機構・デザインなど異なる面からアプローチされた、「創造的破壊型」時計づくり
ゴリラのFASTBACK GTコレクションに3つの新作モデルが追加される。オーデマ ピゲでチーフ・アーティスティック・オフィサーを務めていたオクタヴィオ・ガルシアと、同ブランドのシニアデザイナーであったルーカス・ゴップが立ち上げたブランドであるゴリラは、「創造的破壊型」の時計づくりをコンセプトに挑戦を続けている。
FASTBACK GT DRIFT “ELISE”
「FASTBACK GT DRIFT “ELISE”」は、ゴリラと高級ムーブメントメーカーであるヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエ社とのコラボレーションによって生み出されたモデルであり、ワンダーリング・アワー機構を備えている。
この機構は、17世紀に製作された回転ディスク式の置き時計である「ワンダーリング・アワー」に由来する。秒は通常の時計と同様にセンターセコンドとなっているが、時分はダイアル10時位置から2時位置の範囲で表示される。ダイアル外周に振られた00から60までの数字は、分を表すインデックスである。ダイアル上の3つのディスクは時を表示するためのものであり、それらの土台となるパーツ自体が1時間に120度回転する。そして6時位置に設けられた突起がその上を通過するディスクの向きを回転させて、10時位置に来た際に指し示す時刻へと変更するのだ。こディスクは00から60の数字の間を1時間で通過していく。ディスクがそのうちのどこに接しているかによって時刻を表示し、3つのディスクはリレーをするように順番に時刻表示の機能を果たすようになっている。一見複雑な機構であるが、ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエ社はいわゆるジェネバ機構を応用することでシンプルにワンダーリング・アワーを実現している。
そんなユニークな機構を搭載する同作は、発売後すぐに250本の限定本数を売り切るほどに好評だ。350本と販売本数を増やして再度登場となった。そんなドリフト第2弾は英国製スポーツカーの雄であるロータスとコラボレーション。ロータスを代表するライトウェイトスポーツカー、エリーゼの名を冠した同作は、ブリティッシュグリーンとイエローの配色が往年のモータースポーツファンの心をつかむこと間違いない。
FASTBACK GT “TRUFFELHUNTER”
ケースやストラップに大胆なピンクカラーを採用した「FASTBACK GT “TRUFFELHUNTER”」は、世界3大耐久レースのひとつでもあるル・マン24時間において1回のみ登場した「Porche 917/20」、通称”Pink Pig”をモチーフとしたモデルである。独特のカラーリングは世界中のモータースポーツファンからも人気が高く、2018年のル・マンでは同様のカラーリングを施したマシンが出場したほどである。価格は税別で22万8000円、世界限定500本である。
FASTBACK GT “SPECTRE”
「FASTBACK GT “SPECTRE”」は、2016年創業時の同社のファーストモデル「FASTBACK ORIGINAL」のカラーリングをベースに、最新のアップデートを施したモデルである。マットブラックのセラミックベゼルと、チェッカーフラッグ柄のフォージド・カーボンケースという異素材のミックスによる豊かな表情はもちろんのこと、チタン製のケースバックとハイブリット・バイトン・ラバーストラップによる着け心地の良さも大きく進化を遂げた部分である。同社のコンセプトである「創造的破壊型」時計づくりを明快に表したモデルだと言える。