ジュエリーウォッチ賞:ブルガリ「セルペンティ ミステリオーシ ハイジュエリー シークレット ウォッチ」
ジュエリーウォッチ賞(Jewellery Watch Prize)を受賞したのは、ブルガリ初のシークレットウォッチ誕生80周年を記念した「セルペンティ ミステリオーシ ハイジュエリー シークレット ウォッチ」。
ブルガリのアイコンであり、イタリア語で蛇を意味するセルペンティの名の通り、蛇をモチーフとした外観を持ち、口の中に極小ムーブメントを搭載した時計が組み込まれている。ブリリアントカットダイヤモンドやターコイズが精密にセットされたケースには、同社の誇る宝飾技術がいかんなく発揮されている。時計部分はケースから取り外すことが可能。
手巻き(Cal.BVL100)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約30時間。18KPGケース(直径40mm、厚さ8.85mm)。30m防水。3162万5000円(税込み予価)。(問)ブルガリ ジャパン Tel.03-6362-0100
工芸賞:ヴティライネン「Ji-Ku」
文字盤等に芸術的な要素を持つモデルに与えられる工芸賞(Artistic Crafts Watch Prize)を受賞したのは、ヴティライネンの鮮やかなカラーリングが印象的なワールドタイマー「Ji-Ku」だ。
ダイアルは、漆工棟梁である北村辰夫の漆芸装飾、彩影蒔絵によるものだ。切貝や切金を散りばめることにより、世界中の“時間の光線”を表現している。ムーブメントは、ゆったりと動く大きなテンワや仕上げ等、見応えがあるだけではなく、リュウズだけで簡単にワールドタイマーのセッティングができる優れた操作性も持ち合わせている。
手巻き。44石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約60時間。18KWGケース(直径39mm、厚さ11.3mm)。30m防水。ユニークピース。参考価格36万5000CHF。(問)スイスプライムブランズ Tel.03-6226-4650
小さな針賞:トリローブ「ニュイ・ファンタスティック Dune Edition」
小さな針賞(“Petite Aiguille” Watch Prize)は、販売価格が3500〜1万スイスフランのモデルに与えられる賞だ。今回受賞したトリローブ「ニュイ・ファンタスティック Dune Edition」は、3つのディスクによる時刻表示が特徴のモデル。ダイアル外周に時、小窓によって分、8時位置に秒表示を配し、それぞれのディスクは反時計回りに回転する。
搭載するマイクロローター式自動巻きムーブメントは、ブラックカラーの地板と受けがモダンな印象を与えている。40.5mmケースの他、少し小さめの38.5mmケースもオーダーすることが可能だ。
自動巻き。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。Tiケース(直径40.5mm、厚さ9.2mm)。50m防水。参考価格9800スイスフラン。(問)トリローブ https://trilobe.com/ja/
チャレンジ賞:M.A.D. Editions「M.A.D.1 Red」
販売価格が3500スイスフラン以下のモデルに与えられる、チャレンジ賞(Challenge Watch Prize)。今回は、MB&Fの創設者であるマキシミリアン・ブッサーがプロデュースしたM.A.D. Editions「M.A.D.1 Red」が受賞した。
3つのブレードは、自動巻きローター。片方向巻上げのムーブメントを採用しているため、空転時にはブレードが勢いよく回転する様を楽しむことができる。ケース側面には、時を表すブラックのシリンダーと分を表すレッドのシリンダーが組み込まれ、それらによって時刻を読み取ることができる。
自動巻き。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径42mm、厚さ18.8mm)。30m防水。参考価格3125スイスフラン。(問)M.A.D.Gallery https://shop.madgallery.ch/
メカニカルクロック賞:ヴァン クリーフ&アーペル「オートマタ フォンテーヌ オ ゾワゾー」
機械式置時計に対する賞である、メカニカルクロック賞(MECHANICAL CLOCK PRIZE)。受賞したヴァン クリーフ&アーペル「オートマタ フォンテーヌ オ ゾワゾー」は、オンデマンド式のオートマタを搭載したクロックだ。
オートマタを作動させることにより、器の縁に止まっている鳥がさえずり、ダンスを始める。器の中の水面や睡蓮の花、トンボも生き生きとした動きを見せ、まるで本物の水辺のような景色が繰り広げられる。時刻は、器の下部にある目盛りと鳥の羽によって、レトログラード式に表示される。
手巻き。パワーリザーブ約8日間。土台:ホワイトゴールド、イエローゴールド、ラッカー、卵殻のマルケトリ、エボニー、ガラス、パープルサファイア、エメラルド、ツァボライトガーネット、ダイヤモンド、アルミニウム、スティール、ブラックPVD、ゴートレザー(高さ44.15cm、幅41.13cm)。価格要問い合わせ。(問)ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク Tel.0120-10-1906
クロノメトリー賞:グランドセイコー「Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン SLGT003」
優れた精度を誇るモデルに与えられるクロノメトリー(等時性)賞を受賞したのは、グランドセイコー初のコンプリケーションウォッチであると同時に、コンスタントフォース機構とトゥールビヨンを同軸に配した世界初の機構、コンスタントフォース・トゥールビヨンを搭載した「Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン SLGT003」。
光と影を巧みに取り入れたスケルトンムーブメントやブリリアントハードチタンを用いたケース等、同社独自の哲学と技術をふんだんに盛り込んでいる。防水性やパワーリザーブも含め、実用性も確保された仕様がグランドセイコーらしい。
手巻き(Cal.9ST1)。44石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間(コンスタントフォース作動時間は約50時間)。Pt950×ブリリアントハードチタンケース(直径43.8mm、厚さ12.9mm)。10気圧防水。世界限定20本。4400万円(税込み)。(問)グランドセイコー専用ダイヤル Tel.0120-302-617
リベレイション賞:シルヴァン・ピノー「Origine」
リベレイション賞(Horological Revelation Prize)は、設立から10年未満のブランドとそのモデルに与えられる賞。今回は、シルヴァン・ピノーの「Origine」が受賞した。
Origineは、クラシカルなデザインのオフセットダイアルと、6時位置で鼓動する大型のフリースプラングテンプが目を引く1本。ダイアル側に地板やテンプを露出させた構造は、時計全体に立体的な表情をもたらしている。手作業を多用した今作の制作には、シルヴァン・ピノー氏がフランスの時計学校で学んだ伝統的な技法が反映されている。
手巻き。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径42mm、厚さ11mm)。30m防水。参考価格7万3200スイスフラン。(問)シルヴァン・ピノー https://www.sylvain-pinaud.com/
勇猛果敢賞:ブルガリ「オクト フィニッシモ ウルトラ 10thアニバーサリー」
勇猛果敢賞(Audacity Prize)とは、驚くべきデザインや先駆的な機能を持つモデルに与えられる賞のこと。受賞したブルガリの「オクト フィニッシモ ウルトラ 10thアニバーサリー」は、厚さわずか1.8mmと、発表当時の世界最薄を記録した機械式ウォッチだ。
究極の薄型化を実現するために、ムーブメント輪列の見直しはもちろん、1つのパーツに複数の機能を持たせることでパーツ点数も削減している。特徴的な8角形のケースやケースバック、サファイアクリスタルに至るまで、薄型化のために実用性を損ねない範囲で切り詰められており、同社の薄型時計に対する情熱が見て取れる作品に仕上がっている。
自動巻き(Cal.BVL180)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。Tiケース(直径40mm、厚さ1.80mm)。10m防水。世界限定10本。予価5221万7000円(税込み)。(問)ブルガリ ジャパン Tel.03-6362-0100
イノベーション賞:ヴァン クリーフ&アーペル「レディ アーペル ユール フローラル スリジエ」
革新的な機構を搭載したモデルに与えられるイノベーション賞(Innovation Prize)を受賞したのは、ヴァン クリーフ&アーペルの「レディ アーペル ユール フローラル スリジエ」だ。
ダイアルに広がるのは、針とインデックスではなく12個の花々。今作は、花の開閉によって時刻を表示する複雑機構を搭載している。分はケースサイドにレトログラード式で表示される。花と、その周辺を飾る蝶や枝には、ミニアチュール ペインティングや彫金等、同社の宝飾技術が存分に盛り込まれている。ゆったりとした時間を過ごすにふさわしい優雅なモデルだ。
自動巻き(Cal.400)。パワーリザーブ約36時間。18KWGケース(直径38mm)。3気圧防水。3102万円(税込み)。(問)ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク Tel.0120-10-1906>
SPECIAL JURY PRIZE:フランソワ・ジュノ
時計界の特別な人物に贈られる「SPECIAL JURY PRIZE」。今回の受賞者であるフランソワ・ジュノは、前衛的な作品を多く手掛ける現代オートマタの巨匠だ。
モダンな作品だけではなく、時計師であるジャケ・ドローが18世紀に手がけたオートマタを復刻する等、失われつつある技術を現代に蘇らせる偉業も成し遂げてきた。彼の作品は、まるで命が吹きこまれているかのような生き生きとした動きや音色を持つ。
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