2025年 ヴァン クリーフ&アーペルの新作時計を一挙紹介!

2025.04.04

時計を通して独自の世界観を展開してきたヴァン クリーフ&アーペル。とりわけ機械式のオートマタによる作品には目を奪われてしまう。2025年のウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブでも、珠玉の作品の数々が発表されている。


「レディ アーペル バル デ ザムルー オートマタ ウォッチ」

ヴァン クリーフ&アーペル「レディ アーペル バル デ ザムルー オートマタ ウォッチ」Ref.VCARPERV00

 橋の上で歩み寄り、口づけを交わす恋人たちをテーマにした2010年発表の「ポン デ ザムルー」シリーズに続く、新たな作品が「ポエティック コンプリケーション® コレクション」に登場した。舞台設定は前作から一転し、活気あるパリのカフェ ギャンゲットに。手をつないだ恋人たちは、石畳の上でダンスをし、正午と深夜0時にキスを交わす。

ヴァン クリーフ & アーペル レディアーペル

ヴァン クリーフ&アーペル「レディ アーペル バル デ ザムルー オートマタ ウォッチ」Ref.VCARPERV00
自動巻き。パワーリザーブ約36時間。18KWGケース(直径38mm)。30m防水。2494万8000円(税込み)。

 このアニメーションを実現するのは、新しく開発されたオートマタ機能搭載のムーブメントだ。複雑な設計はすべて、スイス・メイランにある自社の開発チームが手掛けている。恋人たちを引き寄せる動きは、センターに組み込まれたカムによるものである。オートマタの動きはオンデマンドでも駆動することができ、プッシュボタンを押すと恋人たちが動き出す。

 時間はレトログラード表示となっており、10時位置から12時位置にかけて「時間」、2時位置から12時位置にかけて「分」がそれぞれ表示される。

 色彩は主にグリザイユエナメル技法によるものである。ここにカラーグリザイユエナメル技法によって、街の明かりや、空の青さの彩りが加えられた。文字盤は星空、雲、街並み、恋人たち、石畳でそれぞれ5層になっており、立体的で奥行きのある印象に。椅子や街並みはミニアチュールペインティングで描かれ、恋人たちや石畳は、ホワイトゴールドの彫金で施されている。ヴァン クリーフ&アーペルのサヴォワフェールが注ぎ込まれた作品だ。

 なお、写真はシャイニーブルーのアリゲーターストラップだが、購入時に交換可能なストラップが付属する。


「レディ アーペル ポン デ ザムルー」

ヴァン クリーフ&アーペル「レディ アーペル ポン デ ザムルー オーブ」Ref.VCARPES400

 ポン デ ザムルーシリーズが、前作の春夏秋冬モデルに続き、色鮮やかに拡充した。2025年に加わったのは、パリの異なる時間を描き出した4つの新モデルだ。それぞれ夜明けの「ソワレ」、朝の「マティネ」、夕暮れの「オーブ」、月明かりの「リュンヌ」をテーマとし、色鮮やかに表現している。彩色はすべて、職人が手作業でカラーグリザイユ技法により描いている。文字盤の物語はケースバックへと続き、自動巻きの回転ローターには4つのテーマにそれぞれ紐付いたモチーフがエングレービングであしらわれる。

ヴァン クリーフ&アーペル「レディ アーペル ポン デ ザムルー オーブ」Ref.VCARPES400

ヴァン クリーフ&アーペル「レディ アーペル ポン デ ザムルー オーブ」Ref.VCARPES400
自動巻き(Cal.Valfleurier Q020)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約36時間。18KWGケース(直径38 mm)。30m防水。6666万円(税込み)。

ヴァン クリーフ&アーペル「レディ アーペル ポン デ ザムルー マティネ」Ref.VCARPES500

ヴァン クリーフ&アーペル「レディ アーペル ポン デ ザムルー マティネ」Ref.VCARPES500
自動巻き(Cal.Valfleurier Q020)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約36時間。18KWGケース(直径38 mm)。30m防水。6666万円(税込み)。

ヴァン クリーフ&アーペル「レディ アーペル ポン デ ザムルー ソワレ」Ref.VCARPES600

ヴァン クリーフ&アーペル「レディ アーペル ポン デ ザムルー ソワレ」Ref.VCARPES600
自動巻き(Cal.Valfleurier Q020)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約36時間。18KWGケース(直径38 mm)。30m防水。6666万円(税込み)。

ヴァン クリーフ&アーペル「レディ アーペル ポン デ ザムルー クレール ド リュンヌ」Ref.VCARPES700

ヴァン クリーフ&アーペル「レディ アーペル ポン デ ザムルー クレール ド リュンヌ」Ref.VCARPES700
自動巻き(Cal.Valfleurier Q020)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約36時間。18KWGケース(直径38 mm)。30m防水。6666万円(税込み)。

 特筆すべきはブレスレットの作り込みである。ブレスレットの全面を覆うのは、スノーセッティングされたサファイアとダイヤモンドだ。サファイアは文字盤とつながる色味を帯びたグラデーション仕様となっており、夜明けのモデルでは温かい朝の光を想起させるオレンジがかったピンク、朝は爽やかな空を思わせるブルー、夕暮れは赤みの強いピンク、月明かりには夜空を思わせる深いブルーのサファイアがそれぞれ選ばれている。ブレスレットのセッティング部分は大小さまざまな宝石の大きさに合わせた形状をしている。ブレスレットのみで150を超えるコンポーネントが採用されており、手首に沿ってしなやかになじむ繊細な作りとなっている。

 本作にも、それぞれ交換可能なアリゲーターストラップが付属する。


「カデナ ウォッチ」

ヴァン クリーフ&アーペル「カデナ ウォッチ」Ref.VCARPEU600

ヴァン クリーフ&アーペル「カデナ ウォッチ」Ref.VCARPEU600
クォーツ。18KYGケース(26mm×14mm)。30m防水。要価格問い合わせ。

 1935年に発表され、ヴァン クリーフ&アーペルの時計制作を象徴する存在となった「カデナ ウォッチ」は、誕生から90周年を迎える。この腕時計は、カデナ(南京錠)を彷彿とさせるハンドルが特徴だ。しなやかなダブルスネークチェーンのクラスプが手首のカーブに沿ってやわらかくフィットするため、ブレスレットとしても装うことができ、傾きの付いた文字盤で時間をさりげなく確認することが可能である。

 2025年の新作では、18Kイエローゴールドのブレスレットにダイヤモンドをスノーセッティングで敷き詰めたケースを組み合わせ、1列に並んだプリンセスカットサファイアで引き立てている。このカラーコンビネーションは、スクエアカット サファイアのラインで飾られたクラスプでも繰り返される。ロジウムコーティングを施した18Kホワイトゴールドの文字盤もまたダイヤモンドの輝きをまとう。

 カデナ ウォッチは、1935年に初めてイエローゴールドで制作されて以来、数多くのカラーバリエーションで展開されてきた。特に注目すべきは、1936年12月、ケース上部側面とクラスプの裏側にキャリブルカット サファイアもしくはルビーを1列あしらったモデルが登場したことである。1938年にダイヤモンドモデルが、1943年にエメラルドモデルが追加され、カラーチャートがさらに充実した。日常的に着用できるように再解釈され、レザーブレスレットを合わせたモデルも提案されている。

ヴァン クリーフ&アーペル カデナ

(左から)1944年製、1972年製のカデナウォッチ。長い歴史の中で、さまざまなバリエーションが展開されてきたことが分かる。

 この作品はまた、当時のファッショナブルな女性たちに課せられていた、時間の経過を一切意識しないというマナーにも従うものである。そのようなルールのため、女性たちは人に気付かれることなく時計に目をやる必要があった。文字盤を手首の内側に傾け、ジュエリーのような印象を与えるこのウォッチは、1936年の広告にもあるように、「時間を密やかに見る」ことを可能にした。


「リュバン ミステリユー ウォッチ」

ヴァン クリーフ&アーペル「リュバン ミステリユー ウォッチ」

ヴァン クリーフ&アーペル「リュバン ミステリユー ウォッチ」
手巻き。18KWGケース。非防水。ユニークピース。時価。

 創業以来メゾンが解釈し続けてきたクチュールの世界からインスピレーションを得て生まれたハイジュエリーウォッチ「リュバン ミステリユー ウォッチ」が、煌びやかなユニークピースとして発表された。手首を優雅に包み込むリボンの繊細さを再現したこの腕時計の文字盤の中央には、3.72カラットものオーバルカットDIF ダイヤモンドが燦然と輝き、その純度の高い緻密な結晶構造により時刻を読み取ることができる。ミステリーセット™技法によるサファイアとエメラルドの豊かなニュアンスが、メタルを覆い隠して色彩を際立たせている。

 搭載されるのは手巻きムーブメントだ。優美なフォルムを際立たせるために、リュウズは背面に配されている。


「プラネタリウム オートマタ」

ヴァン クリーフ&アーペル「プラネタリウム オートマタ」

ヴァン クリーフ&アーペル「プラネタリウム オートマタ」
大型オートマタとともに、パーペチュアルカレンダーも付加された手巻きムーブメント搭載の時計。扉が閉じている状態で幅66.5cm、高さ50cmもの大きさだ。パワーリザーブは約15日間。ユニークピースであり、価格は時価となっている。

 2014年に「ミッドナイト プラネタリウム」を発表して以来、ヴァン クリーフ&アーペルは、太陽、月、地球を囲む惑星を再現した模型である19 世紀のプラネタリウムをテーマにした作品に取り組んできた。こうして誕生したのが、コンプリケーションウォッチと大型のオートマタで構成される「プラネタリウム コレクション」である。大型のオートマタは2022年から制作されており、今年は3作品目となる。

 本作は高さ50cm、幅66.5cmという大きさを誇り、同心円で7分割されたアベンチュリン製の盤上には、太陽と、地球から見える太陽系の惑星、つまり水星、金星、地球(その衛星である月を含む)、火星、木星、土星を表現するモチーフがあしらわれている。このモチーフはそれぞれ異なる種類の天然石などで作られている。2023年にアップデートされた太陽は、500本の針状のゴールドにセットされたイエローサファイア、スペサタイトガーネット、ダイヤモンドで飾られている。この太陽にはオートマタが動いている間に震えるような動きを見せる。この振動は宝飾分野で用いられる技術を応用したものであり、ごく小さな動きで太陽は振動し、あしらわれた宝石の輝きを一層強める。また、それぞれの天体は実際の惑星と同じ公転周期で回転する。

 本作に搭載される機械式ムーブメントは、星々がダンスをするようなアニメーションの動きを実現し、オンデマンドで駆動させることが可能だ。オルゴール機能も搭載されてり、音楽に合わせて星々がリズミカルな回転を見せる。また、最も外周に設けられた流れ星も見逃せない。これはアニメーションが開始されると浮上して姿を現し、24時間ダイアル上で時と分を示すために飛んでいく。流れ星はゴールド、ダイヤモンド、ミステリーセット™ ルビーで彩られている。

ヴァン クリーフ&アーペル「プラネタリウム オートマタ」

 ケース側面には、時、分、昼・夜、日、月、年を示すパーペチュアルカレンダー、そしてパワーリザーブの順に、複数の文字盤が並んでいる。オートマタの15鐘のチャイムもドア越しに見ることができる。

 惑星のすべてには、18世紀の天体図から着想を得たゴールドのリボンがあしらわれ、その上に星の名前が刻印されている。貝殻は金星、矢は火星、稲妻は木星を表すという神話のシンボルによるものだ。水星を表すのは、ホワイトゴールドと多彩なブルーのサファイアに囲まれたカルセドニーである。金星はローズクォーツにローズゴールドとピンクサファイアが組み合わされている。地球を表すのはグリーンジャスパーで、2色のサファイアが引き立てている。地球の周りを回転する月には、オブジェの深い青色の背景と絶妙なコントラストを描くパールを採用。また、ムーンストーンのオレンジ色が火星を彩り、ローズゴールドとピンクサファイアの組み合わせがそのあたたかみを際立たせている。木星はイエローゴールドとダイヤモンドの縁取りを施したジャスパーのハートで示され、土星はジェットを主役とし、その環はホワイトゴールドとサファイアを組み合わせている。

 

 木製ケースを彩るマルケトリ技法も見逃せない。


「ネッサンス ドゥ ラムール オートマタ」

ヴァン クリーフ&アーペル「ネッサンス ドゥ ラムール オートマタ」

ヴァン クリーフ&アーペル「ネッサンス ドゥ ラムール オートマタ」
こちらもオートマタの手巻きムーブメントを搭載した、高さ約27cm、幅約21.5cmの時計。パワーリザーブは約8日間だ。ユニークピースであり、参考価格は4億6860万円(税込み)。

「ネッサンス ドゥ ラムール オートマタ」は、ヴァン クリーフ&アーペルが2022年に「レヴェリー ドゥ ベ リリーヌ」とともに着手し、「エヴェイユ デュ シクラメン」「ブトン ドール」を経て、2023年、2024年と充実させてきたコレクションの続編となる作品である。神話に登場するキューピッドをモチーフとする、高さ約27cmのオートマタ搭載オブジェだ。

 キューピッドはホワイトゴールド、ローズゴールド、イエローゴールド、ダイヤモンドでかたどられ、ラッカーによるカラーグラデーションで彩られた羽のバスケットの中から姿を現す。この複雑な機構は、スイス・サント・クロワにあるフランソワ・ジュノのスタジオとの提携により設計された。キューピッドは彫刻が施されたローズゴールドのギリシャ風円柱の上に立ち、ホワイトゴールド、ダイヤモンド、3色のピンクサファイアで表現された雲に支えられている。自ら回転しながら優雅に上昇し、プリカジュール エナメルで彩られた翼を羽ばたかせた後、再び隠れ家に戻る。その動きに合わせてカリヨンのメロディが響く。

ヴァン クリーフ&アーペル「ネッサンス ドゥ ラムール オートマタ」

 オートマタの土台には、ゴールドのハイライトが縞模様を織りなすアイアンタイガーアイ(タイガーアイに赤鉄鉱が入った鉱物)が用いられ、全体に精緻な彫刻が施されている。羽のバスケットを支えるボウルは、メゾンの専門家により厳選されたパームウッドの化石だ。カットとポリッシュが施され、それぞれの個性が際立っている。時刻は目盛り入りのリングが回転し、ダイヤモンドでアクセントをつけたラッカー仕上げの2枚の羽によって示される。この羽は、全面にダイヤモンドが敷き詰められたリボンで固定されており、オブジェ全体に華やかな輝きを添えている。



Contact info:ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク Tel.0120-10-1906


世界経済の逆風やいかに? 「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2025」始まるってよ!

FEATURES

ヴァン クリーフ&アーペルの2024年を振り返り。メティエダールをテーマに、新技法で表現の幅を広げた発表モデルとは?

FEATURES

【インタビュー】ヴァン クリーフ&アーペル プレジデント兼CEO「ニコラ・ボス」

FEATURES