選考委員による選定モデルの詳細

菅原 茂(70歳) 時計ジャーナリスト
「クロノグラフが熱い年だった」

最も印象に残ったのは、コンプリケーションの大作ではなく、新技術を投入したクロノグラフ。よってランキングの多くはそんな新作が占める。一方、ドレスウォッチの再評価も新たな流れかも。

  1. オメガ/スピードマスター スーパーレーシング
  2. ブレゲ/タイプ XX
  3. パルミジャーニ・フルリエ/トンダ PF ミニッツ ラトラパンテ
  4. A.ランゲ&ゾーネ/オデュッセウス・クロノグラフ
  5. エルメス/エルメスH08 クロノグラフ
  6. ロレックス/パーペチュアル 1908
  7. ショパール/L.U.C 1860
  8. オーデマ ピゲ/CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック
  9. カルティエ/タンク ノルマル
  10. パテック フィリップ/東京2023リミテッド・エディション・ワールドタイム 5330

篠田哲生(46) ウォッチディレクター
「高価格帯もこなれた価格も、その中間も良作がそろった」

好きな時計を身に着ける。それが正解であって、価格で良し悪しを分けるのは正しくはない。とはいえ高価格帯の方がコストをかけられるのだから、“傑作” が生まれやすいのは自明の理。2023年も高価格帯に引かれるモデルが多かった。しかし年の中盤以降は、ミドルレンジ以下にも良作が目立った。これは良い兆候だろう。

  1. IWC/インヂュニア・オートマティック 40
  2. オーデマ ピゲ/CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック
  3. ブランパン/フィフティ ファゾムス 70周年記念 Act 3
  4. グランドセイコー/エボリューション9 コレクション テンタグラフ SLGC001
  5. チューダー/ブラックベイ 54
  6. ティソ/ティソ PRX 35mm パワーマティック 80
  7. ロンジン/ロンジン マスターコレクション Ref. L2.843.4.93.2
  8. ブレゲ/タイプ XX
  9. シャネル/J12 サイバネティック
  10. A.ランゲ&ゾーネ/オデュッセウス・クロノグラフ

安藤夏樹(48歳) 編集者
「思い返せば名作ぞろい」

メモを見返すことなく、頭の中に強く印象に残っているモデルだけを挙げても10本では収まらなかった2023年。コロナ禍が明け、満を持して発表されたモデルが多かったのかもしれない。そうした注目時計の中に、限定数10本レベルと、極端に少ない限定本数のモデルがいくつかあったのは少し残念だった気もする。

  1. カルティエ/タンク ノルマル
  2. ロレックス/オイスター パーペチュアル デイデイト 36(パズルモチーフ)
  3. グランドセイコー/エボリューション9 コレクション テンタグラフ SLGC001
  4. チューダー/ブラックベイ 54
  5. オメガ/スピードマスター スーパーレーシング
  6. IWC/インヂュニア・オートマティック 40
  7. A.ランゲ&ゾーネ/オデュッセウス・クロノグラフ
  8. ジャガー・ルクルト/レベルソ・トリビュート・クロノグラフ
  9. ブレゲ/タイプ 20 2057
  10. シャネル/J12 サイバネティック

髙木教雄(60歳) ライター
「独創性が発揮された豊作の年!」

改めて昨年の発表作を振り返ると、独創性が光るモデルの数が多かったと実感する。パンデミックによる苦難の時期に、多くのブランドは思索を重ね、創造の翼を広げたのであろう。その成果が昨年、花開いた。美しくも個性的な外装が生まれ、新作ムーブメントもいつになく多かった。艱難汝を玉にす── 時計界の未来は、明るい。

  1. オーデマ ピゲ/CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ ウルトラ コンプリケーション ユニヴェルセル (RD#4)
  2. ショパール/L.U.C 1860
  3. A.ランゲ&ゾーネ/オデュッセウス・クロノグラフ
  4. ジャガー・ルクルト/レベルソ・トリビュート・クロノグラフ
  5. グランドセイコー/エボリューション9 コレクション テンタグラフ SLGC001
  6. シャネル/J12 サイバネティック
  7. F.P.ジュルヌ/クラシック コレクション FFC
  8. ブレゲ/タイプ XX
  9. ロレックス/オイスター パーペチュアル コスモグラフ デイトナ
  10. チューダー/ブラックベイ 54

名畑政治(64歳) 時計ライター
「自分が欲しいものを基準に選びました」

結局、昨年に自分が書いた記事に登場したモデルを並べたらこの10モデルになった。自分としては目新しいものはないし、万人受けもしないと思うが、「もし買えるなら、これを選ぶ」という視点でチョイスしました。例によって、すべて同列、順位なし。

  • ショパール/L.U.C 1860
  • クロノスイス/デルフィス オラクル
  • グランドセイコー/エボリューション9 コレクション テンタグラフ SLGC001
  • ウブロ/クラシック・フュージョン クロノグラフ オーリンスキー フルチタニウム
  • ロレックス/パーペチュアル 1908
  • カルティエ/タンク アメリカン
  • ゼニス/デファイ リバイバル シャドウ
  • ローラン・フェリエ/クラシック マイクロローター エバーグリーン
  • アンジェラス/クロノグラフ メディカル×マセナ・ラボ
  • チューダー/ブラックベイ 54

広田雅将(49歳)『クロノス日本版』編集長兼アートソルジャー
「悩んだが1位は『スーパーレーシング』」

2023年のトップは、シリコンヒゲゼンマイを触って精度を調整できる、オメガ「スピードマスター スーパーレーシング」となった。まだこの機構は、精度を追い込むためにしか使われていない。しかし、普及すれば、リテーラーでも精度の追い込みが可能になるだろう。

  1. オメガ/スピードマスター スーパーレーシング
  2. オーデマ ピゲ/CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ ウルトラ コンプリケーション ユニヴェルセル (RD#4)
  3. ジャガー・ルクルト/レベルソ・トリビュート・クロノグラフ
  4. ルイ・ヴィトン/タンブール
  5. 大塚ローテック/7.5号
  6. クレドール/ゴールドフェザー U.T.D. GBBY979
  7. パテック フィリップ/カラトラバ・トラベルタイム 5224
  8. ブレゲ/タイプ XX
  9. タグ・ホイヤー/タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ
  10. ロンジン/ロンジン マスターコレクション Ref. L2.843.4.93.2


ランキングの集計ルール
●選考委員は、各号のテーマに沿った腕時計を10本選び、順位をつける。
●選考委員ひとりあたりの所持ポイントを110点とし、これを1位20点、2位18点…… 10位2点として選考モデルに振り分ける。
●選考された時計が順位無しの場合は、所持ポイントを10等分して、各モデルに11点を与える(選考本数が10本に満たない場合でも、1モデルあたり11点とする)。
●獲得点数が同点となった場合は、選考者数の多いモデル、その中で選考順位の高いモデルの順で優位とする。
●最低有効得票数を2票とする。


グランドセイコー「エボリューション9 コレクション テンタグラフ SLGC001」をテスト。テンタグラフは想像以上の優等生

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