パネライの歴史を体現するリファレンスキャリバー
とはいうものの、限界値はかなり寛大と言えるだろう。最大姿勢差はフル巻き上げ時で10秒以内、7日後は20秒以内と規定されており、イタリア海軍の要求をかろうじて満たす内容である。今回のテストウォッチは、ほぼ規定範囲内の結果を見せてくれた。歩度測定機、クロノスコープX1では、最大姿勢差がフル巻き上げ時から12時間後には6秒と比較的小さかったが、7日後には22秒に上昇した。振り角は、7日後には水平姿勢で74度、垂直姿勢で75度落ちた。水平姿勢から垂直姿勢への振り落ちも50度を超える大きなもので、理想的な数値とは言い難く、振り角の規定限界値ぎりぎりという結果であった。平均日差はこれとは異なり、フル巻き上げ時から12時間後にはプラス2秒/日、7日後にはプラス3.2秒/日と、良好な数値を示した。精度を重視するなら、パワーリザーブを使い切ることなく、すべての手巻き時計で推奨されているように、毎日巻き上げる方が賢明かもしれない。
詰まるところ、ロングパワーリザーブを備えたこの手巻きムーブメントは、パネライの歴史を体現するリファレンスキャリバーと言える。文字盤やケースのデザインについても然り。パネライの時計を購入する理由の多くは、イタリア海軍の潜水士が使用するミッションウォッチの伝統を踏襲したアイコニックなデザインにあるからだ。また、卓越した加工品質と傷に強いマットブラックのセラミックス製ケースも、今回のテストウォッチにプラスの材料を提供している。さらに、1930年代の実用計器を思わせる意匠を備えている点も大きな魅力だ。
ラジオミール エイトデイズ チェラミカ︲45mmに関するここまでの検証結果を知ったら、イタリア海軍の潜水士はどんな感想を述べるだろうか? この時計が任務上、軍から支給されるものであるならば、彼らにとっては何の問題もないだろう。価格の点を除けば、この時計には歴史的なオリジナルモデルをはるかにしのぐメリットしかないのだから。
技術仕様
パネライ/ラジオミール エイトデイズ チェラミカ - 45mm
製造者: | オフィチーネ パネライ |
Ref.: | PAM 00384 |
機能: | 時、分、スモールセコンド、日付表示、水平スライド式パワーリザーブインジケーター |
ムーブメント: | 自社製キャリバーP.2002/3、手巻き、2万8800振動/時、21石、部品総数247点、フリースプラングテンプ(4個のバランスウェイトによる微調整)、耐震軸受け(キフ使用)、グリュシデュール製テンワ、直列に接続された3つの香箱、パワーリザーブ約8日間、直径31.8mm、厚さ6.6mm |
ケース: | テクニカルセラミックス(原料:酸化ジルコニウム)、ドーム型サファイアクリスタル製風防(無反射コーティング)、ねじ込み式裏蓋、グレーに着色したサファイアクリスタルのトランスパレントバック、10気圧防水 |
ストラップとバックル: | バッファローレザーストラップおよびチタン製尾錠(DLCコーティング) |
サイズ: | 直径45mm、厚さ15mm、総重量119g |
価格: |
*価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。
精度安定試験 (T12とT168の日差 秒/日、振り角)
12時間後(T12) | / 7日後(T168) | |
文字盤上 | +5 | +4 |
文字盤下 | +4 | +5 |
3時上 | +1 | -2 |
3時下 | -1 | +6 |
3時左 | +2 | +14 |
3時右 | +1 | -8 |
最大姿勢差: | 6 | 22 |
平均日差: | +2 | +3.2 |
平均振り角: | ||
水平姿勢 | 308° | 234° |
垂直姿勢 | 264° | 179° |
評価
ストラップとバックル(最大10pt.) | 8pt. |
操作性(5pt.) | 4pt. |
ケース(10pt.) | 9pt. |
デザイン(15pt.) | 14pt. |
視認性(5pt.) | 5pt. |
装着性(10pt.) | 8pt. |
ムーブメント(20pt.) | 16pt. |
精度安定性(10pt.) | 8pt. |
コストパフォーマンス(15pt.) | 12pt. |
合計 | 84pt. |