スマートウォッチブランド“ガーミン流のモノづくり”の本質は「できることはすべて自分たちで!」

去る2024年6月24日に公開した「GPSナビから生まれたスマートウォッチ『ガーミン』本社へ取材で分かった“本当の姿”」では、ガーミンが「GPS(グローバル・ポジショニング・システム)技術の開発者が、この技術を活用するために創業した企業」であること、スマートウォッチはあくまで1分野の製品に過ぎず、その背景には多彩なGPS関連プロダクトがあることを紹介した。今回はその続き。アメリカ中西部・カンザス州オレイサにあるガーミン米国本社を訪ねて分かった、モノづくり企業としてのガーミンの魅力、特徴をお伝えする。

ガーミン腕時計の魅力に迫る。アクティブな男性に適したモデルは?

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渋谷ヤスヒト:取材・文 Text by Yasuhito Shibuya
All photographs ©Yasuhito Shibuya 2024
[2024年8月10日公開記事]


キーワードは「垂直統合」

 時計業界、特に高級時計業界の主要ブランドでは2000年以降、マニュファクチュール(自社一貫製造)化が劇的に進んだ。その背景には「高級時計のエンジン」ともいえる機械式ムーブメントの供給不安という問題があったが、それから四半世紀を経た現在、振り返ってみると、その最大の目的は「製品の差別化と高機能化」だったように思われる。

 そのため、リシュモン グループやLVMHグループを筆頭に、高級時計を製造するブランドが戦略的に行ったのは、ムーブメントからケース、ブレスレット、文字盤、針やブレスレットなど、時計を構成する部品メーカーを買収し、子会社として自社やそのグループに統合すること。つまり「垂直統合」だ。その結果、“必要な部品は自分たちで作る”ことができるようになり、これまでよりも“妥協のない、思い通りの時計づくり”が実現したのだ。

 ガーミン米国本社の創業35周年プレスツアーに参加して現地で知った、今最も注目したいスマートウォッチブランド「ガーミン」のモノづくり企業としてのポリシーも、この「垂直統合」だ。本社で行われたプレゼンテーションで最初に語られたキーワードは、この言葉であった。

(左)ガーミンにおいては、製品のサポートや修理も「垂直統合」がポリシー。
(右)製品デザインも、ここガーミン米国本社で統合して行われているという。

 しかも、ガーミンの垂直統合はレベルが違う。技術開発からデザイン、試作、テストを統合して行うのは現代のモノづくりでは普通のことだが、何とガーミンは「事業に関するあらゆることをできる限り垂直統合で行う」ことをモットーにしている。なんと米国本社には大量の部品や製品の巨大な倉庫とそれを出荷するシステムがあり、フル稼働していた。つまり、物流まで自社内で統合して行っているのだ。

ガーミン米国本社内の倉庫スペース。約40万平方フィート(3万7160㎡)という広大な広さで、約2マイル(約3.2km)のコンベアラインが設置されていて、注文から5時間以内に出荷される体制を持つ。注文の約98%が当日に出荷されるという。


製品デザインも使用テストも!

 今回のプレスツアーでは、フィットネス、ヘルス&ウエルネス、アウトドア、アビエーション(航空)、マリン(船舶)、オートモーティブ(自動車関連のOEM)まで、各分野の事業責任者からその事業についてプレゼンテーションが行われたが、どの分野でも共通して感じたのが、製品の開発から販売、さらに製品のサポートから修理に及ぶアフターサービスまで「すべてに自社で責任を持とう」という一貫した姿勢だ。

 一部しか写真撮影は許可されなかったので言葉でお伝えするしかないが、ガーミン米国本社の開発部門、特に耐久性など製品テストの部門を取材してまず感じたのは「とにかく納得できるまで妥協せず、徹底的にテストを行おう」という、技術を何よりも大切にする、技術を何よりも誇りにしている(技術オリエンテッドな)企業らしい真面目な姿勢である。

スマートウォッチの電磁波テストルーム。手前の機器から出る強い電磁波を白いボックスの中の、開発中のスマートウォッチに放射してその影響をテスト中。

 しかも本社にはトレーニングジムやヨガスタジオ、バーチャルゴルフスタジオなど、社員がさまざまなスポーツアクティビティを楽しめる施設が揃っている。そして社員自身がそのアクティビティを日々行う中で、スマートウォッチの機能やアプリケーションを自ら検証していたのだ。

こうした体制を持つから「顧客が製品に本当に何を求めているのか」が分かる。こうした製品作りの姿勢と体制こそが、トップアスリートたちからガーミンが絶大な信頼を寄せられている理由だろう。


妥協なく最高の製品を求める人に

 2015年春の初代「Apple Watch」発売からすでに9年。スマートウォッチはウェアラブル機器の中でも劇的な進化を続けてきた。機能も信頼性も昔のものとは比較にならないハイレベルなものが、昔では考えられなかった手頃な価格で購入できるようになっている。その一方で、機械式高級時計を彷彿させる高級モデルが新たなトレンドになっているのも事実だ。

 そして、このジャンルにおいて、ガーミンのスマートウォッチは別格の存在だ。筆者も2017年頃から使い続けているが、GPS機能を使ったウォーキングなどのアクティビティの精密なトラッキングや、何日間も充電なしでも使えるロングバッテリーライフには驚かされるし、機能や信頼性に対して不満や疑念を抱いたことはない。機能面の進化も常に一歩先を行っている。

 ガーミンの豊富なラインナップの中で、アメリカで圧倒的な人気を誇るのがフラッグシップモデル「fēnix」シリーズだ。ガーミンの最新の技術が搭載され、チタンやサファイアレンズを採用しており、腕時計として洗練されたデザインも人気の理由である。特に、2022年以降に発売された「fēnix 7(Pro)」シリーズでは、タッチパネル操作が可能になったことで日常シーンでの操作性が格段に良くなった。アウトドアやスポーツシーンでの利用ではボタン操作による確実性が求められるため、顧客の声を反映してタッチとボタン操作を融合させている。タフネス設計やロングバッテリーライフなどの魅力を失うことなく、機能性や利便性の進化を続ける「fēnix」シリーズは、ビジネスや日常シーンでも活用でき、ますます多くの人にフィットするモデルになっている。

スマートウォッチやアクティビティトラッカーに搭載されているセンサーの進化。新たなセンサーと機能の充実ぶりには驚かされる。

 今回、米国本社を訪れて何よりも感じたのは、筆者の期待をはるかに超えた「妥協なきモノづくり」の姿勢だ。本気でスポーツ・アクティビティに取り組んでいて「アクティビティにしっかり対応してくれるスマートウォッチを選びたい」という人はもちろん、「機能でも耐久性でも妥協したくない、飛び抜けたものが欲しい」という人にとって、やはりガーミンのスマートウォッチは最高の選択肢のひとつだと確信した。

 なぜなら、その背景には他のスマートウォッチブランドとはまったく異なる、前回紹介した、パイロットが操縦不能になったときに自動的に近くの空港に自動で着陸できる小型飛行機向けの画期的なアビエーションシステム「Garmin Autoland(ガーミン オートランド)」に象徴される異次元の技術力を持ち、その技術に支えられているプロダクトなのだから。


GPSナビから生まれたスマートウォッチ「ガーミン」本社へ取材で分かった“本当の姿”

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ガーミン腕時計の魅力に迫る。アクティブな男性に適したモデルは?

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ガーミンのフラグシップモデル「MARQ CARBON EDITION」に新作が登場!

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