好事家を悩ます、シュワルツ・エティエンヌ × カリ・ヴティライネンという豪華なコラボ

2020.09.24

「シュワルツ・エティエンヌ」が再び日本で発売される。手がけるのは恵比寿ウエスティンホテル内にブティックを持つインポーター、ノーブルスタイリングだ。第一弾となる展開モデルは、「Schwarz Etienne ROMA SYNERGY by Kari Voutilainen(シュワルツ・エティエンヌ ローマ・シナジー・バイ・カリ・ヴティライネン)」という名称で、名前の通り、2 つのマニュファクチュール、シュワルツ・エティエンヌとカリ・ヴティライネンの共同製作によるSSケースのシンプルウォッチ、世界限定50 本のマスターピースだ。

シュワルツ・エティエンヌ ローマ・シナジー・バイ・カリ・ヴティライネン

/
「シュワルツ・エティエンヌ ローマ・シナジー バイ・カリ・ヴティライネン」には、「オーシャン・ブルー」と「サンドグレー」の2 つのダイアルが用意された。どちらのバージョンも、シルバートーン、ランス・シェイプの時分針を備えている。インデックスは、短めのバーとコンテンポラリーなアラビア数字の組み合わせだ。これらのインデックスは、「ソレイユ」パターンで仕上げられた手作業によるギョーシェのアワートラックにセットされている。

シュワルツ・エティエンヌ ローマ・シナジー バイ・カリ・ヴティライネン(WROVMA03SSCUBCLTD A)
自動巻き(cal.ASE 200.00)。33 石。21,600 振動/時。約86 時間パワーリザーブ。SSケース(直径39 mm / 厚さ11 mm)。50m防水。360万円(税別予価)。世界限定50 本

シュワルツ・エティエンヌ ローマ・シナジー バイ・カリ・ヴティライネン(WROVMA43SSCUBCLTD A)
自動巻き(cal.ASE 200.00)。33 石。21,600 振動/時。約86 時間パワーリザーブ。SSケース(直径39 mm / 厚さ11 mm)。50m防水。360万円(税別予価)。世界限定50 本

シュワルツ・エティエンヌとは?

 Schwarz Etienne(シュワルツ・エティエンヌ)は、1902 年、Paul Schwarz(ポール・シュワルツ)と彼の妻Olga Etienne(オルガ・エティエンヌ)によって設立され、今日では、印象的なデザインと自社製ムーブメントを特徴とする幅広いウォッチ・コレクションを提供している。さらに、他社にヘアスプリングや、プライベート・ブランドへのコンプリート・ムーブメントも供給するサプライヤーである。

脱進機構

非常に珍しいことだが、シュワルツ・エティエンヌは、脱進機構のほとんどを社内で製造している。これには、ガンギ車、アンクル、テンプ、そして最も注目すべきは、ヒゲゼンマイも自製している点だ。製造自体も難しいが、コスト効率が悪いために、ヘアスプリングを自製している企業はほとんどないのが実情だ。

手巻きから自動巻きに変更可能なモジュラー式ムーブメント「MSE」と「ASE」

ブリッジにはコート・ド・ジュネーブ装飾、ポリッシュ仕上げのインワード・アングル、ゴールドの輪列など、伝統的な仕上げに忠実で、その美的繊細さは高く評価されている。(左)手巻き(cal.MSE 100.00)。25石。21,600振動/時。径/30.40mm(13 ¼ リーニュ)、厚さ5.35 mm。96 時間以上のパワーリザーブ。(右)自動巻き(cal.ASE 100.00)。38石。21,600振動/時。径/30.40mm(13 ¼ リーニュ)、厚さ5.35 mm。86 時間以上のパワーリザーブ。

 シュワルツ・エティエンヌは、そのモジュール式ムーブメントのデザインで高い評価を得ている。ムーブメントのいくつかは、香箱をマイクロローターに交換できるように設計されていて、例えば、2 つの香箱を備えた手巻きか、香箱がひとつの自動巻きかに関係なく、同じメインプレートとブリッジを共有している。セカンドタイムゾーン表示( GMT )やパワーリザーブ・インジケーター( PRI )も、オリジナルのベース・ムーブメントの厚さの範囲内に収めることが可能で、パワーリザーブ・インジケーターは9 時位置にも1 時30 分位置にも配置させることができる。

詳細は本国サイトで確認ください

カリ・ヴティライネンとは?

カリ・ヴティライネンは、1962 年生まれ、フィンランドの Tapiola (タピオラ)にある時計学校に通っていた。彼は卒業後、WOSTEP での指導、Parmigiani Fleurier(パルミジャーニ・フルーリエ)での修復作業とユニークピースの製作など、時計業界においてさまざまな職務に就いてきた。2002年、カリは、Val de Travers (ヴァル・ド・トラベール)に自身のワークショップ、 Les Ateliers Kari Voutilainen(レ・ザトリエ・カリ・ヴティライネン)を設立。自身の名を冠した時計の製作を始めて以来、彼の名前は、世界的に認められている。

ヴティライネンが作るギヨーシェ文字盤

ダイアルのセンターには、「エカイユ・ドゥ・ポワソン(魚の鱗)」のモチーフが配されている。魚の鱗のようにデザインされたテクスチャー・パターンは、ダイアルの中心から始まり、外周に近づくにつれて徐々にサイズが大きくなっていく。大型のスモールセコンドのサークルは、vague(波)文様のギョーシェの海で覆われた。そしてシルバー色のプレートは、カリの貢献を示している。

ヴティライネンのブラック・ポリッシング

 ヴティライネンの仕上げ部署では、熟練のフィニッシャーが、表面に絶妙な装飾を施す。最も時間を要するのは「ブラック・ポリッシング」だ。この手法では、ダイアモンド・ペーストを均一にコーティングした「錫のプレート」を使用する必要がある。研磨中のパーツは、錫のプレートの表面全体を注意深く動かして、完全に平らなままにします。正常に作業が完了すると、そのパーツは鏡のような外観に変化し、光の角度によって黒く見える。

シュワルツ・エティエンヌとカリ・ヴティライネンの協業

「シュワルツ・エティエンヌ ローマ・シナジー バイ・カリ・ヴティライネン」は、アルティザンのクラフトマンシップとウォッチメイキングの美徳を生かした2 つのメゾンが共同で作り上げた、仕事における相乗効果をということを示す素晴らしい実例と言える。SSケースで360万円(税別予価)だが、文字盤もムーブメントも仕上げは一流だ。しかも国内に数本しか入荷しないであろうゆえに、実物を見る機会に恵まれさえすれば、購入を悩む好事家は多いに違いない。


Contact info: ノーブルスタイリング Tel.03-6277-1604


南極大陸をイメージした新世代の”ラグスポ”、チャペック 2020新作「アンタークティック」


https://www.webchronos.net/news/46900/
国立フリデリク・ショパン研究所の全面協力のもと誕生した腕時計「ショパン・ウォッチ」


https://www.webchronos.net/news/52360/
新しいパナメーラに装備される、ポルシェ・デザイン社で製造されたクロックを手首にも


https://www.webchronos.net/news/52807/