mm)。100m防水。限定500本。100万円。
紆余曲折を経て、高級なベーシックに落ち着こうとするラジオミール。その方向性を強調したのが、2018年に発表された「ラジオミール 1940 スリーデイズ アッチャイオ-47㎜」である。
デザインモチーフに選ばれたのは、ワイヤではなく一体型ラグを持つ、1940年製のラジオミール。立体的なデザインを持つ(=製造コストも高い)ため、パネライはこのラジオミール 1940を、いっそう高級なラインと位置づけてきた。その方向性は、本作も変わりない。搭載するのは、量産型のP.6000ではなく、高級なP.3000。スペックはほぼ同じだが、仕上げが良く、テンプも大きいため、理論上の等時性も一層高い。現在のロゴはソリッドバックを持つが、本作を含むラジオミール 1940は、すべてシースルーバックである。あえて変更するだけあって、見られる仕上げを施しているのが、普通のラジオミールとの違いと言える。価格はロゴの2倍以上だが、凝った外装と優れたムーブメントを考えればやむを得ないところか。また、風防も、コストのかかる立体的なドームサファイアに変更されている。
世界初の本格的な防水時計として生まれ、今や、高級なベーシックを体現するに至ったラジオミール。形こそ、1936年の第1作からほぼ変わっていないが、これほどさまざまなキャラクターを与えられてきたコレクションは他にない。しかし、一層見るべきは、コレクションの変遷以上に、質の向上だろう。
かつてミリタリーウォッチであり、復活後はしばしばファッションウォッチと揶揄されたパネライは、今や申し分のないほど、実用的な高級時計へと変貌した。それを象徴するのが、今のラジオミールと言える。控えめに言っても、時計好きならば、現在のパネライ、とりわけラジオミールは、一度は手にすべきモデルだろう。
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