コスパの高さに唸る。オリエントスター「コンテンポラリーコレクション スタンダード」を着用レビュー

2025.04.11

オリエントスター「コンテンポラリーコレクション スタンダード」の新色となるグレー文字盤モデルを着用レビューする。センター時分秒針、日付表示、オリエントスターの特徴であるパワーリザーブ表示をシンプルにまとめ、ケース径38.5mmのスタイリングが与えられている点は、まさに“スタンダード”である。搭載されるムーブメントの実用性も高く、満足度の非常に高いおすすめの1本である。

Ref.RK-AU0110N リスト着用

オリエントスター「コンテンポラリーコレクション スタンダード」Ref.RK-AU0110N
自動巻き(Cal.F6N43)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径38.5mm、厚さ12.3mm)。10気圧防水。7万7000円(税込み)。
佐藤しんいち:文・写真
Text and Photographs by Shin-ichi Sato
[2025年4月11日公開記事]


まさに“スタンダード”な「コンテンポラリーコレクション スタンダード」を着用レビュー

 今回着用レビューするのは、オリエントスター「コンテンポラリーコレクション スタンダード」だ。センター時分秒針、3時位置の日付表示、12時位置にオリエントスターの特徴であるパワーリザーブ表示を備え、ケース径38.5mmのスタイリングにまとめたモデルとなる。シンプルなデザインも相まって、ビジネスシーンからカジュアルまで幅広くマッチする、まさに“スタンダード”なモデルと言えるだろう。

 このスタンダードの従来モデルでは、シルバー、ブラック、ネイビーといった定番で人気かつ、くっきりとしたカラーがラインナップされてきた。今回インプレッションするのは、スタンダードの2025年新作として追加された、アースカラー文字盤を備えるモデルのひとつとなる。新色として追加されたのは、樹木の葉をイメージしたグリーン、砂漠の砂を思わせるカッパー、澄み切った水に通ずるアイスブルー、そして無機質な岩から着想を得たグレーであり、本作はそのグレーのモデルとなる。

Ref.RK-AU0110N 正面

シンプルな文字盤デザインと、時分秒針、パワーリザーブ表示、日付表示を備えた機能性、ケース径38.5mmのちょうど良いサイズ感で“スタンダード”な仕上がり。

 筆者は、インプレッション依頼と同時に送付されてきたプレスリリースをそれほど読まないまま実機と対面した。コンパクトなサイズ感とエッジが効いて引き締まった文字盤デザイン、全体的な仕上がりの良さから「10万円台のモデルだろう。それにしてはなかなか良いのではないか?」などと考えていた。着用しながらプレスリリースに目を通し始め、その価格を見て筆者は唸った。「いやぁマジか。これはすごいな。」と(本当に)声が出た。本作が7万7000円(税込み)であったのだ。筆者の驚いた完成度の高さに注目しつつ、インプレッションを進めてゆこう。


シンプルで均整の取れた文字盤デザイン

 文字盤デザインは、“12”と“6”がローマンインデックスで、日付表示、パワーリザーブを備え、直線を基調としてまとめられたエッジの効いたものとなる。これらは、従来のオリエントおよびオリエントスターの各モデルに共通するデザインコードであり、“スタンダード”という名を付けたオリエントスターの意気込みを感じる。また、かつての「ロイヤルオリエント」を想起させるものでもあり、ファンにとって魅力を感じるデザインと言えるだろう。

Ref.RK-AU0110N 正面アップ

筆者に“刺さった”本作の文字盤デザイン。お気に入りポイントは均整が取れて引き締まっていることだ。グレーの色合いも良く、モダンでありながら古色(焼け色)も思わせるものであった。

 コンパクトな仕立てのため、ケース端まで確保した文字盤は存在感がありつつ大きすぎない。そのため、文字盤内の配置には凝縮感があって、間延びした感じが無い。この点が、本作のデザインを高く評価した理由のひとつである。加えて、アースカラーのグレーの色調が良い。ラッカーを吹いたシルバーの文字盤が少し焼けたかのような、わずかにイエローを感じる色合いで、落ち着きがありつつ本作特有の魅力につながっている。一方で、日付表示ディスクがホワイトで、アースカラーの文字盤と組み合わさるとホワイトが目立つ印象があった。贅沢を言えば、文字盤色に合わせるか、グレーあるいはオフホワイトであれば文字盤に馴染んでくれて、なお良かったのではないか。

 文字盤の中央部はサンレイ仕上げで、周囲にレコードのような凹凸のパターンを設けている。この凹凸部によって光の反射が不均一になって表情を生んでいる。日付表示部は枠取りされており、ここも見栄えの良さにつながっている。肉眼でも確認しづらいのであるが、パワーリザーブ表示部は、扇形状に極わずかにテクスチャーが変えられている。本当に極わずかであるが、文字盤内で表情の変化をもたらしている。


着用感が良く、さまざまなスタイリングに合うデザインの良さ

 着用して感じるのは、ケース径38.5mmというサイズ感の妙である。手首周り約18cmの筆者にとっては、ヴィンテージウォッチに通ずるコンパクトさがある。もう少し手首の細い方にとっても収まりが良く、幅広く支持されるサイズ感と言えるだろう。このコンパクトさによってフィット感を維持しつつ、ラグを少し長めに取ったインパクトのあるシルエットを実現できていることが利点だ。

Ref.RK-AU0110N リスト着用 アップ

ビジネスシーンを想定してジャケットスタイルに合わせた。シンプルなデザインはスーツにも、カジュアルにもマッチする。袖への収まりも良好である。

 アースカラーのグレーの色調は肌の色にマッチし、スーツやカジュアルテイスト、あるいはミリタリールックにも合わせやすい。幅広いスタイリングに合わせやすいことも“スタンダード”と名付けられた本作のコンセプトとマッチしている。


軽量なブレスレットとクラスプによる着用感の良さ

 ブレスレットはやや薄く、軽い質感で、クラスプはプレス成型によるベーシックなものだ。バネ棒式の長さ調整機構も有して機能的には十分である一方で見栄えはそれなり。このあたりでコストとのバランスを取っているのであろう。筆者の個人的な感想としては、ブレスレットとクラスプが軽量で、時計本体との重量バランスも良く、着用感に優れていたので文句無し。

Ref.RK-AU0110N リスト着用バック

ブレスレットはサテン仕上げをベースにポリッシュの部品を挟んで変化を加えている。本作のデザインにマッチしているし、価格を考えれば見栄えも良好である。


不満の無い実用性を備える自動巻きムーブメントCal.F6N43

 搭載される自動巻きムーブメントのCal.F6N43は、オリエントスターのボトムエンド、オリエントのコレクションも含めたオリエント全体で考えるとミドルクラスを支えるムーブメントだ。長年に渡る採用実績があり、パワーリザーブは約50時間とアンダー10万円の価格帯では長いパワーリザーブと評価できる。

 また、巻き上げ効率も良好である。往復で計30分の通勤での歩行と、ほとんどの時間をデスクワークで過ごす筆者のライフスタイルで巻き上げ量と消費量は拮抗していたし、30分程度のショッピングでは約5時間分巻き上がっていた。多くの人にとっては着用で十分な巻き上げ量が確保できそうだ。そうでなくても週明けに巻き上げて毎日のように着用すれば、ウィークデーは安定して駆動可能であると予想される。加えて、パワーリザーブ表示があるため巻き上げ量の管理も容易である。

 スペック上では「日差-15~+25秒」とあるが、手にしたサンプル機ではそれよりも十分に良かった。また、パワーリザーブ表示が“0”に近い領域でも精度の大幅な悪化も無く駆動を続けていたため、(過信は禁物だが)安心感があった。以上から、本作の実用性に関する不満はまったく生じなかった。


本作の完成度は高く、コスパは非常に優れている

 今回のインプレッションでは、全体的に絶賛する内容となった。一方で、より高価なモデルと見比べて詳細に観察すると、インデックスの仕上げが甘かったり、各針の立体感が乏しかったり、ケースとブレスレットの間に隙間があったり、クラスプの見栄えがそれなりであったりすることに気が付いたりする。しかし、本作のプライスタグは7万7000円(税込み)であることを忘れてはならない。着用感に優れ、デザインは引き締まっていてバランスが良く、仕上げも決して悪くない。基本性能も十分で、手にした時の満足感の高さに高評価を与えるべきであろう。

 インプレッションを締めようと推敲を行う中で、本作の“コスパの良さ”について思いを巡らせた。近年、“コスパが良い”という表現は注目を集めるものの、受け取り手によって基準が大きく異なるため、筆者は“コスパ”という言葉を極力避けている。しかし、本作に対しては以下のように評したい。「本作は、コスパが非常に優れており、完成度が高く、多くの人にお勧めできる良い腕時計である」。

Contact info: オリエントお客様相談室 Tel.042-847-3380


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