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そんなクロノスの最新号発売日から遡ること2週間前の1月19日から3日間、実は校了が差し迫る状況ながらに長野県白馬村へ行っておりました。
といってもこのタイミング。さすがに遊びで行っていたわけではありません。
決して、ほかの編集部員がSIHH取材に行っている隙をみて羽を伸ばしていたわけではない……ですよ?
本誌、webChronosでもお馴染み、ファーブル・ルーバも協賛をしているイベントにご招待されたのです!
その名も「Freeride World Tour Hakuba Japan, 2018」。スキーとスノーボードの国際大会です。
スキー競技といえば日本ではモーグルやジャンプ、またソチ五輪で渡部暁斗選手が銀メダルを獲って注目を浴びたノルディック複合などを、スノーボードではハーフパイプといった競技を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。これらは基本、人工的に作れられたコースで得点やタイムを競います。
しかし、フリーライドは人の手が全く入っていない山の高いところから一気に滑り降ります。そのため、滑る際に通るべきコースなどは存在しません。選手は出走前にかなりの時間を費やし、望遠鏡を使って雪質や積もり方、コブの有無などを確認して自分が滑るべきラインを決めるようです。
上記のようなフリーライドの概要などを教えてくれたのはこの競技における日本のパイオニア、楠泰輔選手です。
何故、そんな第一線のアスリートとお話しする機会を得られたのか。というのも今回、私を白馬に連れてってくれたファーブル・ルーバで楠選手はブランドアンバサダーを勤めています。そのため、今回ファーブル・ルーバがこのような場をセッティングしてくれたのです。
楠選手はもともとモーグルの日本代表選手で、20歳の頃には全日本選手権で優勝を果たしています。この時の優勝によって、モーグルでやるべきことは全てやり尽くしたと判断した楠選手は、新たな競技に挑戦するようになったと語ってくれました。
その後楠選手はビッグエアを経て、今に至る……という経歴を聞いているうちにひとつ疑問が。全日本選手権で優勝したモーグルや世界大会で2位を獲得したというビッグエアは五輪競技にもなっているメジャー種目です。これらを続けて代表選手として五輪に出場したり、ほかのメジャー競技に転向して五輪代表を目指すという選択肢も当然あるはず。しかし、それらの選択肢には目もくれず日本ではまだ知名度が低く、五輪競技でもないフリーライドを選んだのか。
そんな疑問にも楠選手は実に分かりやすく答えてくれました。曰く、「人工物ではなく、自然の中で滑りたかった」。
競技名のごとく、自身が滑るルートを自由に決めて一気に雪山を降りていくフリーライドでは自然との対話が重要なファクターになるのでしょう。その日の雪質や選択したルートの斜傾などいくら望遠鏡で入念に予習をしても、実際に滑ってみないと分からないことが山ほどあるといいます。自分の思い描いたラインがぴったりハマった時の気持ち良さや、自分の滑ったラインが周りから評価され、そのルートに自身の名前が冠された時の喜びを語っている楠選手はまさに、雪山を愛している少年のようでした。
ここまで人を夢中にさせる競技だと、それがどんなものなのか流石にもっと知りたくなります。楠選手はフリーライドに全く興味を持っていなかった僕をそんな気にしてしまうほどに、熱を持ったアスリートでした。(細田雄人)
(下)上写真を撮った場所のすぐ隣。ここから先は登山コースのようで、物騒なポスターが貼ってありました。