選考委員による選定モデルの詳細

菅原 茂(69歳) 時計ジャーナリスト
「活気が戻り、良作が豊富」

現地取材ナシ、東京で実機をいくつか見た程度でランクづけするのはおこがましいが、今年は良作に恵まれたようだ。クロノグラフも多く、またカラーやスタイリングの強化に注目した。

  1. カルティエ/タンク ノルマル
  2. IWC/インヂュニア・オートマティック 40
  3. パネライ/ラジオミール アニュアル カレンダー
  4. エルメス/H08 クロノグラフ
  5. パテック フィリップ/カラトラバ・パイロット・トラベルタイム・クロノグラフ 5924
  6. ジャガー・ルクルト/レベルソ・トリビュート・クロノグラフ
  7. A.ランゲ&ゾーネ/オデュッセウス・クロノグラフ
  8. ウブロ/クラシック・フュージョン クロノグラフ オーリンスキー チタニウム
  9. ロレックス/パーペチュアル 1908
  10. グランドセイコー/エボリューション9 コレクション テンタグラフ SLGC001

篠田哲生(46) ウォッチディレクター
「正常進化のそのあとに」

久しぶりのスイスでの発表会取材、そして初めてのウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブということで、テンション高めで現地入り。通常なら「今年買う時計を探す」というテーマのもとに取材をするが、今回はすでに発注を終えていたので、そういう意味では気持ちの余裕もある。さて、今年はおおむね良作が多かったように思える。昨年からの流れを受け継ぎながら、アップデートや機構を進化させている。うぁっ!という目新しさはないが、それこそが成熟しているということなのだ。

  1. グランドセイコー/エボリューション9 コレクション テンタグラフ SLGC001
  2. A.ランゲ&ゾーネ/オデュッセウス・クロノグラフ
  3. IWC/インヂュニア・オートマティック 40
  4. シャネル/J12 サイバネティック
  5. ロレックス/オイスターパーペチュアル コスモグラフ デイトナ
  6. パルミジャーニ・フルリエ/トンダ PF ミニッツ ラトラパンテ
  7. チューダー/ブラックベイ 54
  8. ショパール/L.U.C 1860
  9. カルティエ/タンク ノルマル
  10. オリス/プロパイロット X カーミットエディション

安藤夏樹(47歳) 編集者
「クロノグラフを中心に良作の多い“当たり年”」

コロナ禍後、初の本格開催となった感のあるウォッチズ&ワンダーズジュネーブ。力の入った新作が多く、カルティエやショパールなど、発表数が多いブランドにもハズレはほとんどない印象だった。なぜかクロノグラフの良作が多く、どれも各ブランドのフィロソフィーに合致したものばかり。クロノグラフを狙っていた人には今年こそ買い時かもしれない。

  1. A.ランゲ&ゾーネ/オデュッセウス・クロノグラフ
  2. グランドセイコー/エボリューション9 コレクション テンタグラフ SLGC001
  3. ジャガー・ルクルト/レベルソ・トリビュート・クロノグラフ
  4. カルティエ/タンク ノルマル
  5. ショパール/L.U.C 1860
  6. IWC/インヂュニア・オートマティック 40
  7. シャネル/J12 サイバネティック
  8. ロレックス/オイスター パーペチュアル デイデイト36
  9. チューダー/ブラックベイ 54
  10. ゼニス/パイロット ビッグデイト フライバック

髙木教雄(60歳) ライター
「高次元で個性を競う」

パンデミックの終焉を祝すかのように、個性豊かで魅力的な新作が、例年以上に多かった。今までになかった大胆なデザインに挑んだブランドがいくつもあり、機構的にはクロノグラフの新キャリバーが複数登場し、興味がそそられた。どこもダイアルの仕上げが格段に向上してもいた。活況を呈する時計市場に、新たな光明が差す。

  1. ショパール/L.U.C 1860
  2. A.ランゲ&ゾーネ/オデュッセウス・クロノグラフ
  3. ジャガー・ルクルト/レベルソ・トリビュート・クロノグラフ
  4. グランドセイコー/エボリューション9 コレクション テンタグラフ SLGC001
  5. シャネル/J12 サイバネティック
  6. ロレックス/オイスターパーペチュアル コスモグラフ デイトナ
  7. チューダー/ブラックベイ 54
  8. パテック フィリップ/カラトラバ 6007
  9. エルメス/H08 クロノグラフ
  10. モンブラン/モンブラン 1858 アンヴェールド タイムキーパー ミネルバ リミテッドエディション

名畑政治(63歳) 時計ライター
「パワーは落ちても良作が多い豊作の年?」

今や新作発表の時期が分散したので、総体としてのパワー(話題性)は落ちた感があるが、それでも「これは!」と唸るモデルもチラホラあった今回のウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ。シンプルなモデルが好きだが、装飾的でも造形美に圧倒されるものもあり、かなりの良作ぞろいだったと思う。例によってすべて同列、順位なし。

  • カルティエ/タンク アメリカン
  • ショパール/L.U.C 1860
  • クロノスイス/デルフィス オラクル
  • グランドセイコー/エボリューション9 コレクション テンタグラフ SLGC001
  • ウブロ/クラシック・フュージョン クロノグラフ オーリンスキー チタニウム
  • ロレックス/パーペチュアル 1908
  • ゼニス/リバイバル シャドウ
  • ローラン フェリエ/クラシック マイクロローター エバーグリーン
  • アンジェラス/クロノグラフ メディカル×マセナ・ラボ
  • チューダー/ブラックベイ 54

広田雅将(48歳)『クロノス日本版』編集長兼アートソルジャー
「意外にも、質実剛健なモデルがそろった2023年」

相変わらず好況が続く時計業界。それを反映して派手な新作が増えると思いきや、2023年のウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブでは、質を高めた良作・傑作がそろった。とりわけ、文字盤の質は、5年前のモデルとは大きく異なる。今や、何を選んでもハズレのなくなった高級時計。ただし、価格の上昇は大きな懸念事項だ。

  1. ショパール/L.U.C 1860
  2. ジャガー・ルクルト/レベルソ・トリビュート・クロノグラフ
  3. パテック フィリップ/カラトラバ トラベルタイム 5224
  4. タグ・ホイヤー/タグ・ホイヤー カレラ デイト
  5. チューダー/ブラックベイ 54
  6. グランドセイコー/エボリューション9 コレクション テンタグラフ SLGC001
  7. カルティエ/タンク ノルマル
  8. IWC/インヂュニア・オートマティック 40
  9. ロレックス/オイスター パーペチュアル ヨットマスター
  10. A.ランゲ&ゾーネ/オデュッセウス・クロノグラフ


ランキングの集計ルール
●選考委員は、各号のテーマに沿った腕時計を10本選び、順位をつける。
●選考委員ひとりあたりの所持ポイントを110点とし、これを1位20点、2位18点…… 10位2点として選考モデルに振り分ける。
●選考された時計が順位無しの場合は、所持ポイントを10等分して、各モデルに11点を与える(選考本数が10本に満たない場合でも、1モデルあたり11点とする)。
●獲得点数が同点となった場合は、選考者数の多いモデル、その中で選考順位の高いモデルの順で優位とする。
●最低有効得票数を2票とする。


グランドセイコー初の機械式クロノグラフ「テンタグラフ」は見た目以上にスゴイ! これは精度を追求したGSの正統進化モデル

https://www.webchronos.net/features/95274/
最推しはショパール「L.U.C 1860」! ロック福田が注目した2023年の新作時計

https://www.webchronos.net/features/95643/
A.ランゲ&ゾーネ「オデュッセウス・クロノグラフ」について、商品開発ディレクターのアントニー・デ・ハスにインタビュー

https://www.webchronos.net/features/95983/