今までとは一線を画す良質な仕上げ
Cal.0200は見た目も優れている。厚みのある歯車の上面や受けには筋目仕上げが施されたほか、面取りも、ほぼ歪みのない、深いダイヤモンドカット仕上げである。ネジもまた、角を落とした高級版である。この価格帯で、これほど良質なネジを採用した例は少ないだろう。ラ・ジュー・ペレが傘下に入り、技術者同士が交流するようになったことは、新しいCal.0200に大変優れた仕上げをもたらした。穴石も、シチズンとは思えないほど大ぶりである。
ケースデザインは今風の「ラグスポ」を思わせるが、これはシチズンによれば歴代のアーカイブから影響を受けたものだという。また、シチズンは外装の仕上げも改善した。ケースのエッジは非常に立っているが、シャツを傷めないギリギリで抑えられた。ケースやブレスレットの筋目仕上げも、日本のメーカーとしては珍しく、あえて強めに施されている。
黒文字盤には、シチズンの得意とする電鋳を採用。金属文字盤は不得手という印象のある同社だが、細かな下地や、良好な発色は同価格帯のいわゆる高級時計に引けを取らない。一方で、ブルー文字盤は筋目仕上げに、いわゆるポリッシュラッカーを施したものである。今のトレンドに即した仕上げは、人気を集めるに違いない。ディテールへの配慮は針も同様で、針は全面ダイヤモンドカット仕上げで、針を固定する袴も、あえて針と面一になるようフラットに仕上げられた。唯一筆者が気になる点は、ロゴの下に配されたイーグルマークが少し太いところだ。伝統ある模様だが、もう少し線の細い方が高級機には似合っているように思える。
日本製高級時計の新たな選択肢
こちらは限定55本の特別版。文字盤がホワイトに変更されたほか、ワニストラップと22K金製のローターを持つ。自動巻き(Cal.0200)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SS(直径40.0mm、厚さ10.9mm)。5気圧防水。世界限定55本。予価75万円(税別)。2021年8月発売予定。
久々の高級機械式時計とは思えないほどの完成度を持つ、ザ・シチズン メカニカル。また、このモデルは、価格も戦略的だ。ブレスレット付きのレギュラーモデルは55万円、ワニ革ストラップに22Kゴールドローターを持つ限定版でも、75万円(いずれも税別)である。また、保証期間も5年(「MY CITIZEN シチズンオーナーズクラブ」登録時)となった。
優れた性能を、魅力的な価格で提供するというシチズンらしさは、本作でいっそう際立っているように思える。時計好きだけでなく、良質な実用時計を探している人にとって、本作は魅力的な選択肢のひとつとなるに違いない。まだブランドイメージは確立していないが、この路線を続けることができれば(また安易にコストダウンを図らなければ)、新しいザ・シチズンのメカニカルと、搭載するCal.0200は日本製の高級機として定着していくだろう。
Contact info: シチズンお客様時計相談室 Tel.0120-78-4807
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