調整は全姿勢で実施
たいていのムーブメントは5姿勢で調整されているが、エンデバー パーペチュアル・カレンダーのムーブメントには6姿勢調整と刻まれている。歩度測定機にかけてみると、その調整のほどが分かるはずだ。結果は最大姿勢差が6秒、平均日差がプラス4・8秒。振り角は大きい値を見せたが、平置きにした状態から垂直姿勢に変えると、はっきり40度も振り角が落ちた。そして、パワーリザーブインジケーターは、7日間を越すと残り3分の1のあたりを示した。残り2日以上保たせたいなら、ここでまたリュウズを巻いておくことをお勧めしたい。精度に細かい人は、一度フルに巻き上げてそのまま1週間作動させた8日目だけではなく、翌日の9日目にも測定すべきだろう。すると、振り角はツインバレルにもかかわらず、垂直姿勢で200度を下回り、最大日差は15秒にまで開いてしまった。平均日差もプラス6・8秒に変わった。
ロングパワーリザーブで永久カレンダー機構付きの賢いムーブメントを搭載し、プラチナケースともなれば、値段もかなりのものになるはずだ。エンデバー パーペチュアル・カレンダーのプラチナモデルの価格は830万円と、気軽な金額ではない。ローズゴールドケースもしくはホワイトゴールドケースでは640万円。他ブランドの永久カレンダーと比較すると、パテック フィリップやA.ランゲ&ゾーネ、ヴァシュロン・コンスタンタンだともう少し高めの価格だ。ブランパンは同じくらいで、IWCやジャガー・ルクルト、グラスヒュッテ・オリジナルではもう少しリーズナブルな価格がついている。もっとも、これらのブランドでは、エンデバー パーペチュアル・カレンダーほどすっきりした文字盤や、早送りにも逆戻しにも修正可能な永久カレンダー、月末から月初の切り替わりがスピーディーな美しい大型の日付表示などは備えられてはいない。
H.モーザーは、コンプリケーションであっても機能性に留意するという、意義深いことをやってのけた。エンデバー パーペチュアル・カレンダーにおいて、それを形作っているのは視認性と操作性、そしてデザインだ。既存の固定概念を捨て去ることができる者には、エンデバー パーペチュアル・カレンダーは、現行永久カレンダーのベストセレクションのひとつになるだろう。