ボーム&メルシエは、モダンアートの巨匠として知られるピエール・スーラージュへの敬意を込め、ハンプトンの新たな限定モデル「ピエール・スーラージュへのオマージュ」を発表した。彼の作品全般からインスピレーションを得てデザインされた本作は、独特の質感に覆われたユニークな1本に仕上がっている。
「黒」を探求する画家、ピエール・スーラージュ
ボーム&メルシエは、1919年に生まれ、現在102歳の現役画家であるピエール・スーラージュへオマージュを捧げる「ハンプトン」コレクションの新作を発表した。「黒」を探求することで知られる彼の作品は、ブラシなどの道具を使ってさまざまな起伏効果を生み出し、黒色の中で独自の表現を行う。「反射する光が強い時、黒は黒の要素が少なくなり、その表面の状態の存在感が高まり能動的になる」という彼自身の発言のように、作品の正面を移動して鑑賞する際、光とともに見え方が変化し、見る人に存在感をアピールする。
彼が生まれたフランス南西部の街、ロデーズに作られたスーラ-ジュ・ミュージアムは、この“巨匠”の世界で唯一無二のコレクションを所有している美術館。今回ボーム&メルシエは、スーラ-ジュ・ミュージアムとミュージアムの同好会員の協力を得て、ピエール・スーラ-ジュの作品にオマージュを捧げる唯一無二の時計を創り上げたのだ。
作品の質感を再現する新しい技術
自動巻き(Cal.ETA2892-A2)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(縦48.11×横31mm、厚さ9.8mm)。50m防水。世界限定102本。73万7000円(税込み)。2022年4月以降発売予定(受注生産モデルのため、限定本数に達し次第受付終了となる可能性有り)
アートとウォッチメイキングの融合とも言える本作の実現には、新しい技術が必要不可欠だった。大きなキャンバスに描かれる彼の作品の質感を、小さな腕時計の文字盤に再現するため、ボーム&メルシエは3Dプリント技術を採用した。
薄い文字盤で立体感を出し、細かなディテールを見せ、それを昇華させる理想的な方法を見つけるため、緻密な表面の形状を研究し、ワックスを使用するなどして試作品の製作が繰り返された。この新たな挑戦は、真鍮製のダイヤルをレーザーで加工することにより達成。まるで石のような繊細な質感を与え、電解メッキで厚さ約0.2ミクロンのコーティングで覆われている。そして、厚さ約10ミクロンのセミマットな保護用透明ラッカーで表面を覆うことで、光と黒の統制されたコントラストが完成した。
また短剣型のファセット加工された針は真鍮製で、ブラックカラーのPVDでコーティングされている。ピエール・スーラ-ジュの希望で、時間の経過をエレガントに強調するため、針の先端にはゴールドカラーが加えられた。文字盤を絵画として見るため、ゴールドカラーのボーム&メルシエロゴは文字盤上ではなくドーム型のサファイアクリスタルの内側にプリントされている。
そしてステンレス・スティールのブロックから削りだされたケースは、表面全体にマイクロブラスト加工が施され、さらにPACVD処理 (プラズマ支援化学蒸着)で約2ミクロンの水素化非晶性イオンカーボンでコーティングすることにより、6000ビッカースもの硬度をもたらしている。
Contact info: ボーム&メルシエ Tel.0120-98-8000
https://www.webchronos.net/features/63757/
https://www.webchronos.net/features/49514/
https://www.webchronos.net/features/22213/