2022年の本格参入以降、“ライカらしさ”にあふれる時計を作ってきたライカウォッチ。最新作の「ライカ ZM 12」では「光と影」という写真との共通点を与えた。
幅広いユーザーの獲得のために開発された「ライカ ZM 11」のスモールセコンドバージョン。全長の抑えられたヘッドや大きなスモールセコンドなど、時計愛好家のツボを押さえた構成を持つ。自動巻き(Cal.ライカLA-3002)。38石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径39mm、厚さ13mm)。100m防水。100万1000円(ヘッドのみ)。
[クロノス日本版 2025年5月号掲載記事]
光と影のコントラストが際立つ「ライカ ZM 12」
2022年に機械式時計の世界に本格参入したライカ。その初作「ライカ L1(現ライカ ZM 1)」および「ライカ L2(現ZM 2)」は、ドイツのレーマン・プレシジョンウーレンと共同で開発した、ライカらしさにあふれたモデルだった。彼らがこのプロダクトで強調したのは感触である。針合わせ時のリュウズの精緻さ、日付を送るプッシュボタンの押し込み時のストロークとクリック感。それらのひとつひとつが丁寧に調整されており、その感触は往年のM型を想起させた。

このようにライカウォッチは、既存のライカ製品と共通点を持つように設計されている。では、ベーシックラインの「ライカ ZM 12」はどんな要素を含んでいるのか? 時計部門のヘンリック・エクダールはこう語った。「ZM 12と(センターセコンド版の)ZM11には写真の要素を含ませました。文字盤上で光と影を表現したのです」。確かに文字盤が強い光を受けると繊細なサテン仕上げが強調される一方で、3-9時方向に複数入れられた深いラインに影が発生する。両者が生み出すコントラストは、なるほどモノクロームのプリントのようだ。
なお前述の通り、初作のムーブメントは自社製だったが、ZM 12はクロノード製を採用する。リーチを広げ、若者のユーザーを増やしたいという思惑を考えれば当然、自動巻きのエボーシュは理にかなった選択だ。しかしなぜクロノードとの協業を選んだのか?「品質が良いのももちろんですが、なんといってもカスタマイズの希望を出しやすいのです。今後、例えばムーンフェイズを追加したいとなっても、彼らとなら難しくないでしょう」。これだけ時計を熟知している人間がプロダクトを見ているのならば、ライカウォッチの品質が優れているのも納得だ。
