シンプルトゥールビヨンの良作

篠田哲生(37歳) 嗜好品ライター

「ある意味、原点回帰。ある意味、王道時計」
装身具として華開いた懐中時計文化の流れを感じさせる、アートピースとしての腕時計は、時計史の中では確実に正統な存在。いかんせん、こちら側にそれを評価するだけの審美眼がないだけに、メディアに載ることは少ないが、時にはハッとするほどの良作を目にすることもある。そこには、複雑機構とは異なるトキメキを感じてしまうのだ。

1 ヴァン クリーフ&アーペル/ミッドナイト イン パリ
2 ヴァシュロン・コンスタンタン/メティエ・ダール‐ユニヴェール・アンフィニ ポワソン ウォッチ
3 ジラール・ペルゴ/ww.tc KANAGAWA
4 ヴァン クリーフ&アーペル/ポン デ ザムルー
5 ヴァン クリーフ&アーペル/レディ アーペル ポーラー ランドスケープ ホワイトベア デコール
6 パテック フィリップ/日付表示付セレスティアル Ref.6102P
7 ショパール/L.U.C XP 漆
8 ユリス・ナルダン/クラシコ
9 ブルガリ/ダニエル・ロート トゥールビヨン・ルミエール
カルティエ/ロトンド ドゥ カルティエ 42mm ジャンピングアワー ベア モチーフ


シンプルトゥールビヨンの良作

広田雅将(38歳) 時計ジャーナリスト兼アートソルジャー、Web Chronosモデレーター

「ドミニク・バロンさんを悼んで」
エナメル職人のドミニク・バロンさんが急逝した。かつての彼女の仕事には感心しなかったが、技術は年々向上し、素晴らしい作品を生み出すに至った。今回1位と2位に挙げたのは彼女の傑作である。もう彼女の真摯な仕事が見られないのは残念だ。

1 ヴァン クリーフ&アーペル/ポエティック ウィッシュ
2 ローラン フェリエ/ガレ・シークレット(ドラゴン)
3 スピーク・マリン/ピカデリー 蒔絵
4 セイコー/クレドール 時計塔80年記念限定モデル(安藤七宝製エナメル)
5 カルティエ/ロトンド ドゥ カルティエ 42mm ベア モチーフ
6 ショパール/L.U.C XP 漆
7 ジャケ・ドロー/バード・リピーター
8 カルティエ/サントス デュモン XL ホース モチーフ
9 ボヴェ/スポーツスター46 サグアロ 300 メテオライト
10 シチズン/カンパノラ(蒔絵全般)


シンプルトゥールビヨンの良作

髙木教雄(50歳) ライター

「時計の表現は無限」
何とも難しいお題。バーゼルやジュネーブでの新作発表会以外では、ほとんど目にできないカテゴリーなのだから。記憶を掘り起こすのにも四苦八苦。ようやくひねり出した10本は、実際に目にしたモデルにしました。そうでなければ判断できませんから。でも、こうして思い起こせば、時計の表現は無限なのだと実感。小さなダイアルに、極めて繊細な工芸技術を込める職人さんにも敬服。

1 ヴァン クリーフ&アーペル/レディ アーペル ポエティック ウィッシュ
2 カルティエ/ロトンド ドゥ カルティエ 42mm ホワイトタイガー モチーフ
3 パテック フィリップ/ワールドタイム Ref.5131
4 ヴァン クリーフ&アーペル/ポン デ ザムルー
5 ヴァシュロン・コンスタンタン/メティエ・ダール-ユニヴェール・アンフィニ ポワソン ウォッチ
6 カルティエ/サントス デュモン XL ホース モチーフ
7 ショパール/L.U.C XL 漆
8 ジャケ・ドロー/プティ・ウール ミニット 35mm フェニックス
9 ユリス・ナルダン/サンマルコ クロワゾネ
10 アラン・シルベスタン/トゥールビヨン・ラッカー・クロワゾネ


ランキングの集計ルール
●ルールに則して合計10モデルを選び、1位から10位までの順位をつける。
●それぞれが選んだ10モデルの、1位に20ポイント、2位に18ポイント、3位に16ポイント…‥9位に4ポイント、10位に2ポイントを与える(順位なしの場合は、個人の持ち点110点を10で割り、全てのモデルに11点ずつ加算する。順位ありとなしが混在する場合は、持ち点110点から順位分を引き、残りを割って分配)。その集計により、ランキングを決定する。
●同ポイントとなった場合、そのモデルを選んだ選考委員の数が多いほうを上位とする。
●それでも同位となった場合、最高点が高いほうを上位とする。
●さらに、それでも同位となった場合は、プライス設定の低いほうをバリュー的価値が高いものとして、上位とする。※パネライはディストリビューターの都合により順位には入りません。