【イノベーティブ系エレガントウォッチ】革ジャン×エレガントウォッチという美学

定番をただ守るだけでは、スタイルは更新されない。ラフに羽織れる革ジャンの強さと、エレガントウォッチの落ち着いた上品さ。異なるふたつの表情をあえて重ねることで、装いは新しい均衡を見せる。強さが上品さを引き立て、上品さが強さを洗練へと導く。そんな“ギャップの妙”こそが、時代の感性に寄り添う大人にふさわしい美学だ。革ジャン×エレガントウォッチという組み合わせに、定番を進化させるためのヒントがある。ここでは、6つのカテゴリーに分けて、その“最適解”となるスタイリングを提示する。

革新性を宿した腕時計が、正統派ライダーズに気品を添える

　ダブルブレストのライダーズに合わせたのは、光起電発電 ソーラービート™ ムーブメントを搭載するカルティエの「タンク マスト」。光を取り込み、確かな精度で時を進める革新的な仕組みは、直線を基調とした角型ケースのモダンな緊張感と呼応する。ダイアルにはローマ数字と剣型針を配し、アールデコの骨格を残しながら、軽やかな現代性を帯びた1本に仕上がっている。漆黒のレザーとエレガントな腕時計の交差が、装いに静かな品格のレイヤーを加えるのだ。

イノベーティブ系 × 定番ジャケット

　カルティエの「タンク マスト」は、直線美が構成するエレガントな腕時計だ。長方形のケースにローマンインデックスと剣型針が描く均整が、時間を端正に整える。光起電発電 ソーラービート™ ムーブメントを搭載し、クラシックの姿を保ちつつ現代性を宿す。そんな時計に定番・王道のレザージャケットを組み合わせた。

　エンメティが手掛けるブラウンのレーシングジャケットは、ゴートスエードの柔らかさに1970年代モーターカルチャーの面影を重ねた1着。エストネーションが別注した洗練されたフィッティングは、都会的なスリムラインを描き、スポーティーさと上品さを両立させる（写真1）。ショットのDポケットライダーズは、13年から続くブランドのアイコンモデルを現代的に再構築したもの。シボを残したネイキッドレザーは厚みと柔らかさを併せ持ち、オリジナルの骨太さに、追加ポケットやネル地のライナーといった実用性を備えている（写真2）。

シチズン／エコ・ドライブ ワン AQ5022-02E
世界最薄となる1.00mm厚の光発電ムーブメントを搭載した「エコ・ドライブ ワン」。要素を削ぎ落とし、構造を根本から見直して生まれた薄さは、軽快さと精度の両立を実現する。SSケースには黒と対比するアンバーイエローの表面硬化技術、デュラテクト加工が施される。光発電エコドライブ（Cal.8845）。フル充電時約7カ月駆動。SSケース（直径36.6mm、厚さ4.5mm）。日常生活防水。36万3000円。（問）シチズンお客様時計相談室 Tel.0120-78-4807

オシアナス／OCW-S7000RA-2A
新色の本作はハーフマットの梨地仕上げで奥行きを生むグラデーション文字盤に、霜のような光を宿すフロスト加工のサファイアクリスタルのベゼルを組み合わせた1本。Bluetooth®搭載電波ソーラーの高精度を薄いチタンケースに収め、実用性と質感表現を高度に両立。オシアナスらしい技術美が凝縮されている。タフソーラー。フル充電時約5カ月駆動。Tiケース（直径42.8mm、厚さ9.5mm）。10気圧防水。21万4500円。（問）カシオ計算機お客様相談室 Tel.0120-088925

　フィデリティのA-2タイプは、40年代米空軍のフライトジャケットを基にした逸品だ。上質なラムのネイキッドレザーの質感が無骨さを和らげ、フロントにはイデアル社製ジッパーを採用。現代的に整えたシルエットが、アーカイブの力強さを街へ接続する（写真3）。

　異なる文化と歴史を持つ革ジャンに、未来志向の革新性を宿したイノベーティブな腕時計を重ねると、強さと静けさが心地よく振動し合う。 その揺らぎこそ、大人の装いにふさわしい均衡なのだ。