独立系メゾンの雄、ショパール。日本ではハッピーダイヤモンドのイメージが強いが、ヨーロッパでの格は非常に高い。それを反映するかのように、各ブティックには重々しい内装が与えられていた。確かにそれは格式に見合っていたが、入りづらかったことは否めない。対してショパールは、ブティックに新しいコンセプトを与えるようになった。〝邸宅に招く〟というスタンスに変わりはないが、アクセスのしやすさも考慮するようになったのである。
リオープンされた銀座のブティックも、基本的には新しいコンセプトに依っている。加えて細かいゾーニングによって、それぞれのコレクションの世界観をより強く打ち出すようになった。
延べ193㎡のフロアは、1階がジェネラルなウォッチ&ジュエリーフロア。2階がミッレ ミリアをはじめとするクラシック レーシングとLUCコレクションを並べたジェントルマンズフロア。そして3階にはハイジュエリーサロンと、世界初のブライダルサロンが併設された。もちろん本誌読者にとって重要なのは2階だ。男性向けのコレクション、とりわけLUCをここまで揃えた店は、日本では銀座本店以外にない。
1F 「ハッピーダイヤモンド」や最新のジュエリーなどが並ぶウォッチ&ジュエリーサロン。壁がホワイトオークに変わった結果、明るく広々とした印象を与える。
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2F 2階の奥にはショイフレ氏肝煎りのL.U.Cサロンがある。ブースはジュネーブ本店にもあるが、独立した空間としては銀座本店が初。暖炉やバーカウンターは男性向けならでは。
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3F 世界初のブライダルサロン。壁紙は金糸を織り込んだジャカード織り。白いのはブライダルを意識したためだろう。各サロンで椅子の高さが違う点にも注目。奥に行くほど低い。
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3F 3階の奥に設けられたハイジュエリーサロン。赤いのはカンヌのレッドカーペットを意識したため。壁と什器の意匠は共通するが、床は大理石、ソファはベルベットに変更された。
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リニューアルされても、相変わらず内装は豪奢だ。各フロアの壁にはホワイトオークやレザー、ベルベットなどが張られ、1階と3階の天井には銀のシャンデリアが下がっている。内装はすべてイタリア製。加えてその作り込みはより細かくなった。1階と2階の壁はホワイトオークだが、これは無垢のオーク材に白いラッカーを塗り、それをぬぐうことで、導管部だけを着色したもの。驚くほどの手間だが、明るく広々とした印象を与えることに成功した。
各コーナーのつなぎ方も実に巧みだ。入り口に近いほど色は明るく、価格帯が上がるほど、そして奥に進むほどトーンが落ちていく。これだけ色が違うとまとまりを出すのは難しいが、デザインを担当した建築家のティエリー・W・デポンは、各コーナーの壁と什器の意匠を統一。さまざまなコンセプトと色を持つ銀座本店に、さりげない統一感を与えてみせた。
ショパールらしい入念さをもってリニューアルされた銀座本店。格を落とさず間口を広げ、かつ奥行きを持たせた構成は、銀座のブティックの中でも屈指である。ともあれ、時計好きの男性にとって、銀座本店が入りやすい場所に生まれ変わった点は大いに歓迎すべきだろう。
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