クラスプは非常に堅牢に設計されており、フリップ式のため、スムーズかつ快適に開閉動作を行うことができる。オイスタークラスプの内部には5㎜延長可能なエクステンションリンクが装備されているが、これはスティールブレスレットにとっては特に有益な機構である。スティールブレスレットは、ラバーストラップやレザーストラップとは異なり、伸縮性がまったくないために、夏季やスポーツ時などに手首が汗ばむと締め付けられるような感覚が生じることがある。こんな時には、エクステンションリンクを延長することで不快感を軽減することができるのだ。その上、エクステンションリンクを伸ばしても、ブレスレットの他の部分と外観上、見分けがつかないように設計されているのもうれしい。
加工のクォリティは、ロレックスならではの完璧さである。これは、クリーンなポリッシュ仕上げの美しいケース、非の打ち所のない針、プリントの精密な文字盤、コマが遊びなく連結されたブレスレットに見て取ることができる。すべてにおいて価値が高く、ルーペを通した厳しい視線にも耐える品質を備えている。ブレスレットは、中央列のコマの上面と両側のコマの側面がポリッシュ仕上げで、両側のコマの上面がサテン仕上げになっている。その結果、ブレスレット表面に美しい変化が生まれているのは言うまでもない。ケースの方は全面にポリッシュ仕上げが施されているが、このブレスレットはケースとの相性も良い。
ブレスレットは、表面のなめらかなケースバックとともに、快適な装着感にも貢献している。コマがやわらかなカーブを描いた形状になっているので、手首の細かい毛が挟まって不快な思いをすることはない。また、クラスプ付近のブレスレットがややスリムにデザインされていることも、着け心地の良さに一役買っている。幅の広いスティールブレスレットの場合、手を素早く動かした時にブレスレットが手首に食い込み、痛みを生じることもあるからだ。
デイトジャストⅡでは、ケースがサイズアップされたばかりではない。内部にも最新の機構が搭載されている。小型のデイトジャストでは、まだロレックス自社製キャリバー3135が時を刻んでいるのに対し、大型化された姉妹モデルを駆動するのはキャリバー3136である。つまり、デイトジャストⅡはロレックスが自社開発し、2005年に初めて採用したパラフレックス ショック・アブソーバも搭載しているのだ。パラフレックスショック・アブソーバは、従来型の耐震軸受けよりも衝撃を吸収する能力が50%向上しており、時計に衝撃が加わった場合の天真の復元性がより強化されていることで信頼性が高い。
このムーブメントには、ブルーのパラクロム・ヘアスプリングも搭載されている。ロレックスが自社製造したパラクロム・ヘアスプリングは、ニオブとジルコニウムの合金に酸化被膜を施した新素材で出来ており、磁力の影響を受けにくいばかりか、耐衝撃性も従来のヒゲゼンマイに比べて格段に高くなっている。ロレックスではおなじみの精巧に巻き上げられたブレゲ式エンドカーブは、ヘアスプリングが均等に伸縮するのに役立っている。テンワの内側にマイクロステラナットを取り付けたフリースプラング方式の緩急調整も良好な解決策で、専用ツールを使用すれば、テンプを取り外さずに微調整することが可能である。テンプは、頑丈な両持ちのバランスブリッジで両側からしっかりと固定されており、堅牢な構造になっている。天真の軸方向のアガキは2個のナットで微調整でき、姿勢が変わった時のテンプの誤差も最小限に抑えられるようになっている。