選考委員による選定モデルの詳細
菅原 茂(68歳) 時計ジャーナリスト
「挑戦があってこその面白さ」
2021年も秀作は豊富だが、歴史的モデルの復刻やオマージュもの、リデザインや定番の仕様違いも相変わらず少なくない。そこで視点を変え、これは新鮮と思えた「挑戦」に的を絞ってみた。国産メーカーの健闘も印象的な1年だった。
1 パルミジャーニ・フルリエ/トンダ PF マイクロローター
2 エルメス/H08
3 チューダー/ブラックベイ セラミック
4 ブルガリ/オクト ローマ ワールドタイマー
5 グランドセイコー/エボリューション9コレクション メカニカルハイビート 80 Hours SLGH005
6 フレデリック・コンスタント/スリムライン モノリシック マニュファクチュール
7 オリエントスター/クラシックコレクション スケルトン
8 ザ・シチズン/メカニカルモデル キャリバー0200
9 ティソ/T-タッチ コネクト ソーラー
10 ユリス・ナルダン/UFO
篠田哲生(46) ウォッチディレクター
「ネクスト・スタンダード!」
時代の混迷期こそ、新しい発見を楽しむべきだ。2021年もスイス取材に行けなかったが、国内の展示会でも十分に心に残る時計たちが目に留まった。今回は、これからのスタンダードになりそうな時計を10本選んだ。
1 カルティエ/タンク マスト(ソーラービート™モデル)
2 グランドセイコー/エレガンスコレクション 二十四節気モデル
3 ジャガー・ルクルト/レベルソ・トリビュート・ノナンティエム
4 パテック フィリップ/カラトラバ 6119
5 A.ランゲ&ゾーネ/ツァイトヴェルク・ハニーゴールド “ルーメン”
6 カール F. ブヘラ/マネロ ミニッツリピーター シンフォニー
7 チューダー/ブラックベイ フィフティ-エイト 925
8 ティソ/ティソ PRX
9 パルミジャーニ・フルリエ/トンダ PF マイクロローター
10 ゼニス/クロノマスター スポーツ
安藤夏樹(46歳) 編集者
「今後のブランド価値を創る“芽”を見逃すな」
複雑時計でもなければ、珍しい素材も使っていない。スペック的にある意味普通だけれど、ほんの少し気になるところがある。そんな時計が多い1年だった。この“少し気になるところ”は、文字盤やケースデザイン、SDGs への取り組みなど、ブランドごとに注力ポイントが異なっていたと思う。そしてこの注力ポイントこそが、今後のブランド価値を形成する上での“芽”のようなものなのかもしれない。
1 グランドセイコー/エボリューション9コレクション メカニカルハイビート 80 Hours SLGH005
2 パネライ/ルミノール マリーナ eスティール™
3 チューダー/ペラゴス FXD
4 ゼニス/クロノマスター スポーツ
5 オメガ/シーマスター 300
6 ジャガー・ルクルト/レベルソ・トリビュート・ノナンティエム
7 パテック フィリップ/ノーチラス 5711/1A
8 タグ・ホイヤー/アクアレーサー プロフェッショナル 300 Ref.844 トリビュート
9 ザ・シチズン/メカニカルモデル キャリバー0200
10 ショパール/アルパイン イーグル ケイデンス 8HF
髙木教雄(59歳) ライター
「コロナ禍でも各社が大奮闘!」
コロナ禍の中にあっても、例年以上に新型ムーブメントがいくつも登場した年だったような気がする。しかもベーシックな中3針やスモールセコンドのモデルに優れたものが多く、またパーペチュアルカレンダーも良作がそろっていた。というわけで、ベーシック機とパーペチュアルカレンダーから10作を選んでみた。
1 パテック フィリップ/カラトラバ 6119
2 ザ・シチズン/メカニカルモデル キャリバー0200
3 ブルガリ/オクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダー
4 オメガ/デ・ヴィル トレゾア スモールセコンド
5 A.ランゲ&ゾーネ/ランゲ1・パーペチュアルカレンダー
6 H. モーザー/ストリームライナー・パーペチュアルカレンダー
7 IWC/ビッグ・パイロット・ウォッチ 43
8 ロレックス/オイスター パーペチュアル エクスプローラー
9 グランドセイコー/エボリューション9コレクション メカニカルハイビート 80 Hours SLGH005
10 モンブラン/モンブラン ヘリテイジ ピタゴール スモールセコンド リミテッドエディション 148
名畑政治(62歳) 時計ライター
「新型コロナウイルスに翻弄されたが予想外の豊作では?」
2021年もまた新型コロナウイルスの影響で時計業界全体の動きは鈍かった印象だが、新作に関しては想定外の豊作ではないだろうか? その豊富な秀作から、これらの10モデルを選ぶのに苦労した。例によってすべて同列、順位なし。
・ パテック フィリップ/カラトラバ 6119
・ ティソ/ティソ PRX オートマティック
・ ザ・シチズン/メカニカルモデル キャリバー0200
・ オメガ/シーマスター 300
・ チューダー/ブラックベイ フィフティ-エイト ブロンズ ブティックエディション
・ カルティエ/タンク マスト(LMモデル)
・ ハミルトン/カーキ フィールド メカニカル ブロンズ
・ タグ・ホイヤー/フォーミュラ1 クォーツ クロノグラフ
・ セイコー /プロスペックス スピードタイマー メカニカルクロノグラフ SBEC009
・ ロンジン/ロンジン アヴィゲーション ビッグアイ
広田雅将(47歳)『クロノス日本版』編集長兼アートソルジャー
「意外にも地味なモデルが魅力的」
地味かと思われた2021年だが、改めて振り返るとベーシックなモデルを中心に魅力的な時計が散見された。価格は控えめだが、質は良く良心的。日本製の時計が3本ランクインしたのも、決して偶然ではない。
1 グランドセイコー/エボリューション9コレクション メカニカルハイビート 80 Hours SLGH005
2 オメガ/スピードマスター ムーンウォッチ マスター クロノメーター
3 ブルガリ/オクト フィニッシモ パーペチュアルカレンダー
4 ザ・シチズン/メカニカルモデル キャリバー0200
5 フレデリック・コンスタント/スリムライン モノリシック マニュファクチュール
6 IWC/ビッグ・パイロット・ウォッチ 43
7 オリエントスター/70周年限定 スケルトン ~C/2021 A1~ RKAZ0003L
8 オーデマ ピゲ/CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ
9 パルミジャーニ・フルリエ/トンダ PF マイクロローター
10 パテック フィリップ/インライン永久カレンダー
ランキングの集計ルール
●選考委員は、各号のテーマに沿った腕時計を10本選び、順位をつける。
●選考委員ひとりあたりの所持ポイントを110点とし、これを1位20点、2位18点…… 10位2点として選考モデルに振り分ける。
●選考された時計が順位無しの場合は、所持ポイントを10等分して、各モデルに11点を与える(選考本数が10本に満たない場合でも、1モデルあたり11点とする)。
●獲得点数が同点となった場合は、選考者数の多いモデル、その中で選考順位の高いモデルの順で優位とする。
●最低有効得票数を2票とする。
https://www.webchronos.net/features/72242/
https://www.webchronos.net/features/61976/
https://www.webchronos.net/features/52697/