ヴァン クリーフ&アーペルの世界観を凝縮したレトログラードウォッチ「ミッドナイト ポン デ ザムルー」に直径42mmケースのメンズモデルが登場する。
自動巻き。(Cal.Valfleurier Q020)。パワーリザーブ約36時間。2万8800振動/時。ホワイトゴールド(直径42mm)。3気圧防水。シリアルナンバー入り。1178万1819円(税別)。
詩情が紡ぎだす時を男性の視点で捉える
ヴァン クリーフ&アーペルはその創業以来、愛の物語からいつも着想を得てきた。2019年秋のレディスウォッチの新作発表後、新たに加わったのは42mmのメンズモデルだ。パリの橋の上で待ち合わせをする恋人たちの鼓動が表現される「ポン デ ザムルー」ウォッチコレクションはレディスモデルとメンズモデルがそろったことにより、見事な調和を作り、そのエスプリを見事に共鳴させる。ラグジュアリーペアウォッチの選択肢がひとつ増えたことになる。
グリザイユエナメルで描かれるパリの風景
グリザイユエナメルは16世紀にフランスで開発された技法だ。このミッドナイトバージョンの文字盤では黒の背景に白の顔料を使ったグリザイユエナメルが施されている。まず、金属製の土台をブラックエナメルの層でコーティングする。この段階で難しいのは度重なる焼成に耐えられるよう、不純物を含まず厚みのあるなめらかな黒色の層を形成することだ。エナメルの粉は細かく粉砕され、グリザイユエナメル技法のために特別に開発された天然エッセンスとブレンドされる。
次に、リモージュホワイト(Blanc de Limoges)と呼ばれる白の塗料を、望みどおりの効果が出るように厚みを調整して塗布していく。顔料を通して下地のブラックが透けて輝くため、層が厚ければ厚いほどグレー味の強いホワイトとなる。この技法によって、見ごたえのある神秘的なレリーフ状となり、立体感のある印象が生まれる。この種のエナメル技法には15回の焼成を含む約60時間の作業を要し、その工程を経て最上の仕上がりが生まれる。
ヴァン クリーフ&アーペルのエナメル部門はグリザイユエナメル以外にも、ステンドグラスエナメル、パイヨンエナメルなどさまざまな高度な技術を持ち、叙情豊かな世界を作り上げている。
グリザイユエナメルが描く風景には、都会的な雰囲気がより鮮明に描きだされている。パリのアパルトマンの屋根、煙突、そして石畳を背景にふたりの出会いのシーンがくっきりと浮かび上がる。レディスモデルに比べ、ひと回り大きくなったふたりの主人公は、ホワイトゴールドで幾何学的なラインを描く橋の上で出会う。既存のモデルと同様に、このウォッチには押すとキスのシーンを再現できるボタンが備えられ、ケースバックにはパリの夜景がエングレービングされている。
「レディ アーペル ポン デ ザムルー」と同様に、この新モデルにもメゾンのためだけに開発されたレトログラード モジュールを備えた自動巻き機械式ムーブメントが搭載されている。女性は橋の上をゆっくりと歩みながら時を刻み、彼女の愛する男性も橋の中央に向かいながら60分で橋の半分を渡る。正午と真夜中にふたりは橋の中央で出会える仕組みだ。詩情あふれる瞬間をいつでも再現できるように、この新作においてオンデマンドアニメーションモジュールが搭載されている。ボタンを押すたびにふたりを結びつけるキスの瞬間が再現されるロマンティックなムーブメントだ。
男性が積極的に着けたくなるレトログラード機構
本作の持つ卓越した世界観とレトログラード機構は、男女問わず目を引くものだ。フランス語で「逆行」を意味する言葉であり、扇型に針が進み、終点に到達すると瞬時に始点へと戻り、再び動き出すという機構だ。
妖精やバレリーナ、蝶や花といった女性的なモチーフを得意とするメゾンなので、男性にはイメージ的にも一歩踏み出す機会は少なかったかもしれない。モチーフ、機構ともに男性の遊び心もくすぐる本作はぜひ一度実機を手にとってみてほしい。
Contact info: ヴァン クリーフ&アーペル デスク Tel.0120-10-1906
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