幻想的な青をベゼルとGMT針に配した2013年発表のGMTマスターⅡ。手にする喜びだけでなく、その青の美しさと細部にまで込められたロレックスの意匠を存分に感じてほしい。
時代を超越した意匠
デザインについては、唯一、ベゼルの数字がモダンな書体にマイナーチェンジされたほかは、隅々まで初代GMTマスターの意匠が踏襲されている。オリジナルモデルのもともとのデザインに改善すべき点がほぼなかったことが、その理由だろう。GMTマスターは、時代を超越したクラシカルな意匠として、その地位を築き上げてきたのである。GMTマスターⅡのデザインは、ベゼルのディテールとGMT針を除けば、サブマリーナーとほぼ同一である。だが、一見、微々たる違いに思えて、全体の印象に驚くほど大きな影響を与えているのが、ケースの厚さである。GMTマスターⅡのケースは厚さ12・1㎜で、サブマリーナーよりも0・4㎜、薄いのだ。その分、サブマリーナーが300mの防水性を備えているのに対し、GMTマスターⅡでは100mの防水性しか備わっていない。ケースがここまで薄く、快適に着用できるスポーツウォッチが今日では少なくなってしまったのは残念である。ケース径40㎜というサイズは大多数のユーザーにとって、過度に巨大な直径を持つモデルよりもずっと使いやすいだろう。
緩やかなカーブを持つコマで出来たブレスレットも、手首に心地良くなじむ。手首は、気温が高い場合や、腕を激しく動かすような動作をした際に、血行が良くなり膨張することがあるが、オイスターロッククラスプには、こうした問題を簡単に解消できる実用的な機能が備わっている。オイスターロッククラスプの下に隠された可動式のハーフサイズのコマを引き出せば、ブレスレットの外観を変えることなく、長さを約5㎜、延長することができる。