アンプの音量計に着想を得た、レゼルボワール「ソノマスター クロノグラフ ブラックサンダー」

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2023.03.02

フランスの時計ブランド、レゼルボワールが2022年から展開している「ソノマスター クロノグラフ」コレクションに、オールブラックの「ソノマスター クロノグラフ ブラックサンダー」が加わった。直径43mmの大ぶりなケースにブラックPVD加工を施した、存在感のあるモデルだ。音響好きやロックミュージシャンにうってつけのモデルとなるだろう。

ソノマスター クロノグラフ ブラックサンダー

レゼルボワール「ソノマスター クロノグラフ ブラックサンダー」
自動巻き(Cal.RSV-Bi120/LJP-L1C0ベース)。39石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SS+PVDケース(直径43mm)。5気圧防水。93万600円(税込み)。2023年4月発売予定。
Originally published on Montres De Luxe
2023年3月2日掲載記事


アンプの音量計から着想を得た「ソノマスター クロノグラフ」コレクション

 2016年に創業したレゼルボワールは、ヴィンテージ計器からインスピレーションを得て、自動車、航空機、海洋などの世界で使われているメーターの機能性と美をデザインに活かした腕時計を展開してきた。

 そのレゼルボワールが2022年から展開しているのが、ヴィンテージのオーディオアンプをモチーフにした「ソノマスター クロノグラフ」コレクションだ。これはアナログステレオアンプの音量計「VUメーター」から着想を得て、音の計測を時間の計測にアレンジした腕時計である。ふたつのレトログラードによる秒と日付の表示に加え、クロノグラフを搭載している。

 この一風変わったデザインはどのように生まれたのだろうか? レゼルボワールの創業者でCEOのフランソワ・モローはこのアイデアを長い間温めていたが、ブランドのコンセプトと一致するように、具体化する必要があった。

ソノマスター クロノグラフ ブラックサンダー

ソノマスター クロノグラフは、ダイアル左右のバイ・レトログラード表示(120度の範囲で反復運動をする日付と秒の表示法)とクロノグラフを採用している。

 速度やドライブシャフトの回転数、時間などと同じように、音量もまたスケールに取り付けられた細い針で計測・表示される。機械式カウンターの指針は音の速度よりも遅れるため、音響業界ではリアルタイムにピークを正確に捉えることはできなかった。

 当時、訓練された正確な聴覚を持つベテランの技師だけがこういったカウンターを読み取ることができていたが、これは一部の専門家の特権であり、より信頼性と精度の高い発明が待たれていた。

 1940年代、アメリカのいくつかの機関が協力して「VUメーター」と呼ばれる装置が商業化された。VUとは「Volume Unit」の略である。これは、録音スタジオでミキサーやテープレコーダーに入ってくる音、ラジオ放送の信号の強さ、アンプの出力強度、あるいはリスニングスペースの音圧レベル(ボリュームや音量ともいう)など、あらゆる電子信号を測定するために開発されたものである。

 VUメーターはその後、さまざまな形で登場したが、アーチ状または直線状の目盛り上で細い針が動くという基本的な要素は共通している。VUメーターの針の動きは時計のレトログラード式の針と似ている。一般的な時計の針のように360度回転はせず、前後または上下、左右に振れるものである。

ソノマスター クロノグラフ ブラックサンダー

ブラックPVD加工とブラッシュ仕上げの直径43mmケースを採用し、存在感を放つ。

 この音の計測方法が、レゼルボワールにソノマスター クロノグラフの着想を与えたのである。では、クロノグラフの円形のカウンターをどのようにレトログラード式の針に転化するのか? 実はこのクロノグラフの2本のレトログラード式針は、アナログ式ステレオアンプにあるパワー測定器やVUメーターの針のように計測を行う。

 より詳しく言うと、そのヒントは象徴的なヴィンテージのハイファイアンプ「ラックスマンM-10 MK II」にあった。このアンプにはふたつの大きなVUメーターが搭載されており、クリーム色の背景に黒い針が配され、「危険域」として一部が赤でアクセントとして示されている。

 水平方向に見せるのではなく、レゼルボワールは120度に展開するふたつのアーチ状の開口部を垂直方向に配置した。9時側の目盛りは秒を表示する。目盛りは「0」から「30」までで、秒針は30秒毎に0地点に戻る。3時側の目盛りは日付けを表示し「0」から「31」までの目盛りが配置され、月が替わる瞬間に針が出発点に戻る。

RSV-Bi120

ラ・ジュー・ペレ製のLJP-L1C0をベースとした自動巻きキャリバーRSV-Bi120を搭載。

 そんなソノマスター クロノグラフコレクションより、2023年春に登場するのがオールブラック仕様の「ソノマスター クロノグラフ ブラックサンダー」である。

 本モデルは直径43mmのステンレススティールケースに、ブラッシュ仕上げとブラックPVD加工を施したものだ。コラムホイール式クロノグラフ機構を搭載した自動巻きムーブメントを搭載し、センターセコンド、12時位置に30分積算計、6時位置に12時間積算計の表示機能を備えている。トランスパレントバックよりこの駆動の鑑賞も可能だ。

 タキメーターベゼルと無反射加工を施したドーム型サファイアクリスタル製風防が、全体のロックンロールスタイルを完結させ、時分針にはスーパールミノバが塗布されている。

 よく見ると、巻き上げ用リュウズがアンプの操作ボタンに似ていることに気が付くだろう。クロノグラフのふたつのプッシャーは、ベースツマミ、トレブルツマミに着想を得ている。ソノマスター クロノグラフには、細部まで見るべきアイデアがちりばめられているのである。


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