現代のムーブメント
ルミノール マリーナ 1950 3デイズ アッチャイオ-47㎜の内部では、自社製の手巻きムーブメント、キャリバーP.3001が時を刻む。直径16 ½リーニュ(37・2㎜)のこのムーブメントは、当時のモデルに搭載されていた16リーニュのアンジェリュス製ムーブメントに対して、ヒゲゼンマイが規制なく自由に振動することができるフリースプラング方式のムーブメントで、テンワに取り付けられたバランスウェイトスクリューで微調整を行う。テンプは、両持ちの頑丈なテンプ受けの下で振動する。
ムーブメントの装飾もこの時計の趣旨にかなっている。控えめでテクニカルな印象を与えるヘアライン仕上げが何よりも印象的だ。ヘアライン仕上げは、テンプ受けとふたつの大きな受けで乱れなく同じ方向に施されており、そこに彫り込まれたブルーの文字がこれによく似合う。
ルミノール マリーナ 1950 3デイズ アッチャイオ-47㎜は操作性においても優秀である。リュウズを1段引き出したポジションでは、分針に影響を与えることなく、時針を1時間刻みで合わせることができる。他のタイムゾーンに移動した際や、サマータイムに切り替わった時に、分や秒を変えずに時針だけを合わせられるので快適である。リュウズを2段引き出したポジションでは通常通り、時針と連動させて分針を合わせることができる。このポジションにリュウズを引き出した瞬間に秒針がゼロにジャンプして戻るので、電波時計と簡単に同期できて便利である。
こうした機能は、当時のパネライの時計には搭載されていなかった。当時、最も重視されたのは、水中での視認性と防水性だったからである。
コンバットスイマーたちが当時、パネライの時計をいかに利用していたのか、ルミノール マリーナ 1950 3デイズ アッチャイオ-47㎜を観察すれば直ちに明確になるだろう。いわゆるダイバーズウォッチとしての典型的な外観は備えていないが、あまり深くない海中で長時間にわたる海兵隊の任務において、必要条件を満たすには、パネライのデザインこそふさわしいものだったのである。コンバットスイマーたちは回転式ベゼルを必ずしも必要とはしなかったし、レザーストラップが潜水後もまったく劣化しないことは、今回のテストでも十分に証明された。何と言っても、パネライの時計が優れた機能だけでなく、美しさも備えているのは、今も昔も、イタリア人の卓抜した意匠センスの賜物なのである。