選考委員による選定モデルの詳細

菅原 茂(70歳) 時計ジャーナリスト
「攻めよりも守りの年か?」

何十年も見続けて来た自分には、あまりクリエイティブな時計づくりを発見できなかった今回。とはいえピンポイントで興味深いモデルもあり、そうした極私的印象度でランキング。

  1. カルティエ/トーチュ モノプッシャー クロノグラフ
  2. パルミジャーニ・フルリエ/トリック プティ・セコンド
  3. IWC/ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー
  4. エルメス/アルソーデュック・アトレ
  5. シャネル/J12 クチュール ワークショップ オートマタ キャリバー 6
  6. パテック フィリップ/ワールドタイム Ref.5330
  7. ショパール/アルパイン イーグル 41 XP TT
  8. チューダー/ブラックベイ
  9. ジャガー・ルクルト/デュオメトル・カンティエーム・ルネール
  10. ロレックス/オイスター パーペチュアル GMTマスター II

篠田哲生(46) ウォッチディレクター
「比較的手堅い。それくらいがちょうどいい」

スイス時計の輸出量が減少している中、2024年の見通しも明るいとはいえない。この状況はある程度予測されていたので、どのブランドも新作の数を絞っていたようだ。デザイン、サイズ、カラー展開なども含め、人気モデルのエクステンションがメインとなったが、おなじみのモデルだからこその安心感がある。

  1. カルティエ/パンテール ドゥ カルティエ ラージモデル
  2. グランドセイコー/エボリューション9 コレクション 手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours Ref.SLGW003
  3. ジャガー・ルクルト/デュオメトル・カンティエーム・ルネール
  4. IWC/ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー
  5. ノモス グラスヒュッテ/タンジェント 38 デイト 31colors
  6. パテック フィリップ/ゴールデン・エリプス
  7. ロレックス/オイスター パーペチュアル ロレックス ディープシー
  8. チューダー/ブラックベイ
  9. レイモンド・ウェイル/ミレジム ムーンフェイズ
  10. パルミジャーニ・フルリエ/トンダPF マイクロローター

安藤夏樹(48歳) 編集者
「景気後退局面だからこそ見えるブランド価値」

景気後退局面から、ある意味で大物の発表が控えられた感じがした今年のW&WG。しかし、自らのアーカイブに対するマーケットの評価の詳細をしっかり理解しているブランドの新作は、十分に目を見張るものがあった。その新作にブランドとしての正統性があるかどうか。アーカイブとして評価されるには、その視点が重要だ。

  1. グランドセイコー/エボリューション9 コレクション 手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours Ref.SLGW003
  2. ピアジェ/ピアジェ ポロ 79
  3. パルミジャーニ・フルリエ/トリック プティ・セコンド
  4. パテック フィリップ/ゴールデン・エリプス
  5. カルティエ/サントス デュモン リワインド
  6. ショパール/L.U.C クアトロ スピリット 25
  7. レイモンド・ウェイル/ミレジム 35 センターセコンド
  8. ジャガー・ルクルト/デュオメトル・カンティエーム・ルネール
  9. シャネル/J12 クチュール ワークショップ オートマタ キャリバー 6
  10. IWC/ポルトギーゼ・オートマティック 40

髙木教雄(61歳) ライター
「意匠と機構で開いた大輪の花」

参加ブランドが増え、昨年以上にタイトな取材スケジュールに追われたが、興味深いモデルが数多く、それほど疲れを覚えなかった。上質かつ新鮮なクラシックの表現が、いくつも見られたのは個人的には喜ばしい傾向。複雑機構においても、新たなアプローチが散見できた。日本の時計市場においては、円安と金相場の高騰が影を落とすが、それをものともしない魅力的な新作が出そろった。

  1. カルティエ/トーチュ モノプッシャー クロノグラフ
  2. チューダー/ブラックベイ 58 GMT
  3. ショパール/L.U.C XPS フォレスト グリーン
  4. グランドセイコー/エボリューション9 コレクション 手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours Ref.SLGW003
  5. パルミジャーニ・フルリエ/トリック プティ・セコンド
  6. パテック フィリップ/ゴールデン・エリプス
  7. IWC/ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー
  8. ジャガー・ルクルト/デュオメトル・ヘリオトゥールビヨン・パーペチュアル
  9. シャネル/J12 クチュール ワークショップ オートマタ キャリバー 6
  10. エルメス/アルソーデュック・アトレ

名畑政治(64歳) 時計ライター
「時計の新作発表形態の変化を実感」

今年もさまざまな都合で現地取材はかなわなかったが、ウェブや日本支社および代理店を通して新作がほぼリアルタイムで見られるから、それほど不自由は感じない。時計取材と報道の環境も大きく様変わりしているのです。しかしW&WG2024は全体として各社、新作の数を絞っている印象。これから1年を通して最適な時期に最適なモデルが発表されるに違いない。例によってすべて同列、順位なし。

  • アンジェラス/インスツルメント ドゥ ヴィテッセ 60 セカンド クロノ
  • チャペック/プロムナード グット・ドー
  • パルミジャーニ・フルリエ/トリック プティ・セコンド
  • パテック フィリップ/年次カレンダー Ref.5396
  • ロレックス/パーペチュアル 1908
  • クロノスイス/ストライク・ツー H2O
  • エベラール/クロノグラフ 1887
  • ローラン・フェリエ/クラシック・ムーン
  • ペキニエ/ロワイヤル トゥールビヨン
  • ノモス グラスヒュッテ/タンジェント 38 デイト 31colors

広田雅将(50歳)『クロノス日本版』編集長兼アートソルジャー
「個人的な好みだが、ぶっちぎりの1位はGS」

地味とか面白くないという評価のあった2024年のウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ。しかし、外装で見るべきモデルは多かった。個人的な一押しは、文句なしで手巻きのGS。触って面白い、というのを明確に打ち出した量産機は希だ。手巻き復興の先駆けとなるか?

  1. グランドセイコー/エボリューション9 コレクション 手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours
  2. IWC/ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー
  3. カルティエ/トーチュ モノプッシャー クロノグラフ
  4. チューダー/ブラックベイ 58 GMT
  5. タグ・ホイヤー/タグ・ホイヤー モナコ スプリットセコンド クロノグラフ
  6. パテック フィリップ/ゴールデン・エリプス
  7. ローラン・フェリエ/クラシック・ムーン
  8. ヴァシュロン・コンスタンタン/パトリモニー・ムーンフェイズ&レトログラード・デ
  9. シャネル/J12 クチュール ワークショップ オートマタ キャリバー 6
  10. ショパール/L.U.C カリテ フルリエ


ランキングの集計ルール
●選考委員は、各号のテーマに沿った腕時計を10本選び、順位をつける。
●選考委員ひとりあたりの所持ポイントを110点とし、これを1位20点、2位18点…… 10位2点として選考モデルに振り分ける。
●選考された時計が順位無しの場合は、所持ポイントを10等分して、各モデルに11点を与える(選考本数が10本に満たない場合でも、1モデルあたり11点とする)。
●獲得点数が同点となった場合は、選考者数の多いモデル、その中で選考順位の高いモデルの順で優位とする。
●最低有効得票数を2票とする。


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