ムーブメントは合計227点もの部品で構成されている。
4本のチラネジを備えたフリースプラングテンプは、賢い解決策だ。
実際、パネライは微調整も優秀だ。 装着時はプラス8秒/日のプラス傾向を見せたが、歩度測定器上での測定では平均日差がわずかプラス3.7秒/日だった。また、姿勢差による最大日差も5秒と、まったく問題ない精度である。振り角も全姿勢で力強かった。
価格の面でも十分うなずけるのではないだろうか。ETA製ムーブメントを搭載していた従来のモデルと新型キャリバー搭載モデルの間には、それほど大きな価格差はない。 パワーリザーブインジケーターや第2タイムゾーン、そしてゼロリセットセコンド機構を省いた、P.9000シリーズで最もシンプルなバージョンなら、68万2500円で、完全自社製キャリバーが手に入る。ちなみに、 ETA7750の"減量"(ノンクロノグラフ)バージョンは、パネライではキャリバーOP IIIと呼ばれており、数多くのモデルの駆動系として今でも時を刻んでいる。
テスト機のように、第2タイムゾーン、ケースバック側のパワーリザーブインジケーター、そしてゼロリセットセコンド機構を搭載したモデルを入手したい場合は、15万7500円多く支払わなければならない。だが、マニュファクチュールキャリバーを搭載した時計が84万円で手に入る機会はあまりないし、テスト機と同スペックで84万円以下の時計を探すとなれば、なおさら困難だろう。ただ、この価格を支払うなら、それ相応の加工精度を期待したいところだが、今回のテストモデルでは、針の作りやラグのサテン仕上げなど、要求を十分満たしているとは言い難い要素が一部、見受けられた。
ルミノール 1950 3デイズ GMTは、自社製キャリバーを搭載した秀逸な時計であるばかりではなく、パネライ・コレクションの隠れた旗艦モデルでもある。文字盤にパワーリザーブインジケーターがない分、8日間あるいは10日間のパワーリザーブを備えた完全自社製モデルよりも外貌は洗練されている。しかも、価格が両者のほぼ半分ともなれば、パワーリザーブが3日間でも競争力は十分だ。パネライは、控え目な第2タイムゾーン、ケースバック側のパワーリザーブインジケーター、そして実用的なゼロリセットセコンド機構など、落ち着いた外観を損ねることなく、有意義な機能を数多く搭載することに成功した。とりわけ、見事に表現されたレトロな意匠は、目まぐるしく変化する今日の時代において、我々の目に、ある種の癒しを与えてくれるに違いない。
技術仕様
ルミノール 1950 3デイズ GMT
製造者: | オフィチーネ・パネライ |
Ref.: | PAM00320 |
機能: | 時、分、スモールセコンド(ゼロリセットセコンド機構付き)、日付、第2タイムゾーン、パワーリザーブインジケーター(ムーブメント側) |
ムーブメント: | P.9001、自動巻き、2万8800振動/時、29石、耐震軸受(インカブロック使用)、グリュシデュール製テンプ、チラネジ付きフリースプラングテンプ、パワーリザーブ約72時間、直径31.8mm、厚さ7.9mm |
ケース: | SS製、無反射コーティングを施した厚さ2.6mmのサファイアガラス、ねじ込み式トランスパレントバック、30気圧防水 |
ストラップとバックル: | アリゲーターストラップおよびSS製尾錠 |
サイズ: | 直径44mm、厚さ17.7mm、総重量159g |
価格: | 84万円 |
*価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。
精度安定試験 (日差 秒/日、振り角)
文字盤上 | +5 |
文字盤下 | +1 |
3時上 | +3 |
3時下 | +3 |
3時左 | 0 |
3時右 | +4 |
最大日差: | 5 |
平均日差: | +2.7 |
平均振り角: | |
水平姿勢 | 298° |
垂直姿勢 | 275° |
評価
ストラップとバックル(最大10pt.) | 9pt. |
操作性(5pt.) | 5pt. |
ケース(10pt.) | 9pt. |
デザイン(15pt.) | 14pt. |
視認性(5pt.) | 5pt. |
装着性(10pt.) | 8pt. |
ムーブメント(20pt.) | 13pt. |
精度安定性(10pt.) | 8pt. |
コストパフォーマンス(15pt.) | 13pt. |
合計 | 84pt. |