ボーム&メルシエは、2022 年 10 月 26 日に他界した巨匠ピエール・スーラージュの作品のひとつをモチーフにした 2 作目となる、ユニークなタイムピースを発表した。偉大な画家ならびにロデーズのスーラージュ・ミュージアムとの素晴らしいコラボレーションの賜物となる独創的な新作は、スーラージュに捧げるオマージュであり、彼がわれわれに遺した心を打つヘリテージを力強く美しく体現している。『ハンプトン ポリプティック エディション - スーラージュ美術館10周年記念』ウォッチは、「Peinture 324 x 362 cm, 1986, Polyptyque I Edition」と題された、「ウートルノワール」シリーズの絵画からインスパイアされている。
ボーム&メルシエ『ハンプトン ポリプティック エディション - スーラージュ美術館10周年記念』
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Peinture 324 x 362 cm, 1986, Polyptyque I
この作品のシリーズ「Noir-Lumière(ノワール-リュミエール/黒-光)」は、1989年以降「Outrenoir(ウートルノワール/黒を超える黒)」というタイトルになった。ウォッチのダイヤルのインスピレーションの源になった絵画は、このシリーズの作品である。「Peinture 324 x 362 cm, 1986, Polyptyque I」はサイズ324 x 362 cmのキャンバスに、油彩で重なり合う81 x 362 cmの4つの要素で構成される巨大なポリプティックである。この作品はロデーズのスーラージュ・ミュージアムに所蔵されている。
「Peinture 324 x 362 cm, 1986, Polyptyque I」を文字盤に再現する
自動巻き(cal.ETA2892)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(縦48.1mm、横31mm、厚さ10.055mm)。50m防水。世界限定328本。112万2000円(税込み)。
技術面とデザイン面でのかなりの複雑さ
黒の研究から光の表現にいたるまで、技術的にもデザイン的にも非常に複雑で、テクニカル デザイナーが各ポイントの 3D ファイルの高さを調整するだけで、最大1 週間もかかっている。324 x 362 cm の絵画を、サイズ 48.11 x 31 mm で厚さ 10 mm のウォッチケースで表現するという、これほど大きな作品の縮小化は、創意工夫と高度な専門性を要するものであり、ボーム&メルシエのチームにとってこのプロジェクトはとりわけ興味深々たるものとなった。
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非常に特殊な文字盤は、縦の縞と斜めの縞がクロスする絵画の織を取り入れた黒の構図になっている。時針と分針は黒で、先端にはスーラージュが希望した彼の創造力と時間についての象形的なビジョンが色濃く現れたピンクゴールドの半球があしらわれた。レクタンギュラー型のDLC加工スティール製ケースはマイクロブラスト仕上げされた後、6,000ビッカースの硬さを与えるために、厚さ2ミクロンの水素化アモルファスカーボン膜をPACVD(プラズマ支援化学気相蒸着法)によって蒸着されている。このケースは、両面反射防止加工が施された、傷のつきにくいドーム型サファイアクリスタルによって保護されており、「Baume & Mercier」の銘が、サファイアクリスタルの内側にメタライジングによって刻まれている。ケースバックもサファイアクリスタルで保護され、4本のねじで留められている。そしてその上には「Hommage à Pierre Soulages n°xxx/328」と刻印されている。
ピエール・スーラージュ
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1979年以降、ピエール・スーラージュはキャンバス全体を黒で覆っている。より正確に言うと、彼はツールやブラシで細工した異なる状態の黒を重ね合わせ、シャイニー、マット、パウダリー、フラット、スムース、ストライプ、ポリッシュなど、次々にさまざまな黒を引き出している。彼は黒が反射する光を強調し、絵の具の質感に手を加えて効果を生み出し、黒のアクリル素材に刻みを入れて、浅浮き彫りの形で艶やかさとマットさ、起伏と平面を交互にしている。
ピエール・スーラージュ ミュージアム
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