日本の伝統工芸を身近にする「シチズンコレクション」の新作を発表

2021.09.16

どんなシーンにも合わせやすいベーシックなデザインを持つ「シチズンコレクション」。新しく追加されたのは、漆と銀箔で仕上げた文字盤を持つ、機械式時計2モデルだ。これは、見た目がユニークなのはもちろん、実用性まで考慮された、新時代の「工芸時計」と言えるだろう。

シチズンコレクション「メカニカル 繭色」


手が届く“伝統工芸文字盤”

 近年のシチズンは、一部のコレクションに日本の伝統工芸を盛り込むようになった。好例が、ハイエンドの「カンパノラ」や「ザ・シチズン」である。しかし、同社は「伝統工芸物」を、手の届く価格帯でも広めようとしている。今回「シチズンコレクション」に追加されたのは、漆と銀で仕上げられた文字盤を持つ、ふたつの自動巻きモデルだ。

シチズンコレクション「メカニカル 繭色」

シチズンコレクション「メカニカル 繭色」
繭の柔らかな白をイメージした文字盤は、金属の上に漆を塗り、銀箔をまぶした上で、塗装を重ねたもの。単なる白ではなく、強弱の付いた白符(しらふ)柄になっている。なお、手作業で製作する文字盤は、それぞれ模様がわずかに異なる。ストラップはコードバン素材。自動巻き(Cal.9184)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。6時位置には24時間表示、3時位置にはパワーリザーブ表示を持つ。SSケース(直径40.5mm、厚さ14.1mm:設計値)。10気圧防水。予価14万3000円。2021年10月発売予定。

 長年、シチズンの普及価格帯を担ってきたシチズンコレクション。しかし、近年ユニークなメカニカルモデルを増やしつつある。2020年秋には、パワーリザーブと24時間表示を持つ自動巻きを追加。これはシチズンコレクションでもっとも高価なモデルだった。

 このモデルをベースにしたのが、漆と銀箔文字盤を持つ新モデルである。文字盤は「繭色(まゆいろ)」と「鈍緋色(にびひいろ)」の2色。金属板の上に漆を塗り、その上に銀箔を散らした文字盤は、いずれも会津の老舗である「坂本乙造商店」と共同開発したものだ。漆は独特のツヤを持つ上、耐候性にも優れている。しかし、強い紫外線を浴びると劣化しやすい。そこでシチズンは、文字盤の上にさらに塗装を重ねて、文字盤の耐久性を高めた。長年、漆文字盤を採用し続けてきた、同社ならではのノウハウだろう。

シチズンコレクション「メカニカル 鈍緋色」

シチズンコレクション「メカニカル 鈍緋色」
文字盤は紅葉した森林の薄暮をイメージしたもの。漆を塗った金属板に硫化させた銀箔を貼り、その上からぼかし塗装を施すことで、硫化銀箔の彩が斑柄として表れている。ストラップは型押ししたカーフ素材。自動巻き(Cal.9184)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。6時位置には24時間表示、3時位置にはパワーリザーブ表示を持つ。SS(直径40.5mm、厚さ14.1mm:設計値)。10気圧防水。予価13万2000円。2021年10月発売予定。

 搭載するのは、90系自動巻きに24時間計とパワーリザーブ表示を加えたCal.9184である。パワーリザーブは約40時間と短いが、理論上の巻き上げ効率は高いため、普段使いには向くだろう。また、風防は立体感のあるデュアル球面サファイアガラスに変更されたほか、防水性能も10気圧ある。

 シチズンらしいのは、実用性への細やかな配慮だ。白い漆を塗った「繭色」モデルは、針がポリッシュ仕上げ。一方、暗い鈍緋色モデルの針はポリッシュとサテン仕上げを併用している。暗い文字盤にポリッシュ仕上げの針を重ねると、強い光源下では針が埋没してしまう。そこでサテンを加えることで、視認性を確保してみせた。文字盤の色によって仕上げを変えるのは、この価格帯ではかなり珍しい試みだ。


Contact info: シチズンお客様時計相談室 Tel.0120-78-4807


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