レイモンド ウェイルの真骨頂「フリーランサー」のスケルトンモデル、魅力をギュギュっと詰めて小径化!

FEATUREWatchTime
2025.04.05

小径化の波が押し寄せまくる時計業界。レイモンド ウェイルのフラッグシップコレクションである、「フリーランサー」のスケルトンモデルも、既存のモデルから4mm小さくして38mmとなり登場した。以前のモデルより独自の美学を貫いた肉抜きは高い評価を得ていたが、今回発表された38mmモデルは、その魅了を見事に凝縮することに大・成・功!『ウォッチタイム』米国版に携わるライター・編集者のマーティン・グリーンが、その魅了を濃縮してみんなにお届け!

Originally published on watchtime.net
Text by Martin Green
[2025年4月5日公開記事]

フリーランサーのスケルトンモデル、小っちゃくなって帰ってきたぞッ!

「フリーランサー」コレクションは、レイモンド ウェイルの、エレガントで堅牢なスポーツウォッチコレクションだ。レイモンド ウェイルに詳しい人なら、フリーランサーコレクションは、古き良き時代の腕時計のデザインを参考にしているだけでなく、冒険主義的な意匠を取り入れていることを、きっと知っているはずだ。

 例えば、クッション型ケースを採用したモデル、Ref.2790-ST-50051などがその冒険主義の好例だろう。ただでさえ冒険主義なのだから、スケルトン仕様のモデルならば、その冒険主義は加速するに違いない。

 フリーランサーのスケルトン仕様モデルは当初、42mmで発表されており、その時から何か光るものがある、強い印象を覚えたのだ。スケルトン仕様は、この腕時計のためのムーブメントCal.1212のクオリティを思う存分楽しめる。より小さなサイズの展開もあるとうれしいなと、と一度考えたことがあった。今回、38mmモデルが発表され、その願望が実現したのである。

ポリッシュされたベゼルが、スケルトン仕様のムーブメントを際立たせる。既製品を肉抜きしたわけではなく、独自設計のように思えるスケルトンの審美性には軍配を挙げたくなる。

 38mmモデルである「フリーランサー 38 スケルトン」のケースは、ポリッシュとサテン仕上げを施したステンレススティール製。ムーブメントのブリッジに採用されたダークカラーと、見返しリングのブルーの組み合わせは非常に魅力的だ。ベゼルはポリッシュ加工が採用されているため、スケルトン仕様のムーブメントが自然と引き立つ。38mmとダウンスケールしたことで個性がギュッと凝縮された印象だ。

 余談だが、フリーランサーのスケルトンモデルには、ケースにブラックPVDを用いたモデル、ベゼルだけがブロンズ製のモデルがある。そのふたつが組み合わされたモデルが登場するのではないか? と予測していたものの、当てが外れてしまった。

レイモンド ウェイル「フリーランサー 38 スケルトン」Ref.2783-ST-50000
自動巻き(Cal. RW1212)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約41時間。SSケース(直径38mm、厚さ10.87mm)。10気圧防水。55万円(税込み)。

ていうかスケルトンムーブメントの「抜き」、カッコ良すぎません?

 搭載されるムーブメント、Cal.RW1212は、レイモンド ウェイルがセリタと共同開発したものだ。2015年に発表された、「レイモンド ウェイル ナブッコ チェロ トゥールビヨン」に採用されたトゥールビヨン搭載ムーブメント、Cal.RW1842からインスパイアされたデザインだ。

 その主な特徴は、スケルトン加工を施した6時位置のテンプだ。これはこのムーブメントが2017年に初めて登場した時からのシグネーチャーである。このムーブメントのスケルトンデザインの訴求力は強い。要するに超カッコいいのだ。

レイモンド ウェイルの「R」の文字をかたどった回転ローターに要注目! 実に素晴らしい造形だ。

 工業的手法で製作されているモデルではあるものの、その洗練性には目を見張るものがある。スケルトン仕様はムーブメント構造の鑑賞という喜びをもたらしてくれるだけでなく、その仕上げにも感心してしまう。回転ローターにも要注目。そのスケルトン加工は正直二度見してしまうほどだ。

 Cal.RW1212を搭載した本作には秒針が無いことを惜しむ向きもあるかもしれない。だが、個人的には、更なる可動部分は、テンプへの負荷をかけ過ぎてしまうように思え、必要がないように思える。

 ムーブメントの機能関連で注目したいのは、パワーリザーブの増強だ。こういった現代的ムーブメントの場合、約38時間のままでは、少々短いのではないかと思うからだ。Cal.RW1212はパワーリザーブ表示を備えていない。だがレイモンド ウェイルは、本作であるフリーランサーにオープンワークを施した香箱を搭載し、主ゼンマイを見えるようにして、その代わりとしている節はあるように思える。

ブレスレットの付け心地は最高! だけど、どこかで見覚えが……

 ブレスレットは本作においては、意見をつけるのが難しい部分だ。良い作りで、手首の形状になじみ、最高の着け心地を与えてくれる。また同時に、時計のヘッドに対しての重量も適切であるため、このレイモンド ウェイルの腕時計を着用することに喜びを見出させてくれる。

どこかで見たことあるようなブレスレットにはDバックルを採用。バックルが机に当たることもなく、事務作業がしやすそうだ。

 ただ、ブレスレットは、ロレックスのジュビリーを想起させ、この腕時計を着用しているのをブレスレットだけ見た人は、王冠を冠したロレックスと思うだろう。このフリーランサーにはよく似合うと思うので、私としてはレザーストラップを組み合わせると良いだろう。

 本作はフリーランサーの現行品であり、価格は55万円(税込み)だ。



Contact info:ジーエムインターナショナル Tel.03-5828-9080


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