【84点】オメガ / シーマスター アクアテラ GMT

2013.02.03

扱いやすいリュウズは、ポリッシュとサテンのコンビ仕上げのケースサイドとよく調和している。

どのような旅においても、時刻は常に重要である。特にビジネスマンは、いつでも移動時間や会議時間を読みながら行動しなければならない。バカンス中は時間にルーズになることもあるが、飛行機や船に乗り遅れないためにも、腕時計にはやはり正確な時刻表示を求めたい。今回のテストウォッチは、オメガ自社製キャリバー8605を搭載しているのだから、信頼に足る精度を備えているはずである。キャリバー8605は、オメガが2007年に発表した名高いキャリバー8500をベースとしており、キャリバー8500同様、フリースプラングテンプとコーアクシャル脱進機、ふたつの香箱を搭載し、クロノメーター証書が付いている上、オメガ独自の模様彫りで装飾されている。キャリバー8605はキャリバー8500にGMTモジュールを加えたものだが、実はこれこそがキャリバー8500の本来の用途と言えるだろう。キャリバー8500は、時針を1時間刻みで調整できることから、ベースムーブメントとして開発された時にGMT機能を載せることがあらかじめ考慮されていたと考えられるからである。歩度測定機を使用したテストで、キャリバー8605はどのような性能を見せてくれたのだろうか。プラス6・2秒/日という平均日差と、2秒という最大姿勢差は、結果としては良好である。ただ、平均振り角は水平姿勢でわずか238度、垂直姿勢では220度にしか達しなかった。テンワの慣性モーメントはベースの8500系と同じなので、テストウォッチの個体差か、もしくは計測方法の問題だろうか。

時計は、いかなる種類であっても常に有価物である。こうした有価物を、自宅から遠く離れた場所で紛失したくはないだろう。シーマスター アクアテラ GMTの場合は、セーフティーフォールディングバックルの恩恵により、その心配はなさそうだ。クラスプ上のピンをストラップの任意の穴に通して、あらかじめ長さを合わせた後で、ステンレススティール製の堅牢なバックルでしっかりと手首に固定することができる。ピンを穴に通すのは手では少し困難で、レザーを傷める懸念もあるが、この作業は基本的に、初めて着用する時にだけ必要なものなので、あまり問題ではないだろう。このバックルにはジョイントがひとつしかないので、ダブルフォールディングバックルに比べて扱いは格段に楽である。